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第3章 聖戦
4.クリスの話(2)
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僕はもう一度クリスの部屋を見渡した。何もかもマグドーの部屋に似せて作られた部屋。その部屋で懐かしいお茶をクリスと共に飲み、まるでタイムスリップした気分になった。
「何から話せばいいのかな…?」
「一時間じゃなくていいよ。ゆっくりでいい、何時間でも聞く」
クリスはスカイブルーの瞳を細めて僕を見た。
こんな時すら僕に微笑んでくるクリスはやはり未来の王妃としての教育を順当に終えた人物なのだろう。
「ありがとう。少し長くなるし…嫌な話もあると思う。でもユウトには聞いて欲しい」
「うん」
「僕はね…生まれた時からルーツの子として育てられた。他の男の子のように外で泥だらけで遊ぶなんて事は禁じられたし、恋愛も禁じられた。でも不満は無かったんだ。むしろ誇らしくもあった。自分がこのカナーディルを守る一員、妃になれるんだって...」
「うん」
「年頃になると、アーノルドかリオルドを選べと言われてね。僕はアーノルドを選んだ、第一王子だったから。理由はそれだけなんだ。二人には友情しか感じなかったし、それなら王妃になり国を支えたかった」
この話は聞いたことがある。
リオルドがクリスの相手は自分だと粘ったけれど結局クリスがアーノルドを選んだという話だった。
ーーークリスはアーノルドを好きだから選んだ訳じゃなかったのか。
「一年ちょっとくらいかな?結婚生活は比較的上手くいってたと思う。元々アーノルドとは友人だから気があうし。僕はサニー王妃の公務に付いていったりして色々学んだ。ただ…アーノルドは公務には出なかった。今も出ないけどね」
「何か理由があるの?」
「ううん。単に人の前に出るのが苦手なんだ。その代わりに調べ物をしたり戦略を練ったりしているよ。まぁ、それが良くなかったのかな」
「?」
「書庫にいるでしょ?ジェイ。アーノルドは彼女に恋をしたのさ」
「ジェイに…」
ーーーやっぱりそうか。あの2人の間には独特な雰囲気が流れている。だがクリスを裏切り不貞を働く人達にはどうにも見えない。
「まぁ、仕方がないよ。アーノルドは異性愛者だった、それを変えることが出来なかったんだろう。ジェイはね、元々は枢機卿の孤児院にいたんだ。成長して書庫の司書に口利きしたのがアーノルドさ。」
「うん」
「ジェイが城にくるまでは、その…夫婦生活も最低限はあったよ。アーノルドも王家の子孫を残さなければという気持ちがあったんだろうな。でも、ジェイが司書になったら...」
「その、それが無くなったの?」
「いや…。機能しなくなった。と言うのが正しいかな」
「機能しない…」
「うん、ユウトこういう話苦手だよね。ごめん。」
「ううん。話して」
クリスは淡々と話した。
彼の中ではもう終わった話なのだろう。
ジェイが来てからもアーノルドはクリスと夫婦関係を持とうとはしていた。
だが、いざとなると機能しなかった。
最初は疲れているのだろうと二人は思っていた。しかし、1か月、2カ月経っても改善はしなかった。
色々なことを試して見た。
良いお茶があると聞けば買いにいき、針治療や食物治療…しかしどれも功を奏する事は無く、最終的にアーノルド達は王に報告したという。
「アーノルドとジェイは付き合ってる訳じゃないんだよ?二人共真面目でしょ。ずーっと二人は両片想いをしてる。僕に気を使ってお互い想いを言わないんだ。それがより一層、僕を惨めな気分にさせたよ」
クリスは瞳を閉じてお茶を一口飲んだ。
ユウトはクリスにかける慰めの言葉を一生懸命探したが見つかりそうも無かった。
「ユウト、僕はね、君達に子供が出来たら離縁される」
「え!?」
「ふふ、驚かないで。僕が王に頼んだんだ。アーノルドとジェイは想いあってる、だから、もしリオルドに子孫が出来たなら僕を離縁して二人を一緒にさせてあげて欲しいと」
「クリスはそれで良いの?」
「仕方がないよ。まさかリオルドの相手がユウトになるとは思わなかったけどね。二人に子供が出来たら僕は離縁される。でも、もうマグドーの家には帰れない。ジブリールとは立場が違うから…どこか離宮で一生を終えると思う」
「そんな」
そんな、そんな悲しい話があるだろうか?
