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『ドラゴンクエスト』編
『ドラゴンクエスト』、どうやって遊ぶ?(3)
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「ファミコン時代のこの操作性がまたやりにくくて懐かしさを感じるんだよねー」
遊戯大館の店長がファミコンの電源を再びONにする。
私はうらめしそうに、そのファミコンに差し込まれた『ドラゴンクエストⅠ』を見つめてしまう。
今、私は遊戯大館の店長に捕まり半強制的にクソゲー認定したファミコン版のドラゴンクエスト1をやらされている。
こんなことならさっさと帰るべきだった。うかつにもこのおじさんと目があってしまったのが運の尽き。
「ん、どうした?さっさと名前を決めないと~」
「あっ、はい」
おじさんにせかされて私は急いで自分の名前である"まい"を勇者の名前として再度登録する。
2回目のゲームスタート。
相変わらず勇者まいは王様にお尻を向けている。
オープニングは唐突に始まり勇者の意思とは関係なく旅立たされる。
カニ歩き、ダサい。しかし、BGMだけはやたら脳内に残る名曲である。
どうやら、ドラクエというのは最初から名曲揃いだったのだろう。
階段を進むときの"ザッザッザッ"の効果音も初期のころからあったんだね。
「さっきもらった120Gで"たけざお"、"ぬののふく"、"かわのたて"をラダトームの町で絶対に買っておくんだ。これを買うのと買わないのでは序盤の難易度が変わってくるからな」
隣でうるさくおじさんが言うがままに私は道具屋で"たけざお"、"ぬののふく"、"かわのたて"を買う。
「(そう言えば、さっきは何も買わずに丸腰で挑んでいたかも……)」
いざ、フィールドに出る。早速スライムとの戦闘。
レベル1にも関わらず思いのほか簡単に勝ててしまった。
「あれ?さっきよりも戦闘がスムーズかも」
「だろ?ファミコン版はなかなかシビアにパラメータ設定されているから推奨レベル、推奨装備で進まないとすぐに詰まってしまうんだ。もっとも、うまくやれば多少無理しても進めるけどな」
「そうなんだー」
おじさんの言うとおりに進めると意外にもサクサクと進んだ。
どうやら私が子供のころにプレイしたスーファミ版は初心者向けにバランス調整が行われていたらしい。
ドラクエ1は近年のドラクエとは異なりランダムエンカウント方式。
フィールド上で敵の姿は見えず歩くごとにランダムで敵との戦闘が始まる。
2,3歩歩くごとに戦闘。また2,3歩歩くごとに戦闘。
そう、ドラクエ1はエンカウント率が異常に高いのだ。
適正レベルだと1戦闘ごとに息も絶え絶え。死にかける。
「ドラクエ1はかなりエンカウント率が高いんだよなー、序盤はやくそうも買えないから苦労する」
「やくそう高いですしね~」
さっきラダトームの町の道具屋で見た"やくそう"の値段は何と24ゴールド。
こんなHPを少し回復するだけの消耗品が布の服より高いのである。敵を倒しても数ゴールドしか取得できないのだから高価な買い物である。
そんなとき、戦闘終了時に突然、"テレレ レッテッテッテッテー"という軽快な効果音が流れる♪
「来たぞ、レベルアップだ。これで戦闘が楽になる」
「あ、ホイミ!」
私は思わず感嘆の声を上げる。回復魔法のホイミさえあればもっと遠出が出来るのである。
「よし、どんどん進もう」
「ですね~」
いつの間にかおじさん―――もとい、遊戯大館の店長との会話も弾む。
私自身、幼き日々にプレイしたドラゴンクエストを思い出してきたからなのかもしれない。
ホイミやギラを覚えてコツをつかんでしまえばあっという間。
