記憶の中の君へ

ミンク

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第1章 過去との再会

雨の日に失ったもの

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山ノ瀬 深月ヤマノセ ミツキは幼なじみの加賀 大河カガ タイガが、今月に入って何度目なのかもわからない告白を受けているのを、横目に見ながら少し離れてた場所で待っていた



身長180cm、適度に筋肉のついた均衡のとれたスタイル、モデルのように整った顔、学年で1、2を争う成績、スポーツをやらせれば何でも一通りこなし、天性の人たらしとくれば必然的にモテてしまうものだ



今日は深月の通う高校で部活動が休みとなる月曜日である
部活の無い日、放課後は仲間達と遊びに行くか、大河の家で二人で遊ぶかの二択が定番になっている


仲間達はこれから合コンに行くというので、あぶれた二人で大河の家に向かう途中、女子生徒達に声をかけられ足止めをくった

大河への告白、まぁいつものことだ


「深月待たせたな」


ぼーっと考えていた間に、思ったより大河が近くに来ていて思わず声をあげた


「お、おぉ…。もういいのか?」

「ん、行こーぜ」



深月は大河の顔を正面から見据えた

軽く色を抜いて少し長く伸ばした髪、左耳にリング状のシルバーピアス、真っ直ぐに通った鼻筋、涼しげな目元…その目が優しく微笑み二人は歩きだした



(笑うと垂れ目気味になるのがまたモテるんだろうか)

そんな事を考えながら足を踏み出すと、


「う~」


泣き声が聞こえきて、今来た道をちらりと振り返って見る

4~5人の見慣れた制服の女子達に囲まれて、泣きじゃくっているポニーテールのクラスメイトに目が止まった



白井さん…可愛くて良い子だよな

コイツ白井さんでも駄目なのか...


泣き声は大河にも聞こえているはずだが、全く気にしていないようだった


何とも言えない思いで彼女をチラチラ見ていると、突然左肩を掴まれ強引に上半身を引き寄せられた


「なぁ、今日いいよな?」


耳元で高校生にしては少し低い大河の声が響いた


「今日?」


「なんだよ、ダメ?」


「腹も減ったし、マックに行きたい」


「マック?うちでUber 頼もうぜ。雨も降りそうだし、決まりだな」


大河はフッと悪巧みをするように笑い、深月の肩を掴んだまま家への道を歩きだした


おまえに足りないのは【品行方正】という言葉だけだな


深月は小さなため息をひとつついた

ーーー~ーーーー~ーーーー~ーーーー~



「うっ…、んっ……」 


深月はうつ伏せになり、クッションに顔を埋めて声を殺していた


「みつ、腰もうちょっとあげてよ」


「ムリ」


それまで同じリズムを刻んで深月の中に出入りしていたモノがピタリとリズムを止める


顔を埋めたままの深月の耳元で大河が囁く


「それさぁ、声我慢してんの?出せば?うち今日も誰もいないし」


「え…?」


大河と奇妙な関係になった始まりは高2の4月だった

始めはずり合いだったものがエスカレートしていき、6月には本格的に体の関係を結んだ

それから1ヶ月、片手で数える程しか挿入をしていないので、まだ慣れてはいない

行為をする度に下半身がズキズキと痛み翌日は体が鉛のように重い


(気持ちいいわけじゃないし...)


「ムリ。男の喘ぎ声なんていらないでしょ」



「あっそ」



聞いたことも無いような大河の冷たい声に、深月の背中はぞわりとした


ハァと大河が息をはく

「みーっつ」

うってかわった様に大河は甘く深月を呼んだ


(コイツのこういうところだよ…)


クッションから少し顔を上げ返事をしようとすると、大河は突然深月の腰を両手で持ち上げググッと深く中に入ってきた


「うっ…やぁ…まって」


先刻からズキズキと痛んでいた下半身が更に痛みだす


(痛い!痛い!裂ける!)


大河はそのまま全てを深月の中に入れたと思うと、ズポンッと抜き、またググッと深く差し込んでくる

深月の中にペニスが入る度、太い棒で中の内壁を擦られ、孔は熱を帯び熱く痛んだ


出し入れするスピードはどんどん早くなり、部屋には大河が腰を打ち付ける音と深月の声にもならない声が響き渡っていた


体の大きな大河に覆い被られた深月の小さな白い裸体

その小さな体についた熱くなったモノにするりと大河の手が伸びていく

大河の手が深月のペニスに触れた瞬間、深月の体はビクンと跳ねた 


「や、やめ…さわるな…あぁっ」


深月の願いも虚しく大河の大きな手に掴まれ、上下に激しく擦りあげられる  

先端からはポタリ、ポタリと白濁した液体が溢れてくる

擦られながら腰を激しく打ち付けられ、深月の奥は壊れるほどに痛み、腰も引けず、動く事すら叶わなかった


(もうだめだ…)


大河が擦る手を止め、親指で深月のペニスの先端をグッと押すと同時に、腹の奥に熱いものをドクドクと流しこんできた

届いている場所がわかるように中ごろから段々奥が熱くなっていく

目の前が徐々に暗くなり深月は意識を失った

ーーー~ーーーー~ーーーー~ーーーー~ー

気付いた時、深月は大河の横に一緒に寝かされていた


(気を失ったのか)

軽く拭いてはくれたようだが体がベタベタして気持ちが悪い

「深月、起きた?」

横になったまま声のする方を見ると大河がこちらに背を向けていた

「起きた。俺、落ちてた?」

「そう、今日はちょっと無理させて悪い」

大河は相変わらず背中を向けたまま話す
不思議に思った深月は上半身を起こしながら聞いた

「大河、なんかあったの?」

しばしの沈黙の後、大河が口を再び開いた

「俺、彼女が出来たから。深月とこういう遊びをするのも今日が最後」

一瞬何を言われたのか分からなかった 

少しするとガンっと石で頭を打たれたような衝撃に襲われ、ズキズキと頭が痛みだした

やっとの思いで口を開く

「彼女?」

「うん、あのさ、里美さんなんだ。」

 (里美さん…)

頭の痛みはズキズキからガンガンに変わり、うっすらと吐き気までしてきた

それまで背中を向けていた大河が体を捻って深月を見た 

「今までありがとな。深月は一生の親友だよ」

大河は目尻を下げて甘えたように笑った
大河が心を許した人にしか見せない笑顔
里美にしか見せていなかった笑顔をその日初めて深月に向けた


それからのことを実はよく覚えてはいない

大河に何かを言った気がする
すぐに服を着て、雨がまだ降っているから…と止める大河を振り切って家を飛び出し、がむしゃらに走った

深月は雨に濡れながらも必死に走った
一刻も早く大河の家から遠ざかりたかった 

だが、激しい行為の後で下半身は言うことを聞かず、足が絡まりなだれこむように道に倒れこんでしまった

頭は割れそうなくらいに痛み、吐き気は更に増し、雨は非情にも激しく打ち付けてくる

(里美さん…そうだ...元々俺は里美さんの身代わりだった…)



深月の顔は転んだことにより泥だらけになり、目からは涙が次々と溢れ、すぐに雨に洗い流された

「あなた、大丈夫!?」

立ち上がることすら出来なくなり倒れたままの深月に、タオルを持ったカフェの店員が駆け寄って行った
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