僕の胸には怒りが沸いてきた。
クリスは小さい時からルーツの子として育ち、公爵家を継ぐ事も諦め王家の、ひいてはカナーディルの為に王家に嫁いだ。
それなのに、離宮で一生を終える?
アーノルドは好きな人と城で結婚生活を送るのに?
「どうにか、どうにかならないの?離宮なんてそんな」
「1回チャンス…?はあったんだ。もう子作りは無理だと二人で結論を出して王に報告した後、アーノルドから話があった」
「うん」
「リオルドが…それならクリスは自分と再婚すれば良いと言ってるけどどうする?って…。僕は言葉を失って何も言えなかった。僕は物じゃないからね…」
ーーー絶句。王家はルーツの子を何だと思っているんだろう。ただ子を為すための道具なのか?
「結局それっきり。僕もうんとは言わなかったし…気付いたらリオルドの別の相手探しが始まってた」
「ひ、酷い話じゃない?」
「うん、まぁそうだよね。僕はその時王家とアーノルドに失望したんだ。でもね、リオルドは違うよ!彼は本当に僕を助けたかったんだと思う。だから、ユウトはリオルドと険悪にならないでね」
「……」
「キーンもね、可哀想なんだよ。確かに性格は難があるけど…キーンのロッドランド公爵家は気位が高くてね。特にキーンは久しぶりにロッドランド家に生まれた男子だから、リオルドのお相手だと皆が期待していた」
「そうなんだ」
「キーンもリオルドを好きだしね。それが…リオルドは逃げまくって僕を追いかけ回した挙げ句、ユウトと結婚でしょう?親にも叱責されるし、周りにも馬鹿にされて本人も居場所が無いんだ」
キーンは意地悪だと思っていた。
それは変わらないけれど境遇を聞いてみると可哀想にもなる。
「でもね、これを話したのはユウトに王家に不信感をもって欲しいからじゃないんだ。王も王妃も基本は悪い人じゃない。ただ国の為にはルーツの子をも切り捨てる。仕方がない事なんだけどね、ユウトは慎重に生きて僕みたいにならないで欲しい」
「クリス、僕…どうしたら」
「うん、混乱してるよね。ごめんね。」
「ううん。クリスは悪くない」
「大丈夫だよ。リオルドはユウトを大事にしてくれる。何か不安や分からない事があったらいつでも僕に聞きにおいで」
クリスは立ち上がると僕の方へ歩いてきて、大きく腕を広げると優しく僕を抱き締めた。
「ユウト、大丈夫。僕がついているよ」
それは幼い頃から落ち込んだ僕を慰めるクリスの抱擁だった。泣きそうになったけど何とか耐えた。
ここで僕が泣いたらクリスが惨めになる気がした。
「クリスは頭に来たりしないの?」
「そうだな。アーノルドには少し頭に来たよ。異性愛者って何だよ!って。そんなの皆そうかもしれないじゃないか!国の為にそこは皆割りきってるんだぞ!って」
確かにそうだ。
リオルドだって結婚前は未亡人とばかり遊んでいたと聞いている。男唱など相手にした事は無いと。
それはつまり元々は異性愛者なのだろう。
「クリスは好きな人とかいなかった?」
「うーん。僕は昔からルーツの子として恋愛を禁止されて育ってきたから...でも、子供の時一目惚れをした事ならあるよ」
「そうなの?」
「一目見て世界が変わったんだ。その子とずっと一緒にいたい、守りたいって思った」
「どうなったの?告白とかした?」
