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028 実力を披露! 後半
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急いで部屋まで戻り、持ってきている器具を全て取り出し準備を進める。
短い期間で結構な数を作ってきたからか、手が自然と動くように作業は進む。そして、採ってきた薬草で回復薬5つを作り終えた。
大体薬草を採って作るまでの時間は30分ぐらいか。あんな所にじゃなくて、もう少し開けている場所に生えていたらもう少し早く作りえていたかもしれなかった。まあ今夜中に作れたんだから結果オーライ!
そして、作ったのは良いけどどうやって持って行こうか。
小さな袋があれば十分なのだが、持ってきているものは全て大きめの袋。別にこれでも良いが、どうせならかっこよく持って行きたい。
俺は部屋に何かないか視線を巡らす。
あ! あれだ。
視線の先にはテーブルにコップが上に乗ったお盆が置いてあった。
お盆で運べば、少しは見た目はよく見えるはず。
コップをテーブルに置き、お盆に回復薬を並べ持ち運ぶ。
扉を開けるのを少し苦労したが、その後は問題なく持ち運べた。
部屋に近づく程あの警備兵達だと思われる笑い声は大きく聞こえてくる。お酒が入っているからか、遠くからでも聞こえるほどの大声で俺の悪口を言っている。リューの様子を心配しながらも、焦らず、ゆっくり、堂々と向かう。
「お待たせしました」
部屋の入り口の前立ち止まり、皆の表情を見渡す。
警備兵は飲んでいたお酒の手が止まり。
デレシとマールは特に驚いてはいないが、こちらを見ている。
リューはずっと悪口に耐えていたのか、目尻には涙が浮かんでいるように見えた。
その他の作れないに賭けた人たちは俺を見ず、お盆に乗っかっている回復薬を凝視。
「これが私が作ったものではないと思う人は、客室を見てきてください。しっかりと器具で作った後がありますので。それでも信じれない方は、ホープ薬屋と言う薬屋に聞いてみてください。今回の依頼もそこ宛に届いたものですので」
どうせごちゃごちゃと言って来るだろうから、先に封じておく。
面倒は嫌だから。
でも、結局は回復薬と証明しないといけない。
「コウさん! 私信じていましたよ!」
「リューも色々と頑張ったね」
やはりリューの目尻には涙が浮かんでいた。
心配してくれるのは良いけど、今回はリューも連れてくるべきだったかな。これは反省するべき点。
「おいおい! もしお前が作ったとしても、結局は回復薬と証明できなければ意味がねぇぞ~?」
痛い所を突いているつもりなのか、顔を歪めニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
どうやらまだ自分の負けを認めたくないらしい。賭けとか言っていたが、結局は自分の気持ちに同情をして欲しく、大勢の味方が欲しかっただけ。自分を強く見せたいだけ。元の世界も、同じ学年の奴らにもこんな奴らは山ほど居る。それは異世界でも変わる事は無いらしい。
「そうですね。今のままではあなた方はこれが回復薬だと認めないでしょう。今この場では怪我をしている人は居ませんし。デレシ様に飲ませるとなれば、毒物が入っているのではと疑いますからね」
「ほらみろ! こいつは結局回復薬を作れると嘘をついている! デレシ様! こんな奴に頼む必要は無いですよ!」
デレシは一言も喋らず、目を瞑っている。マールも何も言わない。
俺はそんな中、リュー以外に聞こえない声でとある指示を送る。
「あれ? 私は別に証明できる方法が無いとは一言も言っていませんが?」
「は? 誰も怪我している人が居なければ無理だろ? ほら」
「なら怪我を自分で作れば良いのではないですか?」
その言葉を言い放った瞬間。俺の背中に大きな爪痕が刻まれた。
傷跡は右肩から左わき腹にかけて大きく切り裂かれ、大量の血が流れ出す感覚がある。
迷宮で薬の効果を実験した時のモンスターの突進を腹で受け止めた時より痛い。泣きたいほど痛い。背中は熱く、体内は徐々に冷たくなっていくのが分かる。
警備兵もその他の者も俺がした行為に驚く者も居れば。叫び悲鳴を上げる者。口に手を当て、悲鳴を押し殺す者。
デレシは目を見開き。マールは急いで手当てをしようとこちらに駆けつけようとしている。
だけど、この表情も一瞬。すぐに変わる。
この回復薬を飲めば。
回復薬を持っている腕を上に上げるほど痛みは増していく。
だけど、薬を飲まないと痛みは続く。俺は奥歯を砕けるかと思うほど噛み締め、回復薬を勢いよく飲み干す。一仕事を終えた腕は、痛みの限界で脱力してビンと腕は重力に沿って落ちる。
「す、少し効果が出るのに時間が掛かりますが……」
呼吸がしずらい。空気が十分に吸えない。
下を見たら大きな血溜りが出来ている。背中の感覚は無い。よっぽど傷が深かったのか。
あ、あれ? だんだん視界が霞んで、声も遠く聞こえるな。
「……なさい………さい…………い」
え? 何? リュー聞こえないよ。
もう1度大きな声で言ってよ。
もう1度……言ってよ……。
短い期間で結構な数を作ってきたからか、手が自然と動くように作業は進む。そして、採ってきた薬草で回復薬5つを作り終えた。
大体薬草を採って作るまでの時間は30分ぐらいか。あんな所にじゃなくて、もう少し開けている場所に生えていたらもう少し早く作りえていたかもしれなかった。まあ今夜中に作れたんだから結果オーライ!
