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第八章
確かめ合う想い、のそのあと(二)※
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規則などなければ、あの瞬間、あの場で、ジャネット・ダンヴィルの首を刎ねていた。
ルシアナを見ることができる目も、声を聞ける耳も、匂いを嗅げる鼻も、名を呼べる口も、彼女の姿が残った脳も、すべてを切り刻んでやりたかった。
実際にジャネット・ダンヴィルがルシアナに触れていなくても、彼女の乱れた姿を想像したというだけで、ジャネット・ダンヴィルに対する嫌悪も殺意もどうしようもないくらい膨れ上がった。
想像の中でさえ、彼女を穢されるのは許せなかった。
ルシアナに劣情を抱くジャネット・ダンヴィルの姿を思い出すだけで、自分の中だけでは消化しきれないどす黒い感情が心を支配する。
「……俺のものだ」
怒りに震えた声で、小さく漏らす。
ルシアナはルシアナだけのもので、決して自分のものなどではない。
そう頭では理解しているのに、醜い独占欲がルシアナは自分のものだと主張して聞かない。
「俺のだ。俺の……」
涙の一滴だって誰にも渡したくない。彼女のこれからの人生、彼女にまつわるすべてが自分のものであってほしい。自分のものでなければ我慢ならない。
『レオンハルト様……』
熱っぽい甘い声が脳内にこだまする。
「……ルシアナ」
その声に応えるように、レオンハルトも熱っぽくルシアナの名を呼ぶ。シーツを握り締めていた手は自然と下半身へと向いた。
ベルトを外し前を寛げれば、すでに先走りで濡れたものが、勢いよく外に飛び出した。
痛いくらい張り詰めたものを掴み、激しく上下に扱く。
「ルシアナ……っ」
あの場で彼女に無体を強いなかったことを、レオンハルトは自分で褒めたいくらいだった。
「っ、はぁ……ッ」
早すぎる吐精を迎え、紺色の掛布の上に白い液体がぽたぽたと散らばる。
(これを、彼女の中に出せたら……)
ルシアナに自分という存在を刻み付けて、他の誰も寄り付かないようにしてしまいたい。
「――ルシアナ」
うわ言のようにルシアナの名を呼ぶと、蹲るようにうつ伏せになる。いまだ硬さを失わない自身に手を添えると、今度はゆっくり手を前後させた。
「は、ぁ」
目を閉じれば、先ほどまで見ていた彼女の痴態が、瞼の裏に映し出される。
執務机の後ろにある大きな窓から、爽やかな朝の日差しが差し込む室内。ソファの上で半端にシュミーズを脱がされ、大きく足を開き秘処を晒す格好を取らされた、愛おしい人。
己の戯言に唆されて、本来言わなくてもいいいやらしいお願いを、それと知らず恥ずかしそうに伝えてくれた、この世で唯一自分が肉欲を抱く、無垢で清らかな妻。
「――ッ」
あの清純で美しい女性が自分の妻で、そんな彼女をこれから自分だけが汚せるのだと思うと、それだけで手の中の欲芯は硬さを増す。
(俺も、同じだ……ジャネット・ダンヴィルと……)
あの無垢な人に劣情を抱き、この欲の塊を突き立て、蹂躙したいと思っている。まだ彼女に触れたことがないとき、彼女がどんな声で喘ぐのか考え一人自分を慰めたのは、一度や二度ではない。
「っルシアナ……ルシアナ……!」
自然と手の動きは早くなり、粘性のある音が鼓膜から脳へと伝わる。それが怒張した自身から聞こえることは理解しつつ、脳内では彼女の膣内を攻め立てる音に変換されていた。
「愛してる……ッ、ルシアナ……っ」
愛してると口にすればこの醜い欲も許されると思っているかのような自分の態度に、レオンハルトは嘲笑を漏らす。
(だが、どうしようもない。自分の中でだけでも受け入れ発散させなければ……)
この醜い欲をすべてルシアナにぶつけるつもりはなかった。
