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嵯峨野 樹悠

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健翔が、伊織と遊びに行っていた日は二人も休みだった。
なのに、結局スタジオに行って、個人練習するんだけど(苦笑)

あ~いいドラマーいねーかなー?
ま、口にはまだ出してないけど、何か違うんだよな~。
俺が求めてるモノと少し違う。いやだいぶか?(笑)

それが原因なのか、よく喧嘩をしてドラマーが抜けてしまうんだ。
健翔にまたかよって、怒られるんだけど、最近は事務所の人にも言われるようになった。

だって、仕方ないじゃないか。
俺が求めてるのは、手に届かない存在のANGELだから。

俺が求めてるレベルは、Dunkelheitっていうバンドのドラマー。
ANGELっていうんだ。

このバンドは謎に包まれていてよく分からない。
日本のバンドじゃないしね。
でも、ドラマーには惹かれるものがあるんだ。
一度でいいから手合わせ願いたい。

「啓威君。そろそろ時間なんですけどって、また聞いてたんっすか?好きですね~Dunkelheit」

「またって言うなよ(苦笑)俺らもこれぐらいにレベル上げたいな~って思うし。」

「ですね~って、ハードル高っ」

「(笑)俺も追いつけねーよ。まだまだだし。」
バンドの話になると終わることがなく、結局飲みに行って話しまくって解散した。

★★

数日後
そういえば、伊織が帰ってきたの誰にも伝えてねーな。
まずは、幼なじみなあいつにLINEするか。
驚かせてやろうと思って、伊織にLINEした。

すると、すぐに返事が返ってきていいよって。
啓威と将暉とは、大学生になってから知り合って、バンド作ったんだけど、あいつとは家が近所でいつもつるんでた。
大学が別になってからは会う頻度が減ってしまって、俺が引越ししたってのもあるかな??

仕事が終わってから落ち合うことに。
「久しぶり。和穂さん」

「おひさしぶりです。ってか、さん付って変わんないっすね(笑)」

「しょうがないよ。それが当たり前だったし。みんなそう呼んでたじゃん」

「いいですけど(苦笑)ところで会わせたい人って?」

「もうすぐ来るよ。びっくりすると思う」
とりあえず、伊織が来るのを待った。
先に行っちゃうと絶対迷うと思って。

『健翔。お待たせ。』

「そんなに待ってないよ(笑)じゃぁ、行こっか」

『うん』

「どこかで見たことある人」
と、和穂の頭には???が見えた(笑)