そもそもドラクエ1のストーリーは大して長いわけでもなく適正レベルにさえ注意していればガンガン進めることが出来る。
最初のボスであるドラゴンも難なく倒して最初の目的であるローラ姫を救出。
ローラ姫を救出すると勇者のグラフィックがお姫様抱っこをしている状態に変わる演出つきである。
そしてお約束の"ゆうべはおたのしみでしたね"
子供の頃はこの言葉の意味を知らなかったが大人になった今なら意味が分かるので思わずにやけてしまう。
「ちなみにラダトームに戻らなければローラ姫を抱えた状態で竜王を倒すことも出来るの知ってた?」
「そうなんですか!それは初めて知りました!」
そういう小ネタもこの時代からあったとは驚き。
「ただし、ローラ姫を抱えた状態では王様からふっかつのじゅもんを聞くことはできないから実質セーブできないけどなww」
店主の少し意地悪なそれでいてからかうような笑いが混じって聞こえてくる(笑)
「えー、それは厳しいですよ~」
やってみたい気持ちは多々あれど、セーブがわりのふっかつのじゅもんが聞けなくなる縛りプレイは今の自分には難易度が高すぎる。
諦めてラダトームに帰還してローラ姫を返す。
すかさず、王様からふっかつの呪文を聞いてスマホカメラで撮る。
昔はふっかつの呪文を書き間違えたりしていたようだけど、今ではスマホで一発。便利な時代になったものだ(笑)
「更に言うと実はローラ姫を助けなくてもゲームはすすめちゃうんだよね~」
「マジっすか!!!」
まさかの情報に驚く。ローラ姫の救出はゲームの目的の一つ。さすがにこれは嘘ではなかろうか?
「マジよ、マジ。姫を助けると王女の愛っていう道具が手に入るんだけど、場所さえわかっていればそれすら必須じゃないからw」
「なんとっ!!」
「まあ、ドラクエ1やりこみ要素の一つだよねー、初心者には厳しいからおすすめしないけどさ。でさー……」
おっさんの話は止まらない。
自分はおっさん、もとい『遊戯大館』の店長である遊戯太造の蘊蓄話を適度にうなづきつつ自分はドラクエを進めていくことにした。
遊戯大館の店長がファミコンの電源を再びONにする。
私はうらめしそうに、そのファミコンに差し込まれた『ドラゴンクエストⅠ』を見つめてしまう。
今、私は遊戯大館の店長に捕まり半強制的にクソゲー認定したファミコン版のドラゴンクエスト1をやらされている。
こんなことならさっさと帰るべきだった。うかつにもこのおじさんと目があってしまったのが運の尽き。
「ん、どうした?さっさと名前を決めないと~」
「あっ、はい」
おじさんにせかされて私は急いで自分の名前である"まい"を勇者の名前として再度登録する。
2回目のゲームスタート。
相変わらず勇者まいは王様にお尻を向けている。
オープニングは唐突に始まり勇者の意思とは関係なく旅立たされる。
カニ歩き、ダサい。しかし、BGMだけはやたら脳内に残る名曲である。
どうやら、ドラクエというのは最初から名曲揃いだったのだろう。
階段を進むときの"ザッザッザッ"の効果音も初期のころからあったんだね。
「さっきもらった120Gで"たけざお"、"ぬののふく"、"かわのたて"をラダトームの町で絶対に買っておくんだ。これを買うのと買わないのでは序盤の難易度が変わってくるからな」
隣でうるさくおじさんが言うがままに私は道具屋で"たけざお"、"ぬののふく"、"かわのたて"を買う。
「(そう言えば、さっきは何も買わずに丸腰で挑んでいたかも……)」
いざ、フィールドに出る。早速スライムとの戦闘。
レベル1にも関わらず思いのほか簡単に勝ててしまった。
「あれ?さっきよりも戦闘がスムーズかも」
「だろ?ファミコン版はなかなかシビアにパラメータ設定されているから推奨レベル、推奨装備で進まないとすぐに詰まってしまうんだ。もっとも、うまくやれば多少無理しても進めるけどな」
