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第2章 取り込まれる者
15,君だけに愛を誓う
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温かい手がゆっくりと優しく自分の髪を撫でている。
本当は起きなきゃいけないんだけど、あまりに大事そうに触れるから、もう少しこのままでいたいとすら思ってしまう。
ユウトはパチッと目を開けた。
目の前には心配そうな顔をしたリオルドがいて、ユウトの髪に手をあてている。
「起きたか、大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫です」
ーーー髪を撫でていたのはリオルド?状態から見るとそうだけど…
ユウトは体を起こし、ベッドサイドに腰をかけたリオルドに聞いた。
「メイはもう大丈夫?出来れば顔を見にいきたいです」
「…もう平気だ。2~3日休めば業務に戻れるだろう。顔を見に行くのは明日だな。今日はもう遅い」
カーテンが引かれていていて窓の外は見えないが、部屋にある柱時計は10時50分を指している。
よく見ればリオルドも下は寝間着のズボンで上にガウンを羽織っていた。
「犯人はまだわかっていない…が、何とかする。大丈夫だ」
「僕が狙われているんだね」
「あぁ…。だが、心配はいらない」
ーーー魔女さんの話をするなら今だと思う。リオルドは怒るかも知れないが、僕にもちゃんと覚悟がある。
「あの…話を聞いてくれる…?」
ユウトは魔女から聞いた話をリオルドに話した。
・カナーディルに危機が迫っているということ。
・ユウトとリオルドで常に話し合って協力して欲しいこと。
・穢れの存在、詳しいことはリオルドから聞くように言われたこと。
・ミシェルは魔族?に殺されて西の森に死体が残されていること。
・ローゼマリーの瞳の奥に魔犬と同じ赤い揺らめきを見たこと。
・ユウトの運命を巻き込まなければ勝てないと言われたこと。
リオルドの反応は想像していたものとは全く異なるものだった。
始めは驚いたように目を見開いたが、それからは大人しく聞いていた
ミシェルの話ではさすがに顔を苦痛に歪め、ローゼマリーの話では食い入るようにユウトを見た。
最後の運命の話の時、リオルドは悲しそうにユウトを見た。
小さな子供が大切に大切にしていた物を奪われた、そんな目をしていた。
「お前は…いいのか?気づいてはいるだろうが、とても危ない話だ。俺が魔女から聞いたことを話すのは簡単だ。だが、それによりお前は巻き込まれる。無傷では終わらないかもしれないんだぞ」
ユウトはゴクリと生唾を飲んだ。
危険な事は間違いないだろう。
しかし、自分はもう狙われていてすでに巻き込まれている状態だし、リオルドはもう戦いを始めているのだろう。
自分の知らないところでリオルドに何かあり、もし命を落としたら…考えるだけでゾッとする。
「僕はいいんだ。今の狙いは僕のようだし…」
「それはこちらで何とかする。しばらく一人歩きは出来ないが」
「それに、一応王族だし!領民を守るのは王族の義務でしょう?」
「お前は俺に巻き込まれただけだろう?そこまで背負う必要は無い」
「一人より、二人の方が見えてくるものもあると思う」
「それはそうかもしれないが…」
中々うんと言ってくれないけど、もう一押しな感じがする。
「そ、それに、魔女さんは僕を巻き込まなきゃ負けるって言ってた。負けたら…リオルド様は前線にいるでしょ?僕、嫌だよ」
「嫌って何が?」
「だ、だから、リオルド様にもし何かあったら嫌だってことだよ!」
「何で嫌なんだ?もし負けたら...王家なんて捨てて逃げればいい。」
ーーーすんなり受け入れてくれるとは思わなかったけど、何でこんなに分からず屋なんだ!
