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11.イヤホンで耳を開発

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 性感帯といわれている部位は、ほぼ一般化している。クリトリスや乳首など直接的で分かりやすいものであったり、うなじや脇腹といった間接的な場所もある。おおむねではあるが「くすぐったい」と感じるところが性感帯になる場合が多いようだ。

 莉子は、かなり感覚が敏感である。いいかえると「くすぐりに弱い」体質であるともいえる。マッサージなどを受ける際も背中をさわられるとダメみたいだ。健康診断の腹部エコーでは「ひやっ」といった声を発してしまい、検査技師の機嫌を損ねることがよくあるそうだ。
 セックスの時も、前戯の早い段階で乳首に舌を這わせようものなら、思わず笑ってしまい、愛し合う雰囲気から離れてしまうのだ。ある程度プレイがすすみ「スイッチ」が入ってしまえば、乳首まわりに歯を立てて痕を残したり、すこし乱暴に乳首をつねったりすると喘ぎ声を出して喜ぶのだが、そのスイッチを入れるまでの課程に工夫と熟練が必要になってくる。

 ここまで読むと莉子とのセックスは難しそうに思えるかもしれない。だが俺にとってはそんなことはなく、コツと彼女の生態を理解してしまえば驚くほどスムーズに事を進めることができるのだ。

 彼女のスイッチというか性感帯の一つに舌がある。どういうことかといえば、俺の肉棒を口に押し込みしゃぶらせる・・・それだけで感じるカラダになってしまっているようだ。その証拠に、個室のレストランでズボンのファスナーをおろして、莉子の頭をおさえつけて奉仕をさせてみる。じゅるじゅると淫卑な音をたてて咥えこんでいるところで、彼女のショーツの隙間から指を這わせると、必ずといっていいほど、すでにヌルヌルに濡れているのだ。
 応用編としては、指を口にいれて、口の中をかき混ぜてやる・・これだけでも感じてしまうようだ。

 もちろん、これらの方法は、パブリックスペースでは実行できないのだが、最近、あたらしいスイッチを発見することができた。それは「耳」だ。

 発見のきっかけは偶然だった。莉子が無線のイヤホンを選びかねているという話をしていたので、俺が普段使っているBluetoothイヤホンをお試しで数日使ってもらうことにしたのだ。
 莉子はどちらかといえば潔癖症なほうであり、イヤホンは耳の中に入れるものなので本来は衛生的な観点からは、共有したり貸し借りしたりするものではないのだが、俺の使っているイヤホンを自分の耳の穴に入れるときに、いろいろなことを想像してしまったようだ。

 日常でイヤホンをつけている時、俺の粘膜の細胞が付着しているであろうモノを自分の中に挿入したまま生活をしている・・・そういった妄想をしたのだろうか?イヤホンを挿入するたびに感じてしまうようになったそうだ。

 それ以来、耳自体が敏感になってしまった。外耳を指でつまんだり、耳穴に指をねじ込むように突っ込まれると、喘ぎ声が漏れてしまうようになったのだった。

 先日、莉子とデートをした際は、この新特性をふまえて愛し合った。あまりに良かったので、余韻と感触を忘れないよう、ここに記しておきたい。

 その日は、午前半休をとり、いつもの逢瀬につかっているホテルをデイユースで予約した。少し早めにチェックインしたので、大浴場へ行き身体を温めた。部屋に戻ると莉子から「8時45分頃の到着になります」と連絡が来ていたので、その時間にエレベーターホールに迎えに行く。

 ほどなく彼女が現れた。今年のトレンドカラーの鮮やかな色のシャツにデニムのボトム。スタイルと顔がよいからだろうか。今年のトレンドカラーはコーディネートが難しいと思っていたのだが、とても上手に着こなしており惚れ直してしまう。

 部屋に入ると、待ちきれず抱きしめた。急いで早歩きで来てくれたのだろうか、すこし汗ばんでいる。莉子の汗を味わいたくなり首筋に舌を這わせる。

 「きゃっ・・ダメですよぅ。シャワー浴びるので待っててくださいね♪」
 と逃げられてしまった。

 シャワーを待っている間に俺の男根には血流が漲ってきている。久しぶりの逢瀬であることと大浴場で身体を温めたことも作用しているのかもしれない。シャワーから出てきた莉子の視線が俺の股間に注がれる。頬を染めて少し嬉しそうに微笑む表情が愛おしい。

 バスタオルを剥ぎとると互いに一糸まとわぬ姿で抱き合う。その柔らかい唇を味わうようにそっとキスをすると、俺の口の内部から鼻腔にむけて薔薇のような甘い香りが拡がってくる。そのまましばらく濃厚なキスを続ける。舌と舌が絡み合い、彼女の唾液の粘度が増してくる。

 前戯は短めが好みなのは知っているが今日はもう少しじっくりと莉子の身体を味わうことにする。
 身体を起こしてベッドの上に座らせて、後ろから抱き締める。首筋にキスをしてから耳許で囁く。

「耳が敏感になっちゃたんだろ? 今日はここをたっぷりとせめてやるからな」

「ひっ、だめっ」と身体をよじる。

 人差し指と親指でやさしくそっとイヤカフのように耳をつまんでみると、ビクッと反応する。面白くなってきた。次は小指を莉子の耳穴にねじ込んでいく。

「ああああっ、、み、耳ダメっ!感じすぎちゃいます」

「きょうは、お前の穴を俺でいっぱいにしてやるからね」

 後ろから抱きしめたまま、俺の足を使って莉子の股を拡げていく、その姿はちょうどベッドサイドの鏡台に映し出されて彼女の女陰が露になる。恥ずかしさで顔を紅くそめて抵抗するが構わず股をさらに拡げていく。

