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第九章
初めての夜(五)※
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どくどくと脈打つ肉茎から放たれるものを感じるだけで気持ちがいい。
悦楽の高みへと昇り、すべてを解放する果てとはまた違う、体ではなく心が果てを迎えたような、得も言われぬ喜びが充溢している。
(レオンハルト様が避妊薬を飲んでいるから、子はできないけれど……この身に愛しい方の子種をいただけるというのは、こんなにも嬉しいことなのね)
きつく眉を寄せ、目を閉じながらさらりとした肌に汗を滲ませ、薄く開いた口から荒い息を漏らす彼を見上げると、愛しさが込み上げてくる。
内側からだけでなく、外側でもレオンハルトの熱を感じたくて手を伸ばそうとするものの、彼に抑えられていてそれが叶わないことに気付く。
ルシアナは、レオンハルトが完全に動きを止めたのを確認してから口を開いた。
「レオンハルト様。手を離していただいてもよろしいですか?」
「! すまなっ――!?」
はっとしたように目を見開き、慌てて手を離したレオンハルトがそのまま体も離そうとしたため、ルシアナは咄嗟に彼の腰に足を絡ませた。
驚いたように停止したレオンハルトに、はしたない行動だったかもしれない、と少し恥ずかしくなったものの、ルシアナは自由になった手を伸ばし微笑む。
「離してくださいとお願いしたのは、レオンハルト様を抱き締めたかったからですわ。……このまま、抱き締めさせてくださいませんか?」
繋がったまま、という意味を込めて、レオンハルトの腰を捕らえる足に力を入れる。
レオンハルトはじわじわと目元を染めていきながら、いつも通りの表情になると、ルシアナの顔の両側に肘から先をついた。体重をかけないよう気を付けてくれている様子に笑みをこぼしながら、レオンハルトの広い背中に手を回す。
鎧でも纏っているかのようにごつごつとして硬い背中は汗でしっとりと濡れ、それだけ彼が必死に求めてくれていたのだとわかる。
(嬉しい……)
ルシアナは、感触を確かめるように優しくレオンハルトの背中を撫でると、すぐ横に伏せられている彼の顔に頬をすり寄せた。
「レオンハルト様」
甘えるように名前を呼べば、レオンハルトはわずかに顔を上げる。口の端に軽く口付け笑みを深めれば、意図を察してくれたのか唇が重ねられた。
何度か軽い口付けを繰り返したレオンハルトは、ゆっくりと舌を割入れ深く口付ける。
(……あら?)
互いの唾液を交換するように舌を絡めあっているうちに、ルシアナは下腹部に芽生えた違和感に気付く。レオンハルトもそれに気付いたのか、顔を離すと気まずそうに目を逸らした。
「……レオンハルト様」
「……すまない」
耳を赤く染めながら、どこか申し訳なさそうなレオンハルトに、下腹部の違和感が気のせいではないことを悟り、ルシアナは、ふふっと笑みをこぼす。
「何故謝られるのですか? わたくしだってたくさん気持ちよくしていただきましたわ。レオンハルト様にも、同じだけ……できればそれ以上に、気持ちよくなっていただきたいです」
質量を取り戻し、みっちりと膣道を塞ぐ彼のものを感じながら、ルシアナはレオンハルトが動きやすいように絡めていた足を外す。
背中を撫で下ろしながら腰の近くをさすれば、彼はびくりと体を揺らしルシアナに視線を戻した。
「……煽らないでくれという忠告は、貴女には無意味なようだな」
情欲に瞳を光らせたレオンハルトは、ルシアナの唇を軽く噛むと体を起こし、怒張したものを引き抜いた。
え、と思ったのも束の間、彼に体を反転させられ、ルシアナは枕に顔を埋めた。レオンハルトに見せつけるように腰だけ上がった姿勢を取らされ、羞恥に全身の熱が上がっていく。
(た、確かにこのような姿勢も本に書いてあったけれど……!)
