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第2章 In my student days
2,junior high school days
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「私の事本当に好き?大事にされてる気がしない」
そのセリフを言われるといつも急激に気持ちが冷めていく
「つまり、どうしたいわけ?」
目いっぱいに涙を溜めた彼女に、俺は非情にも言い渡した。涙を拭う手をピタッと止めた彼女はその体勢のまま言った
「………別れよう?」
なるほどね、そのパターンか。そう思った俺は目を覆ったままの彼女に言った
「わかった、じゃあそれで」
俺の言葉が耳に届くと、女は自分の目を押さえていた手を離して、泣きながら両手で俺の胸をグイグイ押してきた
「そうじゃない!違うよ?別れたくない」
「別れたいって言ったよね?」
「言った…けど!大河の気持ちを確かめたかっただけなの」
こうなると最高に面倒臭い
“”好きじゃなくても友達から始めて貰えればいい”と言ってきたのはお前の方なのに
「んー。でも、俺達もう別れたから。じゃあ」
話しは終わったと踵を返し、生徒玄関へと向かっていく。女が後ろから何か言っているが、別れたのだからもう関係ない
生徒玄関には深月と、中学に入ってから仲良くなった矢田、工藤の3人がいて、靴を履きかえて帰ろうとしているところだった
俺に気付いた深月が「あれ?」と首をかしげる
「今日は彼女と帰んなくていいんスかぁ?」
内場きを脱いで下駄箱に入れていると、矢田が俺を冷やかす
「別に」
「何だよ、クールだな。俺も彼女が欲しいよ~!!」
矢田は明るく裏表が無い性格だが、言い換えればデリカシーが無いとも言える
「矢田、声がでかいよ。加賀の彼女に聞こえる」
クラス委員をしている工藤が矢田に注意した
工藤はまじめな優等生で何故俺と友達をしているのかよく分からないけど、大方深月と気が合うんだろう
「今別れたから、彼女なんていないけど」
俺の言葉に3人が声を揃えて
「え!また別れたの!?」
と言った
そうは言っても仕方がない。女が勝手に寄ってくるのだ
「付き合って欲しい」と告られる時、俺は必ず好きじゃないけどいいのかと聞く
その中で、それで構わないと返事をした女としか付き合わない
契約違反をしているのは向こうの方だ
「まぁ、大河はモテるけどよ~。2年になってから何人目の彼女だったよ?」
矢田の質問に何故か工藤が答えた。眼鏡の奥の目が笑っていない
「今は7月だが、この3ヶ月ちょいで覚えている限りで10人はいた。真剣じゃないなら付き合わなければいいと思うが」
そんなにいたか?
みんな短いからあまり覚えてない
それに、付き合うっていってもエッチをした訳じゃない
大抵はそうなる前に別れるし、中には積極的な子がキスをしてきた事もあったが、何を感じると言うことも無かった
気持ちが入らないと難しいのかもしれないとは思うが、特別好きな女もいないから、今は適当な女と適当に付き合う
その内好きになれるかも知れないし
「じゃあ、まぁ、帰ろっか!」
工藤と俺の間に不穏な空気を感じた深月が明るく言う。惚けたように矢田も後に続けた
「帰るとしますか!テスト前だしな~、俺ヤバイ」
「…テストは大事だ」
工藤も折れたようなので、俺は深月の肩を組んで言った
「よし、早く帰ろーぜ」
4人で勉強の事、部活の事、テレビの事、とりとめなく話しながら歩く
肩を組んだまま歩いているので、首の辺りにちょうど深月の頭がきて、ふわふわした髪が頬にあたり気持ちがいい
三叉路の交差点で矢田と工藤とは方向が別になるので別れた
「じゃあなー!勉強しろよ」
「また、明日!」
お互いに手を振り合い、2対2に別れて自宅へと向かう
俺のマンションと深月の家は徒歩5分の近さで、小学校の時から放課後は深月の家で一緒に遊ぶのが日常化していた
「今日はテスト勉強するだろ?一旦家帰ってから来る?」
栗色の髪をふわふわさせた深月がこの後の予定を聞いてきた
「今日はやめとく、兄貴が早く帰って来る日だから」
「龍兄が、そうなんだ!僕も会いたいけど…テスト前だから我慢するか~」
兄の龍河は有名私立大の2年生だ
顔立ちは大河に似ているが、目は大河よりもキリッとしていて口も少し大きい