「好きな人に何かあったら誰でも嫌なものでしょ!?」
ーーーあ、僕、言っちゃった?これだけは言いたくなかったのに…。
ユウトは魔女との約束で1年間はリオルドとの恋を頑張ろうと決めていた。
だが、自分から思いを告げるつもりは無かった。
兄のクリスの身代わりとして連れてこられたのに、まんまとリオルドを好きになって、実らぬ片想いに身を焦がしている。
それをリオルドに知られるのはとても恥ずかしく、プライドも許さなかった。
「…お前、俺を好きなのか?」
ベッドサイドに腰をかけたままのリオルドが真っ直ぐにユウトを見て、ポツリと言った。
いつもユウトを怒ったりからかってばかりいるのに、真剣な眼差しで聞かると戸惑ってしまう。
だが、もう誤魔化しきれないだろうとユウトは腹をくくった。
「そ、そうだよ。悪い?」
「お前が、俺を…好き?」
「リオルド様にはクリスがいるから無理なのは分かってるよ。ただ…勝手に想うくらいは自由でしょ?それもダメなら…」
「いや…」
リオルドは下ろしていた足をベッドの上にあげると四つん這いになり、そのままジリジリとユウトに近づいてくる。
軽く羽織ったガウンが乱れ、鍛え上げられた胸筋が露となり、ユウトは目のやり場に困ってしまった。
「あの…何?何でこっちに来る?」
「いつから好きなんだ?」
「わ、わかんない!気付いたら…だから。最初は嫌いだったけど、色々助けてくれたりしたから...多分、そう」
「ふぅん」
ジリジリと近づいてきたリオルドに圧倒されて、ユウトは少し後ろに体勢を崩した。
それをリオルドが見逃す筈もなく覆い被さるように距離を詰められ、完全に逃げ場を失ってしまった。
お互いの吐息さえも顔にかかってしまう距離でリオルドは尚も話し続けた。
「じゃあ、もう我慢はいらないな?」
「…我慢?…ひゃあ!」
ユウトの寝衣の中にリオルドの冷たい手が滑り込んできた。何かを確かめるようにお腹の辺りを何度もなぞる。
「な、なにするの?」
「お互い好意があって夫婦なんだ。自然な事だろう?」
ユウトは両手でリオルドの大きな手を掴み、何とか阻止しようとするものの、もう片方の手も寝衣の中に滑り込んできて体をなで回すものだから上手く抵抗出来ない。
首筋にも舌がねっとりと這ってきて、ユウトはもういっぱいいっぱいになってしまった。
「あっ…ちょっと、待って待って。お願い」
首筋を舐めあげた後にジュッと深く吸い上げ、痕をつけ終えたリオルドが顔を上げる。
「なんだ?手も邪魔するのをやめろ。今日は最後まではしないから」
「最後…違う違う。リオルド様が好きなのはクリスでしょう?どうして僕にこんな事をするの?」
「クリス…?昔の話だろう。俺はお前にしか興味は無い」
ーーーえ?リオルド様が僕を?
聞き間違いかと疑ってしまう。だって、僕の前でもあんなにクリスとイチャイチャしてた。
「でも、ずっと…好きそうだった」
「あぁ…あれは昔からの習慣みたいなものだ。でも、もうやめだ。ユウトと相思相愛になったのだし…命を狙われているようだからな」
もういいかとばかりに、リオルドはまた唇を這わせ前につけた痕より少し下の鎖骨近くの肌を吸い上げる。
ユウトの白い肌にひとつ、またひとつと赤い痕が咲いたようにつけられていく。
「ん…。ちょっと、まって…ねぇ、その痕って前もそうやってつけたの?」
ユウトは初夜の事を思い出した。
いきなり後ろから貫かれ、終った時には感覚が失せていた。
途中で気を失い、何をされ何回行為があったのかも分からない。
ただ、今ついた痕と同じものが体中についていたのはよく覚えている。
暴れたり、無理矢理体を押さえたり...何かしらの行為でついたのだろうと思っていた。
「あの時…僕の体を…見たの!?」
「当たり前だ。あんなに痕をつけてやったんだ。体の隅々まで見たし、触ったし、舐めたり吸ったりもした」
「な、舐め……変態!…僕、そうとは知らずにメイに拭いて貰ったり…恥ずかしいよ!」
「逆になんだと思ってたんだ?ふっ、ユウトは無垢だな。そこも気に入っている」
リオルドは満足そうに笑うとユウトの寝衣の中から手を抜き、服を脱がせようと手をかけた。
「まって!」
「今度は何だ」
「僕、ローゼマリーさんとは違うよ?男だし…胸だって...無い!」
「お前なぁ…そんなのこっちは確認済みなんだよ」