「(笑)まだ内緒」
そう言って、お店に入っていった。

お店に入っても、すぐには言わず焦らしてみた(笑)
「ちょっと~いい加減教えてくださいよ。隣にいる娘は?健翔さんの彼女?」
俺と伊織は、顔を見合わせて笑った。

「えっ?何??」

『健翔。ちゃんと教えてあげなよ(笑)可哀想だよ?』

「けど、お前のこと忘れられてるんだよ?いいの?」

『しょうがないよ。長いこと会ってないし(笑)』

「じゃぁ、自分で自己紹介しろよ。」

『分かった』

「何がなんだか、さっぱり分かんないんっすけど」

『和穂。久しぶり。伊織です♪』

「えっ?・・・伊織って、あの伊織?」
しばらく沈黙があって、やっぱり驚いてた。
そりゃ10年ぶりとなれば、変わりすぎてて分かんないよな~。

『びっくりした?』

「当たり前じゃん。ずっと連絡くれなかったし。会いに行くには遠かったし」

『(苦笑)ごめんね?』

「どうしてるのかな~って思ってたとこだから、ホントびっくりした。なんで戻ってきたの?」

「俺も、まだ教えてもらってないの。」

『まだ、内緒~(笑)』

「また、はぐらかした。お兄ちゃんは、そんな娘に育てた覚えはありませんっ」

『育てられてないし(笑)』
そういうと、3人で笑った。
お互いの近況を報告しあった。


『あ~楽しかった。また会おうね?和穂』

「うんうん。」
お互いに約束して別れた。

★★

それから、たまに俺は伊織と会ってた。
まぁ、幼馴染だから一緒に遊ぶだけなんだけど、何よりも色々案内して欲しいって頼まれたんだ。

『和穂。ごめんね。彼女いるのに』

「大丈夫(笑)伊織も会っただろ?ってか、香帆もちゃんと事情知ってるから(苦笑)」

『うん』

「で、どこ連れてって欲しいの?」

『色々(笑)』
たまに、香帆さんとも一緒に出かけた。

「伊織ちゃん。これ似合いそう~」

『そうかな?』

「うんうん。絶対似合うって」

『着てみようかな』
そう言って、試着室へ向かった。

「楽しそうだね(笑)」

「うん。ほら、一人っ子だから妹とか欲しかったんだ 伊織ちゃん妹にしたい~」

「そっか。」
伊織とのこと疑われるかと、正直不安だったんだ。

俺は、伊織のこと妹的な存在にしか見えないし、今は揺るぎなく香帆のことしか見えてないんだけど(照)
「ねぇ。伊織ちゃんは何歳?」

「ん?」

「すごく大人びて見えるけど、実際はもっと若いんじゃないかなって思うの。背伸びしてるのかな(苦笑)」

「どうだろ?そういえば、知らないや」

「まぁ、男の人は知らないか(笑)聞いちゃおうっと(´▽`)」
すると、伊織が試着して出てきた。

「カワ(・∀・)イイ!! いいじゃん。これにしよ?♪」

『似、似合うのかな??』

「うんうん。似合ってるよ。ねっ。和穂」

「うんうん。もっとそういうの着ればいいのに」

『あんまり着たことない(笑)』

「え~もったいないっ。じゃぁ、これとかこれとか」
香帆は、探しに行った。

張り切って探しに行った香帆を見ながら
「ごめん(苦笑)疲れてない?」

『うん。大丈夫だよ(笑)いい人だね。香帆さん』

「妹が出来たみたいで、何か嬉しいみたい。嫌だったら、連れて来ないから言ってよ?」

『私もお姉さんが出来て嬉しいよ。和穂さえ良かったら、いつでも』

「ありがと」
何着か試着してショップを出た。

『香帆さん。買ってもらったら悪いよ。ちゃんと払う。』

「いいのいいの。それから」

『ん?』

「香帆さんはやだな~。さんはいらないよ。」

『お姉さんだし。』

「え~。何か他人行儀でさ。」

『じゃぁ、香帆ちゃんって呼んでいい?』

「うんうん♪」

「(笑)」

「そうだっ。伊織ちゃんは、誕生日いつ?」

『なんで?』

「なんでって、誕生日来たらお祝いしたいし。和穂に聞いたら知らないって言うし」

『(苦笑)3月1日だよ。』

「そうだったんだ。今度の誕生日は、みんなでお祝いな」

「うんうん。こっちでは、学校とか行ってるの?」

『行ってないよ?なんで?』

「学生さんじゃないの?」

『(笑)違うよ。もう卒業したよ。』

「えっっ!だ、大学卒業?」

『今年の春に卒業したの。健翔には言ってたから、聞いてると思ったんだけど』

「初耳。聞いていい?」

『ん?』

「何歳?」

「ちょっと~女性に年齢なんて聞いちゃ駄目よ(笑)」

『香帆ちゃん。伊織は平気だよ(笑)和穂、健翔の年齢知ってるでしょ?』

「うん」

『一回り違うんだよ』

「えっ?若っ。っていうか、大人びて見える」

『それは言い過ぎだよ(笑)』

「じゃぁ、こっちでは何するの?」

『探してる最中だよ。』

「何かあれば言えよ?相談に乗るから」

「私も忘れちゃ駄目よ?」

『ありがと』


その日の夜、健翔と合流した。
『健翔。伊織にお姉さんが出来た』

「えっ?」

「私のことよ(笑)」

「びっくりした。いいの?会って間もないのに」

「一人っ子だから、妹欲しかったんだ。私の方が強引に言っちゃってるから(笑)」

「(笑)まぁ、まだ伊織もこっちで友達少ないだろうから。よろしくね」
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