ルシアナのマイペースな結婚生活

ゆき真白

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第十章

求め合う夜(二)※

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 もどかしさはある。
 もっと彼に触れてほしいと思う。
 しかし、今の状態のレオンハルトを見たら、彼の好きにしてほしいという想いが強くなった。

「レオンハルト様」

 ふわりと柔らかな笑みを向ければ、レオンハルトは、は、と一つ息をついて上体を倒し、ルシアナのふっくらとした唇を舐めた。軽く食み、顎に口付けると、首筋を舌で辿り、鎖骨に歯を立てる。
 痕がつかないよう加減されているのがわかる強さでがじがじと噛み付くレオンハルトの髪を梳きながら、ルシアナは軽くレオンハルトの頭を押さえる。

「もっと強く噛んでも構いませんわ」

 レオンハルトの頭に顔をすり寄せながらそう言えば、レオンハルトはぴたりと動きを止め、ルシアナの首元に顔を埋めて強く抱き締めた。

「……嫌だ」
「え……?」
「貴女を傷付けるくらいなら、首を切って死んだほうがました」

 レオンハルトは頬をすり付けると、優しく首に口付けを繰り返し、そのまま体を下にずらしていく。

「――ぁ」

 先ほど揉んでいるだけだったほうの胸の頂を口に含む、ねっとりと舌で転がす。舌全体を使って乳首を押し込み、戻ってきたものをちゅうと吸う。
 少々くすぐったさも感じる優しい愛撫に、心が満たされていく。

(レオンハルト様は……わたくしのことをとても大切に想ってくださっているわ)

 それがどうしようもなく嬉しくて、じわりと涙が滲む。

「……愛しておりますわ、レオンハルトさま……」

 彼への愛おしさが募り、自然と愛の言葉口をついて出た。

「……俺も、愛してる」

 レオンハルトは噛み締めるようそう呟くと、薄い腹に唇を落としていく。レオンハルトの口付けが下へと向かうたび腹の奥に溜まった熱が高まり、足の間が濡れていくのがわかった。
 唯一そのままだったドロワーズが自分から溢れたもので張り付くのを感じ、ルシアナは羞恥に顔を赤くしたが、特に何も言わずレオンハルトに身を任せる。
 ドロワーズまで辿り着いたレオンハルトは、紐を咥えると頭を引いて紐を解いた。そのとき足の付け根が視界に入ったのか、紐を放しながら、ふっと小さく笑った。

「先に脱がせておけばよかったな」
「い、言わないでください……」

 顔だけでなく首や肩まで赤くするルシアナに、レオンハルトは笑みを深めると手早くドロワーズを脱がし、その腰を高く持ち上げた。

「えっ」

 驚いたのも束の間、ルシアナの両腿を肩に乗せ、しっかりと腰を固定したレオンハルトは、そのままルシアナの秘処に顔をうずめた。

「え、っぁ、は、まっ――ぁッ」

(初めてでは、ないけれど……!)

 普段は見ようと視線を下げなければ見られない光景が視線の先で繰り広げられ、ルシアナは思わずその姿を凝視してしまう。
 レオオンハルトは視線を絡めると目を細め、しっかりと濡れた蜜壺に舌を挿し入れた。

「ぁ、ゃ、レオンハルトさまっ……あ、は、ぁっ」

 肉厚な舌は柔襞をぐるりと舐め、じゅるじゅると音を立てて蜜を啜っていく。柔らかな舌が膣壁を撫でる感覚に、ルシアナはすぐに高まっていき、反射的に腰を捩った。しかし、レオンハルトがしっかりと腰を掴んでいるため逃れることができず、ルシアナはどうしようもない掻痒感に襲われながら蜜を溢れさせる。

(気持ちいい、けれど……っ)

 果てを迎える決定的な刺激がなく、ルシアナはただ快楽を溜め込まれ続けている状態だった。決定的な何かがほしいと思う一方、これほど膨れ上がった快感を一気に放出させるのは怖く、このままでいいという気さえした。