「ふふっ、どうにもならないよ。僕はルーツの子だし、その子の幸せを考えたらやっぱり王家に嫁がなきゃ。カナーディルの伝統を守らないとね、だからすぐに想いに蓋をした」
「そっか…」
クリスはユウトの背中をトントンと叩いた。
これは昔から抱擁の終わりの合図だ。
クリスは腕を離すと真っ直ぐにユウトを見て言った。
「ユウト、これから先王妃になっても今のユウトのままでいて。打算なんてない純粋で優しいユウトのままでいて」
「うん…」
あまりにクリスが真剣な顔で言うものだから僕は訳もわからず頷いた。
ーートントン
扉をノックする音がした。クリスが入口に向かいドアを開けた。
「やぁリオルド、お迎えだね!」
僕が振り向くと入り口にはリオルドが不安そうな顔で立っていた。
「さ、ユウト帰りな。またお茶をしよう」
「うん」
僕はクリスに促されるままにリオルドの元へ向かった
部屋を出る時、クリスは僕達に笑顔で手を振った。
クリスの部屋を出て廊下を歩いているとリオルドが話しかけてきた
「さっきはキーンがすまなかったな。クリスと色々話したのか?」
リオルドの整った顔は少し緊張しているようだ。
金色の長い髪が歩く度にサラサラと揺れている。
ーーーリオルド、君の本当に聞き出したいことは何だ?
アーノルドに捨てられた兄クリスのこと。
その兄を自分が娶ろうとしていたこと。
王家は僕達が上手く行けばクリスを追い出してアーノルド達を結婚させようとしていること。
それを僕がクリスから聞いて知っているかどうかの確認がしたいのか?
ルーツの子って何なんだろう?
国を救う為に尊重されている存在だと思っていた。
僕はリオルドの方を見て答えた。
「昔の話を沢山したよ。子供の時の話であっという間に時間が過ぎた」
「そうか…そうか、良かったな」
リオルドはあからさまにホッとした表情をした。僕達はそのまま部屋へと戻る廊下を一緒に歩いた。心の中に一片冷たい風が差し込んだ気がした。
「何から話せばいいのかな…?」
「一時間じゃなくていいよ。ゆっくりでいい、何時間でも聞く」
クリスはスカイブルーの瞳を細めて僕を見た。
こんな時すら僕に微笑んでくるクリスはやはり未来の王妃としての教育を順当に終えた人物なのだろう。
「ありがとう。少し長くなるし…嫌な話もあると思う。でもユウトには聞いて欲しい」
「うん」
「僕はね…生まれた時からルーツの子として育てられた。他の男の子のように外で泥だらけで遊ぶなんて事は禁じられたし、恋愛も禁じられた。でも不満は無かったんだ。むしろ誇らしくもあった。自分がこのカナーディルを守る一員、妃になれるんだって...」
「うん」
「年頃になると、アーノルドかリオルドを選べと言われてね。僕はアーノルドを選んだ、第一王子だったから。理由はそれだけなんだ。二人には友情しか感じなかったし、それなら王妃になり国を支えたかった」
この話は聞いたことがある。
リオルドがクリスの相手は自分だと粘ったけれど結局クリスがアーノルドを選んだという話だった。
ーーークリスはアーノルドを好きだから選んだ訳じゃなかったのか。
「一年ちょっとくらいかな?結婚生活は比較的上手くいってたと思う。元々アーノルドとは友人だから気があうし。僕はサニー王妃の公務に付いていったりして色々学んだ。ただ…アーノルドは公務には出なかった。今も出ないけどね」
