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第一話 運び屋
1.「運び屋」
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予報通りの雨、小降りではあるが雨は嫌いだ。
こんな日は左の義足が軋む。
早く仕事を済ませてしまおう。幸い、今日の仕事は一件。
事務所一階のガレージに向かう。
「お、ヤマトさんこれから仕事っすか?
隣町の…ジャンク屋まで。あ、ならついでにコレの駆動系が入ってきてないか聞いてきてくれません?」
と、助手のシオンが顔を出してきた。
「おう、言っておく。」
愛車の二輪車に跨り、事務所を出る。
型落ち気味なのは否めないが、長い事苦楽を共にしてきた相棒だ。燃費の悪さはご愛嬌。
「とはいえ、そろそろガタが来てるんだよな…」
まぁ、新調する余裕はないが。
そもそもこんな辺境じゃ、まだ動くマシンが流れてくる事自体稀だ。
大体の奴はジャンク品から部品を寄せ集めて
どうにか使える物を拵えるのだが、当然、各部品代は馬鹿にならない。
有る物を、騙し騙し使っていくしかないのが現実だ。
世知辛さを嘆いている間に雨は上がっていた。
目的地のジャンク屋はもう目と鼻の先。
「ども、ご無沙汰してます親父さん。これお届け物。」
「おお、ヤマトじゃないか!元気してたか?」
「まぁ、ぼちぼちですね。あ、そういやシオンが前のと同じやつ入ってきてないかって。」
「あぁ、それなら…」
用件が済んだらすぐお暇する予定だったのだが、相変わらずここの店主は話が長い。気づけばかれこれ30分は彼の武勇伝を聞いている。
「…でな、だから俺ァ言ってやったのさ…そんな風に…」
「あの、すまない親父さん。俺この後も予定があって…」
「お、そいつぁスマねぇな。そんじゃ、シオンの坊主にも宜しく言っといてくれや。」
本当は予定など無いのだが、親父さんはスイッチが入ると恐ろしく饒舌で、時間が溶ける。
斯くいう俺はここ数週間、ずっと休み無しのフルタイム稼働。
正直ベッドが恋しい。すまん親父さん。
そんなこんなで帰路を行く。
此処はかつての繁華街。
今じゃがらんどうの廃都市。
事務所から隣町までの距離は案外離れており、片道30分は掛かる。
加えて道中の治安も最悪だ。
人気のない場所では貧困層による追い剥ぎが横行しているらしい。
少しでも隙を見せたら間違いなく襲われる。
それ故に今のご時世、丸腰で移動する人間は殆ど居ないと言っても過言ではないだろう。
俺も護身用のブレードを愛車に括り付けている。
暫く走っていると、何やら揉めているような声が聞こえてきた。正直面倒事は御免なのだが、事務所へ帰るにはこの道を通過するしかない。
「へへ…嬢ちゃんよぉ!別に取って食おうってんじゃねぇんだぜ?おじさん達はそのでけぇ荷物を譲ってくれって言ってるだけでよぉ」
「そうそう。俺らも暇じゃねぇからよ?早いとこ渡してくれると助かるんだけどなぁ?」
絵に描いたような悪漢が二人。
恐らくは廃都市に住み着いているゴロツキの類だろう。
襲われているのは少女らしい。
ここいらじゃ見ない顔だ。
真っ赤なコートを着て、お上品そうな顔立ち。
自身の身体の半分程はある大きなキャリーケースを持っている。
「……が…」
「あん?なんつった??」
「下衆共が!近寄るなと言ってるんだ!!」
ダァン、と大きな音が響いた。
こんな日は左の義足が軋む。
早く仕事を済ませてしまおう。幸い、今日の仕事は一件。
事務所一階のガレージに向かう。
「お、ヤマトさんこれから仕事っすか?
隣町の…ジャンク屋まで。あ、ならついでにコレの駆動系が入ってきてないか聞いてきてくれません?」
と、助手のシオンが顔を出してきた。
「おう、言っておく。」
愛車の二輪車に跨り、事務所を出る。
型落ち気味なのは否めないが、長い事苦楽を共にしてきた相棒だ。燃費の悪さはご愛嬌。
「とはいえ、そろそろガタが来てるんだよな…」
まぁ、新調する余裕はないが。
そもそもこんな辺境じゃ、まだ動くマシンが流れてくる事自体稀だ。
大体の奴はジャンク品から部品を寄せ集めて
どうにか使える物を拵えるのだが、当然、各部品代は馬鹿にならない。
有る物を、騙し騙し使っていくしかないのが現実だ。
世知辛さを嘆いている間に雨は上がっていた。
目的地のジャンク屋はもう目と鼻の先。
「ども、ご無沙汰してます親父さん。これお届け物。」
「おお、ヤマトじゃないか!元気してたか?」
「まぁ、ぼちぼちですね。あ、そういやシオンが前のと同じやつ入ってきてないかって。」
「あぁ、それなら…」
用件が済んだらすぐお暇する予定だったのだが、相変わらずここの店主は話が長い。気づけばかれこれ30分は彼の武勇伝を聞いている。
「…でな、だから俺ァ言ってやったのさ…そんな風に…」
「あの、すまない親父さん。俺この後も予定があって…」
「お、そいつぁスマねぇな。そんじゃ、シオンの坊主にも宜しく言っといてくれや。」
本当は予定など無いのだが、親父さんはスイッチが入ると恐ろしく饒舌で、時間が溶ける。
斯くいう俺はここ数週間、ずっと休み無しのフルタイム稼働。
正直ベッドが恋しい。すまん親父さん。
そんなこんなで帰路を行く。
此処はかつての繁華街。
今じゃがらんどうの廃都市。
事務所から隣町までの距離は案外離れており、片道30分は掛かる。
加えて道中の治安も最悪だ。
人気のない場所では貧困層による追い剥ぎが横行しているらしい。
少しでも隙を見せたら間違いなく襲われる。
それ故に今のご時世、丸腰で移動する人間は殆ど居ないと言っても過言ではないだろう。
俺も護身用のブレードを愛車に括り付けている。
暫く走っていると、何やら揉めているような声が聞こえてきた。正直面倒事は御免なのだが、事務所へ帰るにはこの道を通過するしかない。
「へへ…嬢ちゃんよぉ!別に取って食おうってんじゃねぇんだぜ?おじさん達はそのでけぇ荷物を譲ってくれって言ってるだけでよぉ」
「そうそう。俺らも暇じゃねぇからよ?早いとこ渡してくれると助かるんだけどなぁ?」
絵に描いたような悪漢が二人。
恐らくは廃都市に住み着いているゴロツキの類だろう。
襲われているのは少女らしい。
ここいらじゃ見ない顔だ。
真っ赤なコートを着て、お上品そうな顔立ち。
自身の身体の半分程はある大きなキャリーケースを持っている。
「……が…」
「あん?なんつった??」
「下衆共が!近寄るなと言ってるんだ!!」
ダァン、と大きな音が響いた。
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