「そうなんだー」
おじさんの言うとおりに進めると意外にもサクサクと進んだ。
どうやら私が子供のころにプレイしたスーファミ版は初心者向けにバランス調整が行われていたらしい。
ドラクエ1は近年のドラクエとは異なりランダムエンカウント方式。
フィールド上で敵の姿は見えず歩くごとにランダムで敵との戦闘が始まる。
2,3歩歩くごとに戦闘。また2,3歩歩くごとに戦闘。
そう、ドラクエ1はエンカウント率が異常に高いのだ。
適正レベルだと1戦闘ごとに息も絶え絶え。死にかける。
「ドラクエ1はかなりエンカウント率が高いんだよなー、序盤はやくそうも買えないから苦労する」
「やくそう高いですしね~」
さっきラダトームの町の道具屋で見た"やくそう"の値段は何と24ゴールド。
こんなHPを少し回復するだけの消耗品が布の服より高いのである。敵を倒しても数ゴールドしか取得できないのだから高価な買い物である。
そんなとき、戦闘終了時に突然、"テレレ レッテッテッテッテー"という軽快な効果音が流れる♪
「来たぞ、レベルアップだ。これで戦闘が楽になる」
「あ、ホイミ!」
私は思わず感嘆の声を上げる。回復魔法のホイミさえあればもっと遠出が出来るのである。
「よし、どんどん進もう」
「ですね~」
いつの間にかおじさん―――もとい、遊戯大館の店長との会話も弾む。
私自身、幼き日々にプレイしたドラゴンクエストを思い出してきたからなのかもしれない。
ホイミやギラを覚えてコツをつかんでしまえばあっという間。
そもそもドラクエ1のストーリーは大して長いわけでもなく適正レベルにさえ注意していればガンガン進めることが出来る。
最初のボスであるドラゴンも難なく倒して最初の目的であるローラ姫を救出。
ローラ姫を救出すると勇者のグラフィックがお姫様抱っこをしている状態に変わる演出つきである。
そしてお約束の"ゆうべはおたのしみでしたね"
子供の頃はこの言葉の意味を知らなかったが大人になった今なら意味が分かるので思わずにやけてしまう。
「ちなみにラダトームに戻らなければローラ姫を抱えた状態で竜王を倒すことも出来るの知ってた?」
「そうなんですか!それは初めて知りました!」
そういう小ネタもこの時代からあったとは驚き。
「ただし、ローラ姫を抱えた状態では王様からふっかつのじゅもんを聞くことはできないから実質セーブできないけどなww」
店主の少し意地悪なそれでいてからかうような笑いが混じって聞こえてくる(笑)
「えー、それは厳しいですよ~」
やってみたい気持ちは多々あれど、セーブがわりのふっかつのじゅもんが聞けなくなる縛りプレイは今の自分には難易度が高すぎる。
諦めてラダトームに帰還してローラ姫を返す。
すかさず、王様からふっかつの呪文を聞いてスマホカメラで撮る。
昔はふっかつの呪文を書き間違えたりしていたようだけど、今ではスマホで一発。便利な時代になったものだ(笑)
「更に言うと実はローラ姫を助けなくてもゲームはすすめちゃうんだよね~」
「マジっすか!!!」
まさかの情報に驚く。ローラ姫の救出はゲームの目的の一つ。さすがにこれは嘘ではなかろうか?
「マジよ、マジ。姫を助けると王女の愛っていう道具が手に入るんだけど、場所さえわかっていればそれすら必須じゃないからw」
「なんとっ!!」
「まあ、ドラクエ1やりこみ要素の一つだよねー、初心者には厳しいからおすすめしないけどさ。でさー……」
おっさんの話は止まらない。
自分はおっさん、もとい『遊戯大館』の店長である遊戯太造の蘊蓄話を適度にうなづきつつ自分はドラクエを進めていくことにした。
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