自分と彼のもので濡れた秘処どころか、後ろの窄まりまで丸見えになっているのかと思うと、さすがのルシアナも恥ずかしさで沸騰してしまいそうだった。
本で知識だけ蓄えるのと実際に経験するのでは、やはり全然違うのだ、と思いながら、ルシアナは恥ずかしいとレオンハルトに伝えようとする。しかし、ルシアナが口を開くより早く、レオンハルトの指が隘路に侵入した。
「貴女の破瓜の血と俺のものが混ざって、淡く色づいている。……自分がそういったものに劣情を掻き立てられるとは思わなかった」
上気して淡く染まった白い尻に口付けたレオンハルトは、そのまま跡が付かない程度に軽く歯を立て、瑞々しく張りのあるルシアナの肌を堪能するように舌を這わせた。
「ぁ、や……レオンハルトさま……」
「やめてほしいときはきちんと伝えるんだろう?」
「っふ、ん」
そのまま上ってきた舌は背骨をなぞるようにどんどん上へと向かってきて、髪をかき分けうなじまで到達した。首筋に軽く口付けたあと耳元に口を寄せると、レオンハルトは、ふうっと耳孔に息を吹き込んだ。
それだけでびくびくと尻が揺れ、ルシアナは肩まで赤くなる。
「……やめてほしいか?」
低く囁かれた言葉に、ルシアナは涙を滲ませながら、首を横に振る。
「……本当にやめてほしいときは、ちゃんと伝えてくれ」
こくこくと頷けば、レオンハルトは小さく笑って、隘路から指を抜いた。
腰を掴まれ、秘裂を熱いものが撫でる。
「……それと、念のため言っておくが、男は女性と違いそう何度も果てを迎えられるわけじゃない。だから、同じだけ……ましてそれ以上など、そんなことは考えなくていい」
「そ、――ッ!」
そうなのですか、と問いかける声は、一気に最奥を貫かれた衝撃でかき消えた。
体も突然のことに驚いたのか、一拍遅れて全身が震え、痺れが広がっていく。
「――ぁ、あ、あっああっ……!」
素早く何度も最奥を叩くように腰が打ち付けられ、ルシアナはただあられもなく嬌声を上げる。
先ほどに比べ遠慮なく隘路を往復する熱杭に、頭が真っ白になる。あまりにも強烈な快感に意識がどこかへ飛んでしまいそうで、ルシアナはきつくシーツを握り締めた。
レオンハルトが奥を穿つたび押し出されるように甘い喘ぎが漏れ、打擲音と水音とともに淑やかな夜を淫猥に染めていく。
「っは……奥が好きか? よく締まる」
「っあっあ、わからなっ、いっ……!」
「そうか……これならわかるか?」
抽送を止めたレオンハルトが、奥に押し入れたまま、最奥を擦るように腰を回した。
訳もわからず急激に高められた先ほどまでの快楽とは違い、じんじんと痺れるような快感が毒のように全身に広がっていく。
「は、ふぅっ、ん……ッン……ぁ、は」
このままぐりぐりと奥を責められ続ければ、あえなく果ててしまうだろう、という予感と官能が高まっていき、自然と爪先に力が入る。快楽の波に身を委ね、あともう少しで果てだ、というところで、レオンハルトが中ほどまで屹立を引き抜いた。
悦楽の高みへと昇り、すべてを解放する果てとはまた違う、体ではなく心が果てを迎えたような、得も言われぬ喜びが充溢している。
(レオンハルト様が避妊薬を飲んでいるから、子はできないけれど……この身に愛しい方の子種をいただけるというのは、こんなにも嬉しいことなのね)
きつく眉を寄せ、目を閉じながらさらりとした肌に汗を滲ませ、薄く開いた口から荒い息を漏らす彼を見上げると、愛しさが込み上げてくる。
内側からだけでなく、外側でもレオンハルトの熱を感じたくて手を伸ばそうとするものの、彼に抑えられていてそれが叶わないことに気付く。
ルシアナは、レオンハルトが完全に動きを止めたのを確認してから口を開いた。
「レオンハルト様。手を離していただいてもよろしいですか?」
「! すまなっ――!?」
はっとしたように目を見開き、慌てて手を離したレオンハルトがそのまま体も離そうとしたため、ルシアナは咄嗟に彼の腰に足を絡ませた。
驚いたように停止したレオンハルトに、はしたない行動だったかもしれない、と少し恥ずかしくなったものの、ルシアナは自由になった手を伸ばし微笑む。
「離してくださいとお願いしたのは、レオンハルト様を抱き締めたかったからですわ。……このまま、抱き締めさせてくださいませんか?」
繋がったまま、という意味を込めて、レオンハルトの腰を捕らえる足に力を入れる。
レオンハルトはじわじわと目元を染めていきながら、いつも通りの表情になると、ルシアナの顔の両側に肘から先をついた。体重をかけないよう気を付けてくれている様子に笑みをこぼしながら、レオンハルトの広い背中に手を回す。
鎧でも纏っているかのようにごつごつとして硬い背中は汗でしっとりと濡れ、それだけ彼が必死に求めてくれていたのだとわかる。
(嬉しい……)
ルシアナは、感触を確かめるように優しくレオンハルトの背中を撫でると、すぐ横に伏せられている彼の顔に頬をすり寄せた。
「レオンハルト様」
甘えるように名前を呼べば、レオンハルトはわずかに顔を上げる。口の端に軽く口付け笑みを深めれば、意図を察してくれたのか唇が重ねられた。
何度か軽い口付けを繰り返したレオンハルトは、ゆっくりと舌を割入れ深く口付ける。
(……あら?)