彼女が自分の手で乱れるのを見るだけで満足というのも、まったくの嘘というわけではない。
どれほど強い独占欲を抱き、嫉妬心を持ったとしても、彼女を何よりも大切にしたいと思う気持ちはずっと変わらずある。彼女が喜んで、幸せでいてくれるのが何よりも大事なのだ。
「っはぁ」
どんどん手の中のものが熱くなり、腰にどんよりとした悦楽が蓄積されていくのを感じながら、レオンハルトは歯を噛み締める。
「ルシアナ……!」
腰が震え、二度目とは思えないほどの量のものが布団に染みを作っていく。
最後の一滴まで絞り出したレオンハルトは、汚れていない手をベッドにつき、上体を起こす。
「……」
自分の傍らに置かれたままのルシアナのナイトガウンと、彼女の体を清拭したハンカチが視界に入り、レオンハルトは体の力が抜けたようにベッドに横向きに倒れた。
下半身が汚れたままで気持ち悪かったが、それをどうにかする気にはなれず、汚れていない手で、最初にベッドに横になったときのように、ガウンの袖を軽く掴んだ。
「ルシアナ……」
弾む息の間を縫って、彼女の名前を呼ぶ。
(このことが彼女に知れたら、彼女は幻滅するだろうか)
自分の考えに、ふっと小さな笑みが漏れた。
(いや……彼女なら、恥ずかしそうにしながらも受け入れるだろう。もしくは、一人で欲を発散したことを叱られるかもしれない)
そんな考えが浮かぶくらいには、彼女に愛されている自覚がある。
(……俺は、彼女に愛されている。そして俺も、彼女を愛している)
これから先、自分がそういう意味で愛する女性は彼女だけだ。
ルシアナも、そうであってほしいと思う。
(そうなるように、俺が努力をしなければいけない。彼女が俺を愛し続けてくれるように……できる限りの手を尽くさなければ)
彼女の目に、他の誰かが魅力的に映らないように。
彼女に至上の幸福を与えられるのは、自分だけだと思ってもらえるように。
「愛してる。俺の……俺だけの、ルシアナ」
レオンハルトは至極大事そうにルシアナの名を口にすると、泥濘に沈んでいくように、深い眠りへと落ちていった。
ルシアナを見ることができる目も、声を聞ける耳も、匂いを嗅げる鼻も、名を呼べる口も、彼女の姿が残った脳も、すべてを切り刻んでやりたかった。
実際にジャネット・ダンヴィルがルシアナに触れていなくても、彼女の乱れた姿を想像したというだけで、ジャネット・ダンヴィルに対する嫌悪も殺意もどうしようもないくらい膨れ上がった。
想像の中でさえ、彼女を穢されるのは許せなかった。
ルシアナに劣情を抱くジャネット・ダンヴィルの姿を思い出すだけで、自分の中だけでは消化しきれないどす黒い感情が心を支配する。
「……俺のものだ」
怒りに震えた声で、小さく漏らす。
ルシアナはルシアナだけのもので、決して自分のものなどではない。
そう頭では理解しているのに、醜い独占欲がルシアナは自分のものだと主張して聞かない。
「俺のだ。俺の……」
涙の一滴だって誰にも渡したくない。彼女のこれからの人生、彼女にまつわるすべてが自分のものであってほしい。自分のものでなければ我慢ならない。
『レオンハルト様……』
熱っぽい甘い声が脳内にこだまする。
「……ルシアナ」
その声に応えるように、レオンハルトも熱っぽくルシアナの名を呼ぶ。シーツを握り締めていた手は自然と下半身へと向いた。
ベルトを外し前を寛げれば、すでに先走りで濡れたものが、勢いよく外に飛び出した。
痛いくらい張り詰めたものを掴み、激しく上下に扱く。
「ルシアナ……っ」
あの場で彼女に無体を強いなかったことを、レオンハルトは自分で褒めたいくらいだった。
「っ、はぁ……ッ」
早すぎる吐精を迎え、紺色の掛布の上に白い液体がぽたぽたと散らばる。
(これを、彼女の中に出せたら……)
ルシアナに自分という存在を刻み付けて、他の誰も寄り付かないようにしてしまいたい。
「――ルシアナ」