大河をファッション紙から出てきたような男と例えるなら、龍河はリポビタンDのCMに出てくる俳優のような男だ
「里美さんもくるの?」
「あぁ、来るっていってた。ケーキ作ってくるらしい。深月もうちに来て一緒に勉強するか?」
深月は兄の龍河にも龍河の彼女の里美にも懐いているから、いっそうちで集まればいい
俺はそう考えた
深月は顔を左右に振って「ううん。やめとくよ」と答えた
ふわふわの髪が俺の頬の上を行ったり来たりしていた
ーーー
結局深月の家の前まで肩を組んだまま歩き、「じゃあ、また明日」と言って別れた
兄達に会うのが楽しみで、いつもより早足で歩くと3分で自宅に着いた
部屋の前に来て鍵を開け、扉を開くとそこには兄と彼女の靴が置かれていた
俺にしては珍しく「驚かせてやろう」なんてイタズラ心が出てきて、音を立てずに忍び足で廊下を歩いた
廊下の途中にある龍河の部屋から声が聞こえてくる
大河はその声がいつもと異なることにすぐに気付いた
「アッ……アッ……きもち…い…」
ギシギシと軋む音と一緒に里美の喘ぎ声が聞こえてくる
「里美、上に乗って」
「バカ……アァン」
豪快で弟思いな兄と、いつも優しく真面目な里美が性行為をしているのだ
そう思うと大河の下半身は熱くなり、股間部分の布は前へと押し上げられた
少し空いているドアの隙間から情事が行われている部屋を覗き見る
だらしなく横たわった兄の足と、その上に座るように乗っている里美の背中が目に入った
里美が上下に動く度に、白くてきれいな背中の上を黒く長い髪が飛び跳ねる
「アァ…ン…もっと奥…アァ…」
大河はその場をそっと離れ、また忍び足で玄関に戻った
靴を履き、家を出て、バッグで股間を隠したまま近くのスーパーのトイレに駆け込んだ
一番奥の個室に入るとズボンをずり下ろし、もう充分に反り立ったペニスを握った
兄と里美の行為を思い出す
里美の白い肌、揺れる黒い髪、嘆願するような喘ぎ声
「さ…とみ…さん……ウッ…」
大河は初めて自分と関わりのある女性を思い浮かべて射精した
そのセリフを言われるといつも急激に気持ちが冷めていく
「つまり、どうしたいわけ?」
目いっぱいに涙を溜めた彼女に、俺は非情にも言い渡した。涙を拭う手をピタッと止めた彼女はその体勢のまま言った
「………別れよう?」
なるほどね、そのパターンか。そう思った俺は目を覆ったままの彼女に言った
「わかった、じゃあそれで」
俺の言葉が耳に届くと、女は自分の目を押さえていた手を離して、泣きながら両手で俺の胸をグイグイ押してきた
「そうじゃない!違うよ?別れたくない」
「別れたいって言ったよね?」
「言った…けど!大河の気持ちを確かめたかっただけなの」
こうなると最高に面倒臭い
“”好きじゃなくても友達から始めて貰えればいい”と言ってきたのはお前の方なのに
「んー。でも、俺達もう別れたから。じゃあ」
話しは終わったと踵を返し、生徒玄関へと向かっていく。女が後ろから何か言っているが、別れたのだからもう関係ない
生徒玄関には深月と、中学に入ってから仲良くなった矢田、工藤の3人がいて、靴を履きかえて帰ろうとしているところだった
俺に気付いた深月が「あれ?」と首をかしげる
「今日は彼女と帰んなくていいんスかぁ?」
内場きを脱いで下駄箱に入れていると、矢田が俺を冷やかす
「別に」
「何だよ、クールだな。俺も彼女が欲しいよ~!!」
矢田は明るく裏表が無い性格だが、言い換えればデリカシーが無いとも言える
「矢田、声がでかいよ。加賀の彼女に聞こえる」
クラス委員をしている工藤が矢田に注意した
工藤はまじめな優等生で何故俺と友達をしているのかよく分からないけど、大方深月と気が合うんだろう
「今別れたから、彼女なんていないけど」
俺の言葉に3人が声を揃えて
「え!また別れたの!?」
と言った
そうは言っても仕方がない。女が勝手に寄ってくるのだ
「付き合って欲しい」と告られる時、俺は必ず好きじゃないけどいいのかと聞く
その中で、それで構わないと返事をした女としか付き合わない
契約違反をしているのは向こうの方だ
「まぁ、大河はモテるけどよ~。2年になってから何人目の彼女だったよ?」
矢田の質問に何故か工藤が答えた。眼鏡の奥の目が笑っていない
「今は7月だが、この3ヶ月ちょいで覚えている限りで10人はいた。真剣じゃないなら付き合わなければいいと思うが」
そんなにいたか?