リオルドはユウトの上着を思い切り捲り上げると、その細い体に両手を這わせた。
何とか進行を阻止しようとしていたユウトの手も、今は力無く添えられているだけだ。
両手で包み込むようにユウトの上半身を撫で回す。
白くて華奢な体、薄い腹に、細い腰、少し肉のついた胸にある小さな突起。
その突起を指で摘むと、ユウトの顔は赤くなり息が少し荒くなった。
ーーーユウトの発情した顔がもっと見たい。
リオルドは突起を口に含むと舌を使いべろべろと舐めた。
左手で服の上からユウトの股間を触ると反応しているのがわかる。
「あっ…だ、だめ……あっ……んっ…」
部屋にユウトの喘ぎ声が響き渡り、リオルドの股間も徐々に熱くなる。
ーーー今日はユウトを満足させるだけだ。
リオルドは左手でユウトの股間をさすりながら、口に含んだ小さな突起を舌でこねくり回すように舐め、潰すように舌先で押し、最後は口を離してガブリと甘咬みした。
「あ…いやっ…あ、あぁ…」
ユウトの体はブルブルと震え、目をトロンとさせてこちらを見る。
達したことを確認すると捲りあげていた寝衣を元に戻し、まだ息の荒いユウトを抱き締めた。
「いいか、一度しか言わないからよく覚えておけ。俺が心から愛しているのはお前一人だけだ。これから、カナーディルは暗然たる時代に足を踏み入れるだろう。だが、お前の事は何があっても俺が守ってやる。決して離れるな、いいな?」
「うん…」
リオルドに抱き締められたまま、疲れはてたユウトはすぐに眠りについてしまった。
☆ ☆ ☆
窓の外から小鳥達の鳴き声が聞こえる。
目を覚ますと、カーテンの隙間から差し込んだ光がリオルドの髪をキラキラと照らしていた。
ーーーリオルド様も僕を好きだなんて、まだ夢見心地だ。
横にいるリオルドの彫刻のように綺麗な寝顔を見て、自分の左手に目を移す。
左腕からは魔道具のバングルが外され、ようやく修理された赤や青の宝石が埋め込まれた結婚指輪が薬指にはめられていた。
ーーーこれも僕が寝た後にやったんだな。リオルド様は意外とロマンチストだ。
昨日はメイが倒れたり、魔女の話を聞いたり色々辛い事があった。
だが、リオルドの気持ちを知ることができ、“愛している”という言葉まで貰えた。
ーーー絶対防御魔法が無くても、僕はこれで充分。
ユウトは、自分もリオルドを守れるような人間になりたいと強く思った。
本当は起きなきゃいけないんだけど、あまりに大事そうに触れるから、もう少しこのままでいたいとすら思ってしまう。
ユウトはパチッと目を開けた。
目の前には心配そうな顔をしたリオルドがいて、ユウトの髪に手をあてている。
「起きたか、大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫です」
ーーー髪を撫でていたのはリオルド?状態から見るとそうだけど…
ユウトは体を起こし、ベッドサイドに腰をかけたリオルドに聞いた。
「メイはもう大丈夫?出来れば顔を見にいきたいです」
「…もう平気だ。2~3日休めば業務に戻れるだろう。顔を見に行くのは明日だな。今日はもう遅い」
カーテンが引かれていていて窓の外は見えないが、部屋にある柱時計は10時50分を指している。
よく見ればリオルドも下は寝間着のズボンで上にガウンを羽織っていた。
「犯人はまだわかっていない…が、何とかする。大丈夫だ」
「僕が狙われているんだね」
「あぁ…。だが、心配はいらない」
ーーー魔女さんの話をするなら今だと思う。リオルドは怒るかも知れないが、僕にもちゃんと覚悟がある。
「あの…話を聞いてくれる…?」
ユウトは魔女から聞いた話をリオルドに話した。
・カナーディルに危機が迫っているということ。
・ユウトとリオルドで常に話し合って協力して欲しいこと。
・穢れの存在、詳しいことはリオルドから聞くように言われたこと。
・ミシェルは魔族?に殺されて西の森に死体が残されていること。
・ローゼマリーの瞳の奥に魔犬と同じ赤い揺らめきを見たこと。
・ユウトの運命を巻き込まなければ勝てないと言われたこと。
リオルドの反応は想像していたものとは全く異なるものだった。
始めは驚いたように目を見開いたが、それからは大人しく聞いていた
ミシェルの話ではさすがに顔を苦痛に歪め、ローゼマリーの話では食い入るようにユウトを見た。