互いの唾液を交換するように舌を絡めあっているうちに、ルシアナは下腹部に芽生えた違和感に気付く。レオンハルトもそれに気付いたのか、顔を離すと気まずそうに目を逸らした。
「……レオンハルト様」
「……すまない」
耳を赤く染めながら、どこか申し訳なさそうなレオンハルトに、下腹部の違和感が気のせいではないことを悟り、ルシアナは、ふふっと笑みをこぼす。
「何故謝られるのですか? わたくしだってたくさん気持ちよくしていただきましたわ。レオンハルト様にも、同じだけ……できればそれ以上に、気持ちよくなっていただきたいです」
質量を取り戻し、みっちりと膣道を塞ぐ彼のものを感じながら、ルシアナはレオンハルトが動きやすいように絡めていた足を外す。
背中を撫で下ろしながら腰の近くをさすれば、彼はびくりと体を揺らしルシアナに視線を戻した。
「……煽らないでくれという忠告は、貴女には無意味なようだな」
情欲に瞳を光らせたレオンハルトは、ルシアナの唇を軽く噛むと体を起こし、怒張したものを引き抜いた。
え、と思ったのも束の間、彼に体を反転させられ、ルシアナは枕に顔を埋めた。レオンハルトに見せつけるように腰だけ上がった姿勢を取らされ、羞恥に全身の熱が上がっていく。
(た、確かにこのような姿勢も本に書いてあったけれど……!)
自分と彼のもので濡れた秘処どころか、後ろの窄まりまで丸見えになっているのかと思うと、さすがのルシアナも恥ずかしさで沸騰してしまいそうだった。
本で知識だけ蓄えるのと実際に経験するのでは、やはり全然違うのだ、と思いながら、ルシアナは恥ずかしいとレオンハルトに伝えようとする。しかし、ルシアナが口を開くより早く、レオンハルトの指が隘路に侵入した。
「貴女の破瓜の血と俺のものが混ざって、淡く色づいている。……自分がそういったものに劣情を掻き立てられるとは思わなかった」
上気して淡く染まった白い尻に口付けたレオンハルトは、そのまま跡が付かない程度に軽く歯を立て、瑞々しく張りのあるルシアナの肌を堪能するように舌を這わせた。
「ぁ、や……レオンハルトさま……」
「やめてほしいときはきちんと伝えるんだろう?」
「っふ、ん」
そのまま上ってきた舌は背骨をなぞるようにどんどん上へと向かってきて、髪をかき分けうなじまで到達した。首筋に軽く口付けたあと耳元に口を寄せると、レオンハルトは、ふうっと耳孔に息を吹き込んだ。
それだけでびくびくと尻が揺れ、ルシアナは肩まで赤くなる。
「……やめてほしいか?」
低く囁かれた言葉に、ルシアナは涙を滲ませながら、首を横に振る。
「……本当にやめてほしいときは、ちゃんと伝えてくれ」
こくこくと頷けば、レオンハルトは小さく笑って、隘路から指を抜いた。
腰を掴まれ、秘裂を熱いものが撫でる。
「……それと、念のため言っておくが、男は女性と違いそう何度も果てを迎えられるわけじゃない。だから、同じだけ……ましてそれ以上など、そんなことは考えなくていい」
「そ、――ッ!」
そうなのですか、と問いかける声は、一気に最奥を貫かれた衝撃でかき消えた。
体も突然のことに驚いたのか、一拍遅れて全身が震え、痺れが広がっていく。
「――ぁ、あ、あっああっ……!」
素早く何度も最奥を叩くように腰が打ち付けられ、ルシアナはただあられもなく嬌声を上げる。
先ほどに比べ遠慮なく隘路を往復する熱杭に、頭が真っ白になる。あまりにも強烈な快感に意識がどこかへ飛んでしまいそうで、ルシアナはきつくシーツを握り締めた。
レオンハルトが奥を穿つたび押し出されるように甘い喘ぎが漏れ、打擲音と水音とともに淑やかな夜を淫猥に染めていく。
「っは……奥が好きか? よく締まる」
「っあっあ、わからなっ、いっ……!」
「そうか……これならわかるか?」
抽送を止めたレオンハルトが、奥に押し入れたまま、最奥を擦るように腰を回した。
訳もわからず急激に高められた先ほどまでの快楽とは違い、じんじんと痺れるような快感が毒のように全身に広がっていく。
「は、ふぅっ、ん……ッン……ぁ、は」
このままぐりぐりと奥を責められ続ければ、あえなく果ててしまうだろう、という予感と官能が高まっていき、自然と爪先に力が入る。快楽の波に身を委ね、あともう少しで果てだ、というところで、レオンハルトが中ほどまで屹立を引き抜いた。
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