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第五章
披露宴(七)
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一通り姉たちに可愛がられたルシアナは、レオンハルトと共に来賓への挨拶回りをしていた。
一番初めに会いに行ったのは、当然テオバルドとヘレナだ。
「俺には一言あってもよかったんじゃないか!? せめてルマデル伯爵が第一王女の夫であることは知らせておくべきだろう!?」
小声でそう詰め寄るテオバルドに、レオンハルトは悪びれる様子もなく小さく息を吐いた。
「陛下から、お前はすぐに態度に出るから知らせなくてもいいと言われていたんだ。悪かったな」
別に悪いとは思っていない、と明らかにわかる態度だったが、言われたことが図星だったのか、テオバルドはただ悔しそうにレオンハルトの脇腹に拳を入れる。
その隣で、ヘレナは安堵したようにルシアナの両手を握った。
「無事……と言っては語弊がありますが、つつがなく事が終わり安心いたしました。改めて、おめでとうございます、ルシアナ様」
「ありがとうございます、ヘレナ様。また、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした」
優しく微笑み首を横に振ったヘレナは、いつまでもレオンハルトに絡み続けるテオバルドの腕を引き、別の場所へと移動する。
そんな彼女たちを見送りつつ、ルシアナとレオンハルトは近くにいたディートリヒ、ユーディット、テレーゼの元へ行く。
「ご挨拶が遅れました。本日はありがとうございます、父上、母上」
「いい。予想よりずいぶんと激しく暴れてくれたからな。……これからは、何よりも大事にするんだぞ、レオンハルト」
「はい」
「計画していたこととはいえ、嫌な役回りをさせてしまいましたね。今日という日が、ルシアナ様にとって佳き日として残ればよいのですが」
「わたくしは十分、今日という日を幸せに過ごしておりますわ。ですから、どうかお気になさらないでくださいませ」
ルシアナは穏やかに微笑むと、「それから」とディートリヒとユーディットに交互に視線を向ける。
「わたくしはもう王女ではありませんので、敬語は不要ですわ」
その言葉に、ディートリヒとユーディットは一瞬視線を交わしたものの、すぐにそれをルシアナに戻し、微笑を返した。
「……そうか。では、改めて……ルシアナ殿、息子のことをよろしく頼む」
「何かあったら……いいえ、何もなくても、いつでも連絡してね」
「はい。ありがとうございます、お義父様、お義母様」
最後にユーディットと抱擁を交わすと、ルシアナはテレーゼへ向き直る。
「テレーゼ様も、本日はありがとうございます。この半年のパーティーでもずいぶんとお世話になりましたわ。改めて、ご協力いただきありがとうございました」
そう微笑むルシアナに対し、テレーゼの表情は浮かない。
(……やっぱり複雑なのかしら。テレーゼ様はもともとレオンハルト様のことを――)
「本当に、申し訳ございませんでした」
「え……」
深く頭を下げ、謝罪を口にするテレーゼに、ルシアナは目を丸くする。彼女が何故謝罪したのか、何に対して謝罪したのか混乱していると、そのままの姿勢で彼女は続けた。
「わたしが以前無礼を働いたのは、外的要因があったからだとおっしゃいましたが、それがなくても、わたしはきっとルシアナ様に対し立場を弁えぬ行いしたことでしょう。今日の彼女の醜態を見て……もしかしたらあの場にいたのは自分だったかもしれない、と強く感じました」
「まあ……そのようなことは――」
テレーゼは、緩く首を横に振る。
「謝罪をしたところで到底許されるものではなく、また過去のことを蒸し返すなど、今日の佳き日に水を差すような行いであることは重々承知しております。けれどどうか、この場で身勝手な謝罪をすることをお許しください。その節は、誠に申し訳ございませんでした」
さらに深く腰を折ったテレーゼを見て、ルシアナは一つ呼吸をすると、姿勢を正した。
「謝罪を受け入れます。かつての行いも、本日の行いも、すべてを許しましょう。ですから、頭をお上げください」
ゆっくりと姿勢を戻したテレーゼの顔は、今にも泣きそうだった。
「……おめでとぉ」
「ありがとうございます、テレーゼ様」
抱き着いて来たテレーゼを優しく抱き締め返せば、耳元で鼻を啜るような音が聞こえた。
「……これからも、たまにはわたしとお茶しなさいよ」
「もちろんですわ。テレーゼ様の好きなハーブティーを用意しておきますね」
「……ブラウニーもよ」
体を離し、唇を尖らせながらそう言うテレーゼに、ルシアナは笑みを漏らすと頷く。それを見てテレーゼも小さな笑みを返すと、レオンハルトへ目を向けた。
「おにい様も、本日は誠におめでとうございます」
「……ああ。お前も、来てくれてありがとう」
(あ……)