最後の運命の話の時、リオルドは悲しそうにユウトを見た。
小さな子供が大切に大切にしていた物を奪われた、そんな目をしていた。
「お前は…いいのか?気づいてはいるだろうが、とても危ない話だ。俺が魔女から聞いたことを話すのは簡単だ。だが、それによりお前は巻き込まれる。無傷では終わらないかもしれないんだぞ」
ユウトはゴクリと生唾を飲んだ。
危険な事は間違いないだろう。
しかし、自分はもう狙われていてすでに巻き込まれている状態だし、リオルドはもう戦いを始めているのだろう。
自分の知らないところでリオルドに何かあり、もし命を落としたら…考えるだけでゾッとする。
「僕はいいんだ。今の狙いは僕のようだし…」
「それはこちらで何とかする。しばらく一人歩きは出来ないが」
「それに、一応王族だし!領民を守るのは王族の義務でしょう?」
「お前は俺に巻き込まれただけだろう?そこまで背負う必要は無い」
「一人より、二人の方が見えてくるものもあると思う」
「それはそうかもしれないが…」
中々うんと言ってくれないけど、もう一押しな感じがする。
「そ、それに、魔女さんは僕を巻き込まなきゃ負けるって言ってた。負けたら…リオルド様は前線にいるでしょ?僕、嫌だよ」
「嫌って何が?」
「だ、だから、リオルド様にもし何かあったら嫌だってことだよ!」
「何で嫌なんだ?もし負けたら...王家なんて捨てて逃げればいい。」
ーーーすんなり受け入れてくれるとは思わなかったけど、何でこんなに分からず屋なんだ!
「好きな人に何かあったら誰でも嫌なものでしょ!?」
ーーーあ、僕、言っちゃった?これだけは言いたくなかったのに…。
ユウトは魔女との約束で1年間はリオルドとの恋を頑張ろうと決めていた。
だが、自分から思いを告げるつもりは無かった。
兄のクリスの身代わりとして連れてこられたのに、まんまとリオルドを好きになって、実らぬ片想いに身を焦がしている。
それをリオルドに知られるのはとても恥ずかしく、プライドも許さなかった。
「…お前、俺を好きなのか?」
ベッドサイドに腰をかけたままのリオルドが真っ直ぐにユウトを見て、ポツリと言った。
いつもユウトを怒ったりからかってばかりいるのに、真剣な眼差しで聞かると戸惑ってしまう。
だが、もう誤魔化しきれないだろうとユウトは腹をくくった。
「そ、そうだよ。悪い?」
「お前が、俺を…好き?」
「リオルド様にはクリスがいるから無理なのは分かってるよ。ただ…勝手に想うくらいは自由でしょ?それもダメなら…」
「いや…」
リオルドは下ろしていた足をベッドの上にあげると四つん這いになり、そのままジリジリとユウトに近づいてくる。
軽く羽織ったガウンが乱れ、鍛え上げられた胸筋が露となり、ユウトは目のやり場に困ってしまった。
「あの…何?何でこっちに来る?」
「いつから好きなんだ?」
「わ、わかんない!気付いたら…だから。最初は嫌いだったけど、色々助けてくれたりしたから...多分、そう」
「ふぅん」
ジリジリと近づいてきたリオルドに圧倒されて、ユウトは少し後ろに体勢を崩した。
それをリオルドが見逃す筈もなく覆い被さるように距離を詰められ、完全に逃げ場を失ってしまった。
お互いの吐息さえも顔にかかってしまう距離でリオルドは尚も話し続けた。
「じゃあ、もう我慢はいらないな?」
「…我慢?…ひゃあ!」
ユウトの寝衣の中にリオルドの冷たい手が滑り込んできた。何かを確かめるようにお腹の辺りを何度もなぞる。
「な、なにするの?」
「お互い好意があって夫婦なんだ。自然な事だろう?」
ユウトは両手でリオルドの大きな手を掴み、何とか阻止しようとするものの、もう片方の手も寝衣の中に滑り込んできて体をなで回すものだから上手く抵抗出来ない。
首筋にも舌がねっとりと這ってきて、ユウトはもういっぱいいっぱいになってしまった。
「あっ…ちょっと、待って待って。お願い」
首筋を舐めあげた後にジュッと深く吸い上げ、痕をつけ終えたリオルドが顔を上げる。
「なんだ?手も邪魔するのをやめろ。今日は最後まではしないから」
「最後…違う違う。リオルド様が好きなのはクリスでしょう?どうして僕にこんな事をするの?」
「クリス…?昔の話だろう。俺はお前にしか興味は無い」
ーーーえ?リオルド様が僕を?
