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アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜
X-69話 新たな仲間!
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「カーブスは、あなたをずっと探してたんだよ。理由は——何でかは分からないけど。でも、あなたの過去にその理由が隠されているのは、間違い無いと思うよ。だって、時の犯罪者と行動を共にしていた時期があるんだから」
「いや、行動してたって言っても、遠い昔のことだよ? それに、俺自身に記憶もないし。実際に、少し会話したけど、特に俺に執着するようなことは・・・」
「・・・言ってたんだな」
ユウシの冷たい一言。だが、ないとは言い切れないような、会話がカーブスと俺との間に繰り広げられたのは事実だ。天恵の複数所持の実験を行った当初の理由は、天恵を持ち合わせなかった俺に、それを与えるためだと、彼は説明した。それを考慮するならば、俺とカーブスは全くの無関係だとは言えないだろう。
「とにかく!!!」
次の言葉を口にしようとした瞬間。コルルがこの野営地全体をも震わせる声量で、声を発した。あまりの声の大きさに、耳の奥からキーンという耳鳴りが鳴り響いているほどだ。
「難しいことは私には分からない。その、カース?とかいう人が、この集落にどんなことをしでかしたのかも知らない。ていうか、私を除いて皆んなの間で共通理解になっている事実も、腹立たしいけど。今は、そんなことを話している場合じゃないでしょ!」
「コルル・・? いったい何を・・・??」
「あのな、僕たちは今大事な話を——!」
「うるさい!!!」
ゴツン!!
反論を試みる俺とユウシの頭に、同時に降り注ぐ隕石の一撃。思わず、悶絶の声を漏らさざるを得ない威力で、二人とも頭を抱え込んだ体勢のまま、頭を垂れた。
「そんな難しい話は後にして! とにかく、今は二人して反省しなさい!!」
その言葉に、野営地の人含めて、誰一人として反論しようとするものはいなかった。
ーーーーーーーーーーーー
「イッテェ・・・。やっぱり、今後もコルルを怒らせない方がいいみたいだな」
痛む箇所を押さえながら、俺は同様に頭を氷で冷やしている、ユウシを見やる。すると、ユウシからは思ったよりも真剣な眼差しが返ってきた。
「どうしたんだ?」
「クーリエさんは、これからどうするんだ? ここが、旅の最終目的地だったわけじゃないんだろう?」
その質問に、俺は首を縦にふる。
「旅の最終目的地か・・・。それは、特に考えて来なかったな。でも、ここで旅を終えるってことは考えてないかな。まぁ、俺は冒険者だし。それに・・・」
「それに?」
正面から捉えられる視線に、笑みを浮かべながら答えた。
「カーブスに言われたんだ。旅を続けた先に、全ての答えが待っているって。だから、俺はもう少し当てのない旅を続けようと思っている。コルルを連れてな」
「そうか。じゃあ、ひとまず次の目的地はシントーイン地方に存在する、