うわ言のようにルシアナの名を呼ぶと、蹲るようにうつ伏せになる。いまだ硬さを失わない自身に手を添えると、今度はゆっくり手を前後させた。
「は、ぁ」
目を閉じれば、先ほどまで見ていた彼女の痴態が、瞼の裏に映し出される。
執務机の後ろにある大きな窓から、爽やかな朝の日差しが差し込む室内。ソファの上で半端にシュミーズを脱がされ、大きく足を開き秘処を晒す格好を取らされた、愛おしい人。
己の戯言に唆されて、本来言わなくてもいいいやらしいお願いを、それと知らず恥ずかしそうに伝えてくれた、この世で唯一自分が肉欲を抱く、無垢で清らかな妻。
「――ッ」
あの清純で美しい女性が自分の妻で、そんな彼女をこれから自分だけが汚せるのだと思うと、それだけで手の中の欲芯は硬さを増す。
(俺も、同じだ……ジャネット・ダンヴィルと……)
あの無垢な人に劣情を抱き、この欲の塊を突き立て、蹂躙したいと思っている。まだ彼女に触れたことがないとき、彼女がどんな声で喘ぐのか考え一人自分を慰めたのは、一度や二度ではない。
「っルシアナ……ルシアナ……!」
自然と手の動きは早くなり、粘性のある音が鼓膜から脳へと伝わる。それが怒張した自身から聞こえることは理解しつつ、脳内では彼女の膣内を攻め立てる音に変換されていた。
「愛してる……ッ、ルシアナ……っ」
愛してると口にすればこの醜い欲も許されると思っているかのような自分の態度に、レオンハルトは嘲笑を漏らす。
(だが、どうしようもない。自分の中でだけでも受け入れ発散させなければ……)
この醜い欲をすべてルシアナにぶつけるつもりはなかった。
彼女が自分の手で乱れるのを見るだけで満足というのも、まったくの嘘というわけではない。
どれほど強い独占欲を抱き、嫉妬心を持ったとしても、彼女を何よりも大切にしたいと思う気持ちはずっと変わらずある。彼女が喜んで、幸せでいてくれるのが何よりも大事なのだ。
「っはぁ」
どんどん手の中のものが熱くなり、腰にどんよりとした悦楽が蓄積されていくのを感じながら、レオンハルトは歯を噛み締める。
「ルシアナ……!」
腰が震え、二度目とは思えないほどの量のものが布団に染みを作っていく。
最後の一滴まで絞り出したレオンハルトは、汚れていない手をベッドにつき、上体を起こす。
「……」
自分の傍らに置かれたままのルシアナのナイトガウンと、彼女の体を清拭したハンカチが視界に入り、レオンハルトは体の力が抜けたようにベッドに横向きに倒れた。
下半身が汚れたままで気持ち悪かったが、それをどうにかする気にはなれず、汚れていない手で、最初にベッドに横になったときのように、ガウンの袖を軽く掴んだ。
「ルシアナ……」
弾む息の間を縫って、彼女の名前を呼ぶ。
(このことが彼女に知れたら、彼女は幻滅するだろうか)
自分の考えに、ふっと小さな笑みが漏れた。
(いや……彼女なら、恥ずかしそうにしながらも受け入れるだろう。もしくは、一人で欲を発散したことを叱られるかもしれない)
そんな考えが浮かぶくらいには、彼女に愛されている自覚がある。
(……俺は、彼女に愛されている。そして俺も、彼女を愛している)
これから先、自分がそういう意味で愛する女性は彼女だけだ。
ルシアナも、そうであってほしいと思う。
(そうなるように、俺が努力をしなければいけない。彼女が俺を愛し続けてくれるように……できる限りの手を尽くさなければ)
彼女の目に、他の誰かが魅力的に映らないように。
彼女に至上の幸福を与えられるのは、自分だけだと思ってもらえるように。
「愛してる。俺の……俺だけの、ルシアナ」
レオンハルトは至極大事そうにルシアナの名を口にすると、泥濘に沈んでいくように、深い眠りへと落ちていった。
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