聞き間違いかと疑ってしまう。だって、僕の前でもあんなにクリスとイチャイチャしてた。
「でも、ずっと…好きそうだった」
「あぁ…あれは昔からの習慣みたいなものだ。でも、もうやめだ。ユウトと相思相愛になったのだし…命を狙われているようだからな」
もういいかとばかりに、リオルドはまた唇を這わせ前につけた痕より少し下の鎖骨近くの肌を吸い上げる。
ユウトの白い肌にひとつ、またひとつと赤い痕が咲いたようにつけられていく。
「ん…。ちょっと、まって…ねぇ、その痕って前もそうやってつけたの?」
ユウトは初夜の事を思い出した。
いきなり後ろから貫かれ、終った時には感覚が失せていた。
途中で気を失い、何をされ何回行為があったのかも分からない。
ただ、今ついた痕と同じものが体中についていたのはよく覚えている。
暴れたり、無理矢理体を押さえたり...何かしらの行為でついたのだろうと思っていた。
「あの時…僕の体を…見たの!?」
「当たり前だ。あんなに痕をつけてやったんだ。体の隅々まで見たし、触ったし、舐めたり吸ったりもした」
「な、舐め……変態!…僕、そうとは知らずにメイに拭いて貰ったり…恥ずかしいよ!」
「逆になんだと思ってたんだ?ふっ、ユウトは無垢だな。そこも気に入っている」
リオルドは満足そうに笑うとユウトの寝衣の中から手を抜き、服を脱がせようと手をかけた。
「まって!」
「今度は何だ」
「僕、ローゼマリーさんとは違うよ?男だし…胸だって...無い!」
「お前なぁ…そんなのこっちは確認済みなんだよ」
リオルドはユウトの上着を思い切り捲り上げると、その細い体に両手を這わせた。
何とか進行を阻止しようとしていたユウトの手も、今は力無く添えられているだけだ。
両手で包み込むようにユウトの上半身を撫で回す。
白くて華奢な体、薄い腹に、細い腰、少し肉のついた胸にある小さな突起。
その突起を指で摘むと、ユウトの顔は赤くなり息が少し荒くなった。
ーーーユウトの発情した顔がもっと見たい。
リオルドは突起を口に含むと舌を使いべろべろと舐めた。
左手で服の上からユウトの股間を触ると反応しているのがわかる。
「あっ…だ、だめ……あっ……んっ…」
部屋にユウトの喘ぎ声が響き渡り、リオルドの股間も徐々に熱くなる。
ーーー今日はユウトを満足させるだけだ。
リオルドは左手でユウトの股間をさすりながら、口に含んだ小さな突起を舌でこねくり回すように舐め、潰すように舌先で押し、最後は口を離してガブリと甘咬みした。
「あ…いやっ…あ、あぁ…」
ユウトの体はブルブルと震え、目をトロンとさせてこちらを見る。
達したことを確認すると捲りあげていた寝衣を元に戻し、まだ息の荒いユウトを抱き締めた。
「いいか、一度しか言わないからよく覚えておけ。俺が心から愛しているのはお前一人だけだ。これから、カナーディルは暗然たる時代に足を踏み入れるだろう。だが、お前の事は何があっても俺が守ってやる。決して離れるな、いいな?」
「うん…」
リオルドに抱き締められたまま、疲れはてたユウトはすぐに眠りについてしまった。
☆ ☆ ☆
窓の外から小鳥達の鳴き声が聞こえる。
目を覚ますと、カーテンの隙間から差し込んだ光がリオルドの髪をキラキラと照らしていた。
ーーーリオルド様も僕を好きだなんて、まだ夢見心地だ。
横にいるリオルドの彫刻のように綺麗な寝顔を見て、自分の左手に目を移す。
左腕からは魔道具のバングルが外され、ようやく修理された赤や青の宝石が埋め込まれた結婚指輪が薬指にはめられていた。
ーーーこれも僕が寝た後にやったんだな。リオルド様は意外とロマンチストだ。
昨日はメイが倒れたり、魔女の話を聞いたり色々辛い事があった。
だが、リオルドの気持ちを知ることができ、“愛している”という言葉まで貰えた。
ーーー絶対防御魔法が無くても、僕はこれで充分。
ユウトは、自分もリオルドを守れるような人間になりたいと強く思った。
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