「ふ、ン……ぁっ、ふ……っ」

 何かをねだるように蜜口が収縮し、深く差し込まれたレオンハルトの舌に襞が絡み付く。
 何を欲しているかなど、奥まで貫かれたことがあるルシアナはすでにわかっていた。

「ッん、ふ……レオンハルトさま、っは、ぁ……レオンハルトさまっ……」

 欲しているものを与えてほしいと訴えるように、蕩けた声でレオンハルトの名を呼ぶ。
 目が合ったレオンハルトはきつく眉を寄せると、舌を引き抜いた。そのまま舌先で割れ目をなぞり、隠れていた淫芽を舌先でつつく。びくりと震えたルシアナの腰を抱え直し、舌で丁寧に包皮を剥き、赤く腫れたそれに思い切り吸い付いた。

「ひぁっ、あッ……! ゃあぁっ」

 じゅううっと強く吸われ、爪先まで力が入る。腿でレオンハルトの顔を挟みながら、ルシアナはぽろぽろと涙をこぼした。
 波のように急激に押し寄せてきた快楽に体も思考も追いつかず、ルシアナは溺れたように、はくはくと呼吸を繰り返す。しっかり呼吸をしたいのに、吸った息は途中で止まり、吐いた息は嬌声となって室内に響く。

 ぴちゃぴちゃという水音を聞きながら、ルシアナの意識はすでに遠くへ向いていた。
 どんどんもたらされる強烈な快楽に、先ほどまで溜め込んでいたものが急激に膨れ上がっている。
 舌でぷくりとした粒を潰され、しっかり勃たせるようにちゅうちゅうと吸われれば、自然と背がしなる。

「ぁ、は、だめっ……だめ、ぇっあッ……!」

 視界が白く明滅し始めた瞬間、狙いすましたかのように一層強く淫芽を吸われ、大きく腰が跳ねる。蜜口がひくつき、下肢が小刻みに震えた。
 赤く腫れた快楽の源はじんじんと痺れ、彼が吐き出す息がかかるだけで、びくりと足先が揺れた。
 レオンハルトは濡れた自身の口周りを舐めると、ルシアナの下半身をソファの上に下ろし、物欲しそうにひくついている蜜壺に指を沈めた。

「ぁあっ! だめっ、レオンハルトさまっ……! いまぁっ、あっ……!」
「そうか? ずいぶんさそうに見えるが」

 レオンハルトの言葉通り、指を飲み込んだ隘路は嬉しそうに蠢き、レオンハルトの指に絡み付いた。もっともっとというように指を締め付け、襞を擦られるたびに蜜を溢れさせる。
 レオンハルトが指を動かすたびに溜まった蜜がかき出され、尻のほうまで濡らした。
 根元まで埋められた指がぐるぐると膣内をかき回し、ルシアナは短い呼吸を繰り返す。秘芽の疼きが内部へと移動し、腹の奥がじくじくと蕩け始めた。
 これまで何度もルシアナを果てへと導いてきたレオンハルトは、勝手知ったるかのように悦いところを重点的に擦り、ルシアナを高みへと連れて行く。

「ぁンっ、あッ、レオ、レオンハルトさまっ」
「ああ」

 レオンハルトは口元に愉悦の笑みを浮かべると、指を二本に増やし襞を擦り上げていく。
 再び集まってきた快楽が腰の奥で積み重なっていき、ルシアナは無意識のうちにレオンハルトに手を伸ばしていた。
 レオンハルトは空いている手でその手を取ると、ルシアナに覆い被さり口を塞ぐ。
 唇が重なった瞬間、隘路がきゅっと締まり、襞を擦るレオンハルトの指の動きがさらに鮮明に感じられる。恥骨の裏を円を描くように撫でながら、時折、とんとんと叩かれ、快楽の塊が一点へ集中していくのがわかる。

「んふっ、ンッ、ふ、ぅんっ……!」

 限界まで敏感になった内側のざらりとしたところを、ぐっと押され、ルシアナはあえなく果てを迎えた。
 放たれた快楽がさざ波のように全身に広がっていくのを感じながら、自分を見下ろす静けさを取り戻したシアンの瞳を、ルシアナはぼうっと見つめた。
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