「何か理由があるの?」
「ううん。単に人の前に出るのが苦手なんだ。その代わりに調べ物をしたり戦略を練ったりしているよ。まぁ、それが良くなかったのかな」
「?」
「書庫にいるでしょ?ジェイ。アーノルドは彼女に恋をしたのさ」
「ジェイに…」
ーーーやっぱりそうか。あの2人の間には独特な雰囲気が流れている。だがクリスを裏切り不貞を働く人達にはどうにも見えない。
「まぁ、仕方がないよ。アーノルドは異性愛者だった、それを変えることが出来なかったんだろう。ジェイはね、元々は枢機卿の孤児院にいたんだ。成長して書庫の司書に口利きしたのがアーノルドさ。」
「うん」
「ジェイが城にくるまでは、その…夫婦生活も最低限はあったよ。アーノルドも王家の子孫を残さなければという気持ちがあったんだろうな。でも、ジェイが司書になったら...」
「その、それが無くなったの?」
「いや…。機能しなくなった。と言うのが正しいかな」
「機能しない…」
「うん、ユウトこういう話苦手だよね。ごめん。」
「ううん。話して」
クリスは淡々と話した。
彼の中ではもう終わった話なのだろう。
ジェイが来てからもアーノルドはクリスと夫婦関係を持とうとはしていた。
だが、いざとなると機能しなかった。
最初は疲れているのだろうと二人は思っていた。しかし、1か月、2カ月経っても改善はしなかった。
色々なことを試して見た。
良いお茶があると聞けば買いにいき、針治療や食物治療…しかしどれも功を奏する事は無く、最終的にアーノルド達は王に報告したという。
「アーノルドとジェイは付き合ってる訳じゃないんだよ?二人共真面目でしょ。ずーっと二人は両片想いをしてる。僕に気を使ってお互い想いを言わないんだ。それがより一層、僕を惨めな気分にさせたよ」
クリスは瞳を閉じてお茶を一口飲んだ。
ユウトはクリスにかける慰めの言葉を一生懸命探したが見つかりそうも無かった。
「ユウト、僕はね、君達に子供が出来たら離縁される」
「え!?」
「ふふ、驚かないで。僕が王に頼んだんだ。アーノルドとジェイは想いあってる、だから、もしリオルドに子孫が出来たなら僕を離縁して二人を一緒にさせてあげて欲しいと」
「クリスはそれで良いの?」
「仕方がないよ。まさかリオルドの相手がユウトになるとは思わなかったけどね。二人に子供が出来たら僕は離縁される。でも、もうマグドーの家には帰れない。ジブリールとは立場が違うから…どこか離宮で一生を終えると思う」
「そんな」
そんな、そんな悲しい話があるだろうか?
僕の胸には怒りが沸いてきた。
クリスは小さい時からルーツの子として育ち、公爵家を継ぐ事も諦め王家の、ひいてはカナーディルの為に王家に嫁いだ。
それなのに、離宮で一生を終える?
アーノルドは好きな人と城で結婚生活を送るのに?
「どうにか、どうにかならないの?離宮なんてそんな」
「1回チャンス…?はあったんだ。もう子作りは無理だと二人で結論を出して王に報告した後、アーノルドから話があった」
「うん」
「リオルドが…それならクリスは自分と再婚すれば良いと言ってるけどどうする?って…。僕は言葉を失って何も言えなかった。僕は物じゃないからね…」
ーーー絶句。王家はルーツの子を何だと思っているんだろう。ただ子を為すための道具なのか?
