全人類の命を守る一騎当千の『守護者』は殺されました。守護者の卵は命をかけて彼らの代わりを代行し、事実を隠す世界を守っています

卵くん

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アーミーナイト 体力テスト 後編

第45話 新手の闇の一族?

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「どうかしたか、シル」

 急に勝利の余韻に浸る二人を取り残してその場から歩き出し始めるシル。マシュが後ろから声をかけてくるが、返事が返ってくることはない。ウヨウヨと動く謎の生き物の所在を明らかにしなくてはいけないという使命感がシルを行動に掻き立てる。後ろから送られる二人の不思議そうな目線を一心に浴びながら、更に歩く速度を早めた。

「何だよ、これ」

 目的の物を拾い上げると、それを持ちながら二人がいる場所にまで戻っていく。何の造作もなく捕まえられたそれは、シルの手の中でウニュウニュと動くばかりで特に危害を与えるようなことはしてこない。

だが、全身を紫色に染め上げているところから見ると、闇の一族の怪物たちと何かしらの関連性があるのは容易に想像がつく。だが、目の高さまで持ち上げられ、3人から視線を浴びようが、その正体を特定することはシルには叶わなかった。

「これ、昔どこかの本で読んだ気がする。うん・・・、このシルエット見覚えがある」

 そうこぼしたのはデンジュだ。彼の博識さにはシルもマシュも舌をまくほどだ。その頭の中には闇の一族に関する知識なら全て入っているのではないかと思ってしまう。

「本当ですか?」

「こんな気持ち悪い生き物が何かの本のイラストか何かで描かれていたんですか?」

「あぁ、これは確かナメクジが瘴気に浴びすぎた場合に変異する形の一つで、体内の水分だけが残ったクリーチャーなんだ。変異した時の周りの瘴気濃度に合わせて色も変わるらしく、これまでに紫や緑色の個体が確認されているらしい。正式名称は忘れたけど、確か人の脳内に耳孔を通って侵入、寄生して、人を操ることができるって本で読んだことがある」

「えぇ! 洗脳されるんですか!?」

 思わずシルは手からその生物を離す。すると、先ほどと同じ様にウニュウニュしながらゆっくりとした速度でどこかに消えていこうと動き始めるが、すぐさまマシュがすくい上げる。ついでにため息をこぼされたが、そんな怖いこと言われたら誰だってそうなるだろ、とシルは鼻を鳴らす。

「おい。大事な研究材料だろう? 逃しちゃまずいだろう」

 「悪い悪い」

手を合わせてシルは謝罪する。マシュはその気味の悪いクリーチャーをなんとも思わないようで、片手でがっしりとつかんでいる。その力はシルが握っていた時以上で、先ほどよりもそいつは苦しそうにウネウネしていた。

「情報を整理しようか」

 パンッという高らかになった手を叩く音の後に続いたデンジュの一声で2人は再び冷静さを取り戻す。そして、真相解明に向けて思考を繰り返していくのであった。

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