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「彼女を連れてきてくれて、ありがとうございました。いつもその辺を散歩して、すぐ帰って来るのに帰ってこなくて心配してたんです。周辺を探したけど見つからなくて。今日探すつもりだったんです。」

「俺と蓮くんが、たまたま彼女がいた公園のそばにいたから。でも、なぜあそこにいたんですかね」

「あそこは、彼女の思い出の場所なんです。何かあるといつもあそこに行くんです。」

「彼女は、なぜここに?」
立ち入ったことを聴いてることは分かっていたけど、どうしても知りたかった。

彼女は、彼らの真剣な眼を見て、信頼してくれたのか話してくれた。
人づてに聞いたと前置きがあった。
「彼女は、幼い頃親に虐待されてここに来たんです。」

「えっ?」

「手をだされたとかそういうことではないんです。むしろ逆なんですよ。」

「逆ですか?」

「あることがきっかけで、親から愛情も何もかけてもらえなくなってしまったんです。その時から、彼女の時間は止まってるんです。」

「そんな」
俺達はそんな言葉しか出なかった。

「あの・・・立ち入ったことっていうのは分かってます。でも、もう少し詳しく教えてもらってもいいですか?」

「俺からもお願いします。公園にいたのに、何故家にいたっていったのかも分からないですし。」

しばらくの間、沈黙があった。
「分かりました。助けていただいたのも何かの縁です。」
そう言って、話してくれた。

しかし、衝撃的すぎて言葉にならなかった。
でも、知りたかったのは事実。
二人は、受け止めた。

「あの子には、二人いるんです。」

「二人??」

「分からないですよね。人格が2人いるんです。」

「襲われそうになった娘と家にいたって言った娘?ってことですか」

「はい。表現の仕方が難しいんですが。先ほど言った虐待を受けた娘が、はるです。もう一人が、ちいです。そして・・・」

「そして?」

「二人は、姉妹なんです。」

「えっ?」


「聞いた話によると、虐待が始まりそれに耐え切れなくなってしまったはるに、別の人格が出てしまった。それがちいです。」

「だから、そんなことがあったんだ」

「きっと、あなた方には信じられないことだと思います。それが普通の反応ですから(苦笑)」

少し間があき
「もし、信じられないということであれば、お話した私達の責任もありますが、もうこれ以上あの娘達には関わらないでいただきたい。」

「それは、出来ません。」
響は、速攻言葉を返した。

「えっ?」

「確かに、信じられないことだけど。このままじゃダメだと思う。俺が、俺達が良く出来るかどうかは分からないです。でも、愛情をもって接することは出来ます。」

蓮も続いた。
「彼女の家族になりますよ。喜んで。」

「そんなこと言ってくださった方は初めてです。ありがとうございます。」

「うちのリーダー呼んでもいいですか?さすがに、俺の一存では決めれないですから。」

「そうですね。」
そうして、郁をその施設に呼び出し再度話をした。
響と蓮が、提案したことはすぐさま実行された。

「郁さん。勝手に話進めちゃって、すみませんでした。」

「いや(笑)誰が聞いても、そうすると思うから気にするな。蓮もな」

「はい。ありがとうございます」

★★

話がすんだあと、はるが呼ばれ
「はるちゃん。今日からは、この人達が家族だよ。」

『かぞく?』

「これからはるとオレらは家族。いつも一緒だよ。」

『・・・』

「一緒に行こう?」
3人を変わるがわる見るはる。

そうして、はるは
『うんっ』
そう言ってくれたんだ。

そうして、俺達ははる達と一緒に帰ったんだ。
俺らは、事務所に戻った。

しばらくして、メンバーにはそれぞれ説明された。
しかし、不思議なことが起こったんだ。

ERSTEメンバーには、はる自身は問題なく接することが出来た。
でも、ちいが駄目だった。
原因は何か分からなかった。
だけど、異常な拒絶反応が出てしまって、会わせることは出来なかった。

そして、ZWEITEのメンバーは逆だった。
はるに拒絶反応が出てしまい、ちいは平気だった。

★★

はるもちいも、お互いのことはちゃんと分かっている。
それは、ちゃんと説明してあるんだそうだ。
しかし、はるはいまいち理解出来てないようだ。
あの時から、時間が止まっているからだろう。
ちいは、さすが姉。
自分の状況はちゃんと分かってた。

俺と蓮くんは、はるもちいも話が出来た。
きっと、これは一番最初に出会ったからかな?
それとも、神様がERSTEとZWEITEから一人ずつ選んでくれたってこと?
だとしたら、神様あなたは残酷な人です。
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