記憶の中の君へ

ミンク

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第1章 過去との再会

8.変化

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「来週の飲み会出るの?」

 大河は湯気の立つマグカップを右手に持ったまま深月にたずねた

「行く予定だけど」

 トーストを食べ終わった深月が答えると、大河は気まずそうにコーヒーを一口啜る

 ーあの夜を機に大河と深月の親交は10年振りに再開された
 週末は仕事帰りに連れ立って飲みに行き、そのまま大河の家に泊まる。それが深月のルーティンとなり約1ヵ月が経つー

「うちの代表も行くって言ってたし…そっちは新堂さんも来るんだろ?」

「あー、まぁ。忙しい人なのに珍しく乗り気」

「元々あの二人は飲み友達だから楽しみだろうな。友和商事さんにはいつも仕事を貰ってるけど、合同での飲み会は初の試みだからうちの社員達も楽しみにしてるみたいだ」

「社員ね…」

 大河は飲みかけのコーヒーが入ったカップをテーブルに置くと、おもむろに立ち上がり食べ終えた食器の片付けを始めた
 深月の前に置かれた皿にも手を伸ばしてきたので「自分でやる」と言うと「いい、いい座ってて」と自分の皿の上に深月の皿を重ね、あっという間に流し台に持っていってしまった

「大河は参加しないの?」

 スポンジを右手に掴み、慣れたように食器を洗っている背中に質問を投げかける
 大河は手を止めることなく答えた

「いや、行く。行くんだけどさ」
「なんだ?歯切れが悪いな。何かあるのか?」
「うーん」

 洗い終わった皿を水切りラックに入れ終わると振り返り、そのまま後ろに持たれかかった

「あの子さ…相田さん。明らかに俺を敵視してるよな」
「…」

 深月は手に持ったカップに口をつけ、食後のコーヒーをゴクンと飲んだ

「まぁ…、そうかもしれないな」
「かもしれないって。明らかに敵視してるだろ」

 否定は出来ない
 オフィスで10年振りに大河と会った時、その場にまゆも同席していた
 動揺して何も言葉が出ない深月を、大河は強い口調で責め立て自分に従わせようとした
 なんとかまゆがその場を取り直したが、その後体調を崩した深月は会社を早退した

 二人の事情など全く知らないまゆは、それを目撃して以来、大河と深月の接触をことごとく邪魔し、深月を守ろうとしていた
 打ち合わせも電話も、殆ど深月と話せる事はない
 ちなみに大河は知らないが、まゆの同期の番場も大河を良く思ってはいない

 (まゆちゃんは100%善意でやってくれてるからな)

 いい歳をした男が友達と仲直りしました
 なんて会社で報告するのもどういったものか…
 ただ放っておく訳にもいかない

「丁度いいじゃん」
「え?」
、丁度いいじゃん。飲み会は有志とはいえ20人は集まるって聞いた。まゆちゃんだって、俺にベッタリはしてないだろ。」
「まぁ、そうか」
「そこで大河と俺が普通に話してれば、大丈夫だと認識するんじゃないかな」
「そんなに簡単に行くか?すごい目で見てくるんだぞ、虫ケラを見るような…」
「ハハッ」

 困り果てたといわんばかりの大河の表情を見て深月は思わず笑ってしまった
 子供の頃から女にモテまくっていた大河には初めての経験なのだろう

「笑うところじゃねーし」
「悪い、ちゃんと飲み会でフォローするから」

 オフィスで言うよりも飲み会の方が話しやすいだろう。まゆちゃんには、昔喧嘩をした幼馴染みだけど和解したんだと話すとするか...
 深月が考えていると、いつの間にか大河が深月の椅子の後ろに回っていた 
 180cmもある体を小さく屈めて、深月の耳元に顔を近づけた

「その日頑張るからさ…。先にご褒美ちょうだい?」

 耳元に生暖い息がかかり、深月は身を固くした

「ご褒美って…なに…お前、そんなこと言って恥ずかしくないの?」

 不意を突いて言われた言葉で、体の芯がカッと熱くなり顔が徐々に赤く染まっていく

「別に恥ずかしくないけど。…しよ?」

 そのまま大河は深月の左の耳たぶをカプッと軽く噛んだ

「アァ…!?…ナニ…」

 深月は上半身を捻らせた

「今、まだ朝だぞ。大体お前、今日は買い物にいこう…っん……てぇ…」

 大河は耳たぶから口を離すと、深月の耳に下を這わせた
 外側からねっとりと舐め始め、しばらくは穴の周りをチラチラと舐めた

「や、やめ…ん…ふぁ…」

 深月が蕩けてきたところで、舌を耳の中へ押し込んだ
 入り口から舐め始め、少し外に引いたらグッと押し込み、すでに舐めた場所より奥に侵入する
 深月の左の鼓膜には ジュルッッジュルッ という淫靡な音が鳴り続けている

「もう、ムリ…」

 その声を聞いて、大河が耳から顔を離すと深月が股間を気にして足をモジモジさせていた

「行こっか」

 真っ赤な顔をして小さくなっている深月を抱き抱え大河は寝室に向かった

ーーーー

 息も出来ないようなキスを繰り返しながら深月は考えていた

 (もう何十分キスしてるんだろう…)

 大河の抱き方は高校の時と変わったように思う
 当時はキスすらしなかったかも知れない
 お互い若さもあってヤるだけヤったら終わり
 ベッドに寝転んで話をしていた

 再会してからの大河はとにかくしつこい
 キスもそうだが、一つ一つのパーツを時間をかけて責めてくる
 深月が責めに耐え切れず達するか、次に言ってとお願いするまでは執拗に同じ場所を責め続ける
 それがまた快楽に変わり、1回のセックスで深月は何度も達してしまうのだ
 変わった事といえばもう一つ
 最近ゴムを使うようになった「セーフティセックスだよ」といいポケットに入れ常に持ち歩いているようだ

 (他で使っているのかも知れないな)

 高校卒業を機に連絡を断ってから10年
 様々な女性と経験してきたのだろう
 里美さんともまだ続いているようだし…
 俺を何故抱くのかはわからない
 大河と離れられないと身を持って知り、もう考えないと決めた…
 捨てられるまで一緒にいる
 それだけだ

「みつ、集中してないだろ」

 大河は長いキスを終わらせると深月の白い首筋に舌を這わせた
 舌は首筋を舐めたりキスをしたりしながら下へ下へと伸びていき、ついには深月の乳首に触れた
 円を書くように舐め回していたと思ったら、舌を大きくだし上から下へ、下から上へとベロベロと乱暴に舐める

「もう、やだ」

 深月が発すると同時に、大河は歯先で乳首を甘く噛み引っ張った

「アァー…!」

 深月はまた達してしまい、腹の上は白濁とした体液でビチョビチョに汚れた

「まだ触ってないのに、またイッちゃったの?本当、かわいーね」

 大河は休むこともなくそのまま続けた
 深月は快楽の波に深く深く堕ちていった
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