眉を下げて笑うテレーゼの表情に、ルシアナが手放させてしまった感情の一端が、滲んで見えたような気がした。ルシアナはわずかに胸が痛んだのを感じたが、当のテレーゼはすぐにその表情を消すと、ルシアナをレオンハルトの隣へ押しやりつつ眉を吊り上げた。
「お二人の婚姻については心からお祝いしますが、今回の計画をおにい様が推し進めたことはまだ納得していませんからね。一番損をする立場にいたのはこの子なんですから、ちゃんと労わってあげてください。じゃないと、わたしが家に連れて帰って、ルシアナ様と一緒に暮らしますから!」
「まあ。それはとても楽しそうですわ」
思わずそう顔を輝かせれば、ぐっと肩を掴まれ、引き寄せられた。
「元よりそのつもりだ。……これからも、変わらず彼女と親交を重ねてくれ」
「そんなの当然ですわ。わたしとルシアナ様は仲のいいお友だちですもの」
胸を張って明るく笑う彼女に、ルシアナは一瞬目を伏せると、すぐに同じような笑みを返した。
身内との和やかな挨拶を終え、次は招待した貴族たちへの元へと向かう。
本来であれば、身分の高いブロムベルク公爵へ先に挨拶をするところだが、ルシアナとレオンハルトは彼らの前を通り過ぎ、顎にある傷が印象的なケルル辺境伯の前で足を止める。
(戦時中、とてもお世話になったとレオンハルト様がおっしゃっていたわ)
「遠いところをお越しくださりありがとうございます、ケルル辺境伯」
「本日は誠におめでとうございます、シルバキエ公爵閣下、公爵夫人」
ケルル辺境伯は親しげな笑みを浮かべると、レオンハルトの肩を叩く。
「いやはや、時の流れとは何とも早い。最後にお会いしたのは、トゥルエノ王国からやってくる夫人を公爵が迎えに来たときですかな?」
「はい。あのときは人払いや人員配備、規制などにご協力いただきありがとうございました」
「なに、記念すべき場に我が領地を選んでいただけたこと、心より感謝する。次は是非、二人で来てください」
「ええ、是非」
「ありがとうございます、是非伺わせていただきますわ」
豪快に笑うケルル辺境伯と別れ、また次、その次、と順々に声を掛けていく。
しかし、先ほどのブロムベルク公爵同様、レーブライン伯爵、デデキント伯爵をはじめとしたいくつかの家門には目もくれず、前を通り過ぎる。
『シルバキエ公爵家としての今後の意向を示す』
『このあとの対応がシルバキエ公爵家としての意思表示』
挨拶回りを始める前、そう宣言したレオンハルトの言葉の意味を真に理解したのか、声を掛けられなかった者は顔色を悪くし、声を掛けられたものは安堵の表情を浮かべた。
あまりにもあからさまな対応ではあったが、この行いに対し異を唱える者は誰一人としていなかった。
一番初めに会いに行ったのは、当然テオバルドとヘレナだ。
「俺には一言あってもよかったんじゃないか!? せめてルマデル伯爵が第一王女の夫であることは知らせておくべきだろう!?」
小声でそう詰め寄るテオバルドに、レオンハルトは悪びれる様子もなく小さく息を吐いた。
「陛下から、お前はすぐに態度に出るから知らせなくてもいいと言われていたんだ。悪かったな」
別に悪いとは思っていない、と明らかにわかる態度だったが、言われたことが図星だったのか、テオバルドはただ悔しそうにレオンハルトの脇腹に拳を入れる。
その隣で、ヘレナは安堵したようにルシアナの両手を握った。
「無事……と言っては語弊がありますが、つつがなく事が終わり安心いたしました。改めて、おめでとうございます、ルシアナ様」
「ありがとうございます、ヘレナ様。また、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした」
優しく微笑み首を横に振ったヘレナは、いつまでもレオンハルトに絡み続けるテオバルドの腕を引き、別の場所へと移動する。
そんな彼女たちを見送りつつ、ルシアナとレオンハルトは近くにいたディートリヒ、ユーディット、テレーゼの元へ行く。
「ご挨拶が遅れました。本日はありがとうございます、父上、母上」
「いい。予想よりずいぶんと激しく暴れてくれたからな。……これからは、何よりも大事にするんだぞ、レオンハルト」
「はい」
「計画していたこととはいえ、嫌な役回りをさせてしまいましたね。今日という日が、ルシアナ様にとって佳き日として残ればよいのですが」
「わたくしは十分、今日という日を幸せに過ごしておりますわ。ですから、どうかお気になさらないでくださいませ」
ルシアナは穏やかに微笑むと、「それから」とディートリヒとユーディットに交互に視線を向ける。
「わたくしはもう王女ではありませんので、敬語は不要ですわ」
その言葉に、ディートリヒとユーディットは一瞬視線を交わしたものの、すぐにそれをルシアナに戻し、微笑を返した。
「……そうか。では、改めて……ルシアナ殿、息子のことをよろしく頼む」
「何かあったら……いいえ、何もなくても、いつでも連絡してね」
「はい。ありがとうございます、お義父様、お義母様」
最後にユーディットと抱擁を交わすと、ルシアナはテレーゼへ向き直る。