そして、作ったのは良いけどどうやって持って行こうか。
小さな袋があれば十分なのだが、持ってきているものは全て大きめの袋。別にこれでも良いが、どうせならかっこよく持って行きたい。
俺は部屋に何かないか視線を巡らす。
あ! あれだ。
視線の先にはテーブルにコップが上に乗ったお盆が置いてあった。
お盆で運べば、少しは見た目はよく見えるはず。
コップをテーブルに置き、お盆に回復薬を並べ持ち運ぶ。
扉を開けるのを少し苦労したが、その後は問題なく持ち運べた。
部屋に近づく程あの警備兵達だと思われる笑い声は大きく聞こえてくる。お酒が入っているからか、遠くからでも聞こえるほどの大声で俺の悪口を言っている。リューの様子を心配しながらも、焦らず、ゆっくり、堂々と向かう。
「お待たせしました」
部屋の入り口の前立ち止まり、皆の表情を見渡す。
警備兵は飲んでいたお酒の手が止まり。
デレシとマールは特に驚いてはいないが、こちらを見ている。
リューはずっと悪口に耐えていたのか、目尻には涙が浮かんでいるように見えた。
その他の作れないに賭けた人たちは俺を見ず、お盆に乗っかっている回復薬を凝視。
「これが私が作ったものではないと思う人は、客室を見てきてください。しっかりと器具で作った後がありますので。それでも信じれない方は、ホープ薬屋と言う薬屋に聞いてみてください。今回の依頼もそこ宛に届いたものですので」
どうせごちゃごちゃと言って来るだろうから、先に封じておく。
面倒は嫌だから。
でも、結局は回復薬と証明しないといけない。
「コウさん! 私信じていましたよ!」
「リューも色々と頑張ったね」
やはりリューの目尻には涙が浮かんでいた。
心配してくれるのは良いけど、今回はリューも連れてくるべきだったかな。これは反省するべき点。
「おいおい! もしお前が作ったとしても、結局は回復薬と証明できなければ意味がねぇぞ~?」
痛い所を突いているつもりなのか、顔を歪めニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
どうやらまだ自分の負けを認めたくないらしい。賭けとか言っていたが、結局は自分の気持ちに同情をして欲しく、大勢の味方が欲しかっただけ。自分を強く見せたいだけ。元の世界も、同じ学年の奴らにもこんな奴らは山ほど居る。それは異世界でも変わる事は無いらしい。
「そうですね。今のままではあなた方はこれが回復薬だと認めないでしょう。今この場では怪我をしている人は居ませんし。デレシ様に飲ませるとなれば、毒物が入っているのではと疑いますからね」
「ほらみろ! こいつは結局回復薬を作れると嘘をついている! デレシ様! こんな奴に頼む必要は無いですよ!」
デレシは一言も喋らず、目を瞑っている。マールも何も言わない。
俺はそんな中、リュー以外に聞こえない声でとある指示を送る。
「あれ? 私は別に証明できる方法が無いとは一言も言っていませんが?」
「は? 誰も怪我している人が居なければ無理だろ? ほら」
「なら怪我を自分で作れば良いのではないですか?」
その言葉を言い放った瞬間。俺の背中に大きな爪痕が刻まれた。
傷跡は右肩から左わき腹にかけて大きく切り裂かれ、大量の血が流れ出す感覚がある。
迷宮で薬の効果を実験した時のモンスターの突進を腹で受け止めた時より痛い。泣きたいほど痛い。背中は熱く、体内は徐々に冷たくなっていくのが分かる。
警備兵もその他の者も俺がした行為に驚く者も居れば。叫び悲鳴を上げる者。口に手を当て、悲鳴を押し殺す者。
デレシは目を見開き。マールは急いで手当てをしようとこちらに駆けつけようとしている。
だけど、この表情も一瞬。すぐに変わる。
この回復薬を飲めば。
回復薬を持っている腕を上に上げるほど痛みは増していく。
だけど、薬を飲まないと痛みは続く。俺は奥歯を砕けるかと思うほど噛み締め、回復薬を勢いよく飲み干す。一仕事を終えた腕は、痛みの限界で脱力してビンと腕は重力に沿って落ちる。
「す、少し効果が出るのに時間が掛かりますが……」
呼吸がしずらい。空気が十分に吸えない。
下を見たら大きな血溜りが出来ている。背中の感覚は無い。よっぽど傷が深かったのか。
あ、あれ? だんだん視界が霞んで、声も遠く聞こえるな。
「……なさい………さい…………い」
え? 何? リュー聞こえないよ。
もう1度大きな声で言ってよ。
もう1度……言ってよ……。
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