「結局それっきり。僕もうんとは言わなかったし…気付いたらリオルドの別の相手探しが始まってた」
「ひ、酷い話じゃない?」
「うん、まぁそうだよね。僕はその時王家とアーノルドに失望したんだ。でもね、リオルドは違うよ!彼は本当に僕を助けたかったんだと思う。だから、ユウトはリオルドと険悪にならないでね」
「……」
「キーンもね、可哀想なんだよ。確かに性格は難があるけど…キーンのロッドランド公爵家は気位が高くてね。特にキーンは久しぶりにロッドランド家に生まれた男子だから、リオルドのお相手だと皆が期待していた」
「そうなんだ」
「キーンもリオルドを好きだしね。それが…リオルドは逃げまくって僕を追いかけ回した挙げ句、ユウトと結婚でしょう?親にも叱責されるし、周りにも馬鹿にされて本人も居場所が無いんだ」
キーンは意地悪だと思っていた。
それは変わらないけれど境遇を聞いてみると可哀想にもなる。
「でもね、これを話したのはユウトに王家に不信感をもって欲しいからじゃないんだ。王も王妃も基本は悪い人じゃない。ただ国の為にはルーツの子をも切り捨てる。仕方がない事なんだけどね、ユウトは慎重に生きて僕みたいにならないで欲しい」
「クリス、僕…どうしたら」
「うん、混乱してるよね。ごめんね。」
「ううん。クリスは悪くない」
「大丈夫だよ。リオルドはユウトを大事にしてくれる。何か不安や分からない事があったらいつでも僕に聞きにおいで」
クリスは立ち上がると僕の方へ歩いてきて、大きく腕を広げると優しく僕を抱き締めた。
「ユウト、大丈夫。僕がついているよ」
それは幼い頃から落ち込んだ僕を慰めるクリスの抱擁だった。泣きそうになったけど何とか耐えた。
ここで僕が泣いたらクリスが惨めになる気がした。
「クリスは頭に来たりしないの?」
「そうだな。アーノルドには少し頭に来たよ。異性愛者って何だよ!って。そんなの皆そうかもしれないじゃないか!国の為にそこは皆割りきってるんだぞ!って」
確かにそうだ。
リオルドだって結婚前は未亡人とばかり遊んでいたと聞いている。男唱など相手にした事は無いと。
それはつまり元々は異性愛者なのだろう。
「クリスは好きな人とかいなかった?」
「うーん。僕は昔からルーツの子として恋愛を禁止されて育ってきたから...でも、子供の時一目惚れをした事ならあるよ」
「そうなの?」
「一目見て世界が変わったんだ。その子とずっと一緒にいたい、守りたいって思った」
「どうなったの?告白とかした?」
「ふふっ、どうにもならないよ。僕はルーツの子だし、その子の幸せを考えたらやっぱり王家に嫁がなきゃ。カナーディルの伝統を守らないとね、だからすぐに想いに蓋をした」
「そっか…」
クリスはユウトの背中をトントンと叩いた。
これは昔から抱擁の終わりの合図だ。
クリスは腕を離すと真っ直ぐにユウトを見て言った。
「ユウト、これから先王妃になっても今のユウトのままでいて。打算なんてない純粋で優しいユウトのままでいて」
「うん…」
あまりにクリスが真剣な顔で言うものだから僕は訳もわからず頷いた。
ーートントン
扉をノックする音がした。クリスが入口に向かいドアを開けた。
「やぁリオルド、お迎えだね!」
僕が振り向くと入り口にはリオルドが不安そうな顔で立っていた。
「さ、ユウト帰りな。またお茶をしよう」
「うん」
僕はクリスに促されるままにリオルドの元へ向かった
部屋を出る時、クリスは僕達に笑顔で手を振った。
クリスの部屋を出て廊下を歩いているとリオルドが話しかけてきた
「さっきはキーンがすまなかったな。クリスと色々話したのか?」
リオルドの整った顔は少し緊張しているようだ。
金色の長い髪が歩く度にサラサラと揺れている。
ーーーリオルド、君の本当に聞き出したいことは何だ?
アーノルドに捨てられた兄クリスのこと。
その兄を自分が娶ろうとしていたこと。
王家は僕達が上手く行けばクリスを追い出してアーノルド達を結婚させようとしていること。
それを僕がクリスから聞いて知っているかどうかの確認がしたいのか?
ルーツの子って何なんだろう?
国を救う為に尊重されている存在だと思っていた。
僕はリオルドの方を見て答えた。
「昔の話を沢山したよ。子供の時の話であっという間に時間が過ぎた」
「そうか…そうか、良かったな」
リオルドはあからさまにホッとした表情をした。僕達はそのまま部屋へと戻る廊下を一緒に歩いた。心の中に一片冷たい風が差し込んだ気がした。
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