「テレーゼ様も、本日はありがとうございます。この半年のパーティーでもずいぶんとお世話になりましたわ。改めて、ご協力いただきありがとうございました」
そう微笑むルシアナに対し、テレーゼの表情は浮かない。
(……やっぱり複雑なのかしら。テレーゼ様はもともとレオンハルト様のことを――)
「本当に、申し訳ございませんでした」
「え……」
深く頭を下げ、謝罪を口にするテレーゼに、ルシアナは目を丸くする。彼女が何故謝罪したのか、何に対して謝罪したのか混乱していると、そのままの姿勢で彼女は続けた。
「わたしが以前無礼を働いたのは、外的要因があったからだとおっしゃいましたが、それがなくても、わたしはきっとルシアナ様に対し立場を弁えぬ行いしたことでしょう。今日の彼女の醜態を見て……もしかしたらあの場にいたのは自分だったかもしれない、と強く感じました」
「まあ……そのようなことは――」
テレーゼは、緩く首を横に振る。
「謝罪をしたところで到底許されるものではなく、また過去のことを蒸し返すなど、今日の佳き日に水を差すような行いであることは重々承知しております。けれどどうか、この場で身勝手な謝罪をすることをお許しください。その節は、誠に申し訳ございませんでした」
さらに深く腰を折ったテレーゼを見て、ルシアナは一つ呼吸をすると、姿勢を正した。
「謝罪を受け入れます。かつての行いも、本日の行いも、すべてを許しましょう。ですから、頭をお上げください」
ゆっくりと姿勢を戻したテレーゼの顔は、今にも泣きそうだった。
「……おめでとぉ」
「ありがとうございます、テレーゼ様」
抱き着いて来たテレーゼを優しく抱き締め返せば、耳元で鼻を啜るような音が聞こえた。
「……これからも、たまにはわたしとお茶しなさいよ」
「もちろんですわ。テレーゼ様の好きなハーブティーを用意しておきますね」
「……ブラウニーもよ」
体を離し、唇を尖らせながらそう言うテレーゼに、ルシアナは笑みを漏らすと頷く。それを見てテレーゼも小さな笑みを返すと、レオンハルトへ目を向けた。
「おにい様も、本日は誠におめでとうございます」
「……ああ。お前も、来てくれてありがとう」
(あ……)
眉を下げて笑うテレーゼの表情に、ルシアナが手放させてしまった感情の一端が、滲んで見えたような気がした。ルシアナはわずかに胸が痛んだのを感じたが、当のテレーゼはすぐにその表情を消すと、ルシアナをレオンハルトの隣へ押しやりつつ眉を吊り上げた。
「お二人の婚姻については心からお祝いしますが、今回の計画をおにい様が推し進めたことはまだ納得していませんからね。一番損をする立場にいたのはこの子なんですから、ちゃんと労わってあげてください。じゃないと、わたしが家に連れて帰って、ルシアナ様と一緒に暮らしますから!」
「まあ。それはとても楽しそうですわ」
思わずそう顔を輝かせれば、ぐっと肩を掴まれ、引き寄せられた。
「元よりそのつもりだ。……これからも、変わらず彼女と親交を重ねてくれ」
「そんなの当然ですわ。わたしとルシアナ様は仲のいいお友だちですもの」
胸を張って明るく笑う彼女に、ルシアナは一瞬目を伏せると、すぐに同じような笑みを返した。
身内との和やかな挨拶を終え、次は招待した貴族たちへの元へと向かう。
本来であれば、身分の高いブロムベルク公爵へ先に挨拶をするところだが、ルシアナとレオンハルトは彼らの前を通り過ぎ、顎にある傷が印象的なケルル辺境伯の前で足を止める。
(戦時中、とてもお世話になったとレオンハルト様がおっしゃっていたわ)
「遠いところをお越しくださりありがとうございます、ケルル辺境伯」
「本日は誠におめでとうございます、シルバキエ公爵閣下、公爵夫人」
ケルル辺境伯は親しげな笑みを浮かべると、レオンハルトの肩を叩く。
「いやはや、時の流れとは何とも早い。最後にお会いしたのは、トゥルエノ王国からやってくる夫人を公爵が迎えに来たときですかな?」
「はい。あのときは人払いや人員配備、規制などにご協力いただきありがとうございました」
「なに、記念すべき場に我が領地を選んでいただけたこと、心より感謝する。次は是非、二人で来てください」
「ええ、是非」
「ありがとうございます、是非伺わせていただきますわ」
豪快に笑うケルル辺境伯と別れ、また次、その次、と順々に声を掛けていく。
しかし、先ほどのブロムベルク公爵同様、レーブライン伯爵、デデキント伯爵をはじめとしたいくつかの家門には目もくれず、前を通り過ぎる。
『シルバキエ公爵家としての今後の意向を示す』
『このあとの対応がシルバキエ公爵家としての意思表示』
挨拶回りを始める前、そう宣言したレオンハルトの言葉の意味を真に理解したのか、声を掛けられなかった者は顔色を悪くし、声を掛けられたものは安堵の表情を浮かべた。
あまりにもあからさまな対応ではあったが、この行いに対し異を唱える者は誰一人としていなかった。
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