みんな短いからあまり覚えてない
それに、付き合うっていってもエッチをした訳じゃない
大抵はそうなる前に別れるし、中には積極的な子がキスをしてきた事もあったが、何を感じると言うことも無かった
気持ちが入らないと難しいのかもしれないとは思うが、特別好きな女もいないから、今は適当な女と適当に付き合う
その内好きになれるかも知れないし
「じゃあ、まぁ、帰ろっか!」
工藤と俺の間に不穏な空気を感じた深月が明るく言う。惚けたように矢田も後に続けた
「帰るとしますか!テスト前だしな~、俺ヤバイ」
「…テストは大事だ」
工藤も折れたようなので、俺は深月の肩を組んで言った
「よし、早く帰ろーぜ」
4人で勉強の事、部活の事、テレビの事、とりとめなく話しながら歩く
肩を組んだまま歩いているので、首の辺りにちょうど深月の頭がきて、ふわふわした髪が頬にあたり気持ちがいい
三叉路の交差点で矢田と工藤とは方向が別になるので別れた
「じゃあなー!勉強しろよ」
「また、明日!」
お互いに手を振り合い、2対2に別れて自宅へと向かう
俺のマンションと深月の家は徒歩5分の近さで、小学校の時から放課後は深月の家で一緒に遊ぶのが日常化していた
「今日はテスト勉強するだろ?一旦家帰ってから来る?」
栗色の髪をふわふわさせた深月がこの後の予定を聞いてきた
「今日はやめとく、兄貴が早く帰って来る日だから」
「龍兄が、そうなんだ!僕も会いたいけど…テスト前だから我慢するか~」
兄の龍河は有名私立大の2年生だ
顔立ちは大河に似ているが、目は大河よりもキリッとしていて口も少し大きい
大河をファッション紙から出てきたような男と例えるなら、龍河はリポビタンDのCMに出てくる俳優のような男だ
「里美さんもくるの?」
「あぁ、来るっていってた。ケーキ作ってくるらしい。深月もうちに来て一緒に勉強するか?」
深月は兄の龍河にも龍河の彼女の里美にも懐いているから、いっそうちで集まればいい
俺はそう考えた
深月は顔を左右に振って「ううん。やめとくよ」と答えた
ふわふわの髪が俺の頬の上を行ったり来たりしていた
ーーー
結局深月の家の前まで肩を組んだまま歩き、「じゃあ、また明日」と言って別れた
兄達に会うのが楽しみで、いつもより早足で歩くと3分で自宅に着いた
部屋の前に来て鍵を開け、扉を開くとそこには兄と彼女の靴が置かれていた
俺にしては珍しく「驚かせてやろう」なんてイタズラ心が出てきて、音を立てずに忍び足で廊下を歩いた
廊下の途中にある龍河の部屋から声が聞こえてくる
大河はその声がいつもと異なることにすぐに気付いた
「アッ……アッ……きもち…い…」
ギシギシと軋む音と一緒に里美の喘ぎ声が聞こえてくる
「里美、上に乗って」
「バカ……アァン」
豪快で弟思いな兄と、いつも優しく真面目な里美が性行為をしているのだ
そう思うと大河の下半身は熱くなり、股間部分の布は前へと押し上げられた
少し空いているドアの隙間から情事が行われている部屋を覗き見る
だらしなく横たわった兄の足と、その上に座るように乗っている里美の背中が目に入った
里美が上下に動く度に、白くてきれいな背中の上を黒く長い髪が飛び跳ねる
「アァ…ン…もっと奥…アァ…」
大河はその場をそっと離れ、また忍び足で玄関に戻った
靴を履き、家を出て、バッグで股間を隠したまま近くのスーパーのトイレに駆け込んだ
一番奥の個室に入るとズボンをずり下ろし、もう充分に反り立ったペニスを握った
兄と里美の行為を思い出す
里美の白い肌、揺れる黒い髪、嘆願するような喘ぎ声
「さ…とみ…さん……ウッ…」
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