「ほら、まる見えだよ」

 左手で彼女の耳を弄んだまま、右手を女陰に這わせる。すでにぐしょ濡れ状態だ。
 そっと右手の人差し指と薬指で陰弁を拡げると中指の腹でそっとクリトリスを撫でてやる。

「ひっ、、いっ、、気持ちいいっ、、こんな格好にされて、、、あああああっ」

 クリトリスを転がすように撫でながら時おり指先を微妙に膣の入り口にすべらせると溢れる愛液がビチャピチャと淫卑な音をたてる。

「いやっ、、聞かないでっ」

 莉子が恥辱に頬を染めるほどに愛液は溢れ、音は大きく響きわたる。眼を潤ませてうったえるように俺を見つめてくる。

「も、、もう、がまんできなっ、あああっっ、、はやく、下さい」

 ベッドに押し倒し莉子におおいかぶさる。そそり勃った俺のペニスの切先を花弁にあてがう。まだ挿れてやらない。焦らすようにクリトリス周辺を竿でこするように刺激する。

「いじわるしないでくださいっ!」

 莉子が腰をふり、その入り口にペニスの先端があたるように体勢を変えてくる。先端に莉子のぬめぬめとした粘液を感じると、少しづつその深部に押し込んでいく。

「ううっ、、ああっ、、大きいっ、ゆっくり、、ゆっくりとお願いします」

 自分からおねだりしてきたくせに・・・かなり苦しそうな表情だ。加虐心が刺激されるが、大切な莉子の身体は優しく丁寧にゆっくりとせめてやらねばならない。

「今日のシュウさんの、、硬すぎますぅ、、うっ、、はぁっ、はあっ、、筋肉みたいに、かち・・かちっ、、っあああっ」

 最深部に押し込む前に、ゆっくりと引き抜く方向に移動し、抜ける直前でまた押し込む。浅めのピストン運動をゆっくりと、ゆっくりとおこなう。一往復に数十秒かけながら、莉子の膣道をほぐすように繰り返す。同時に両手で耳を重点的に愛撫するのも忘れてはいけない。太さの違う指を交互に耳穴にねじ込みながら羞恥心を煽る言葉を囁く。

「ほら、お前の穴、同時に犯されてるよ」

 スイッチが入ったようだ。神経伝達物質による麻酔のような効果か、痛みは快感と区別がつかない領域に達するようだ。莉子の表情をたしかめ、最深部まで押し込んでやる。

「ああああっ、、きたっ、、奥まできました、、、はあっ、はあっ、、いいっ、、気持ちいいっ」

 奥までは入ったものの、いっぱいいっぱいで苦しそうな表情は続いている。馴染んでくるまで莉子の最深部で深くつながったままじっと動かずに抱き締める。俺の心臓に彼女の鼓動が重なり、互いの存在が融け合うような感覚になっていく。

 ふと気づくと、莉心の腰が上下左右に揺れている。

「なじんできましたっ。もっとたくさん、激しくしてください」

 このあたりから、俺の記憶が曖昧になる。股を広く開脚させて、さらに莉子の奥に身を沈めて突き上げる。彼女の両足を俺の肩にかつぎ上げて挿入の角度を変える、胸元や内腿にキスマークをつける、莉子がみずから四つん這いになりバックをねだってくる、後背位で、筋肉のように固くぱんぱんに張った肉棒をゆっくりと押し込み、コリっとした感触とともに膣道を押し拡げる快感を楽しむ、バックで突きながら、白桃のような尻をスパンキングして紅く染め上げる。

 ・・・と、いつものように至福の愛の時が流れていく。

「そろそろ限界です。シュウさんのいいときにイってください」

 莉子の言葉を合図に、精を放つべく気持ちをさらに高めていく。このあたりから、スマホを動画モードにして撮影を開始する。

「どうしてほしいんだ?」

「なかっ、、中っ、に、ください。濃いのをいっぱいワタシのなかにっ、、くださいっ」

 淫乱きわまりないセリフに興奮が最高潮に高まっていく。

「いいいっ!気持ちいい。莉子のカラダ最高だっ、、、はあっ、はあっ、い、、いくぞ」

「はいっ、、はああっ、、あああぅ、き、、きてっ、いっぱいください」

 そのまま莉子のなかで精を放つ。結合したままドクドクと脈打つペニスをカメラ越しにみながら俺の精液が莉子の中に注がれていく感覚を堪能する。

 ペニスの脈動がおさまると、つながったまま彼女を抱き締める。キスをして髪をなでる。溢れる愛おしさで意識が異次元に飛んでしまいそうになるが、今回は、男根を引き抜き、彼女の陰部から俺の精液が溢れて流れ落ちてくる様子をしっかりと記録した。

・・・その後、シャワーを浴びたり、彼女がもってきてくれたカヌレをたべたり、雑談をしたりしながら2回目、3回目と愛し合った後、ホテルをあとにして、近くにあるレストランでランチタイムを楽しんだ。

 このレストラン、ランチの時間帯も個室を予約できる神レストランなのだが、料理のレベルもなかなか良く、二人の別荘のような存在である。今回も、担当のナイスミドルなウエイターさんは、料理を運びおえると、きちんと扉を閉めてくれた。ウエイターさんの好意をいかすべく、次回の逢瀬につながるべく、食事が終わったあとは、しっかりと莉子を誘惑しておく。

 耳を指で刺激し、キスをする。そのまま俺の股間に頭をもっていくと、ジッパーをあけて奉仕を始める。莉子の下着のスキマから指を這わせると・・・予想どおり、ぬるぬるに濡れていた。
・・・ここで、今回は時間切れとなってしまったのだが、はやくまた会いたくなってしまったのは俺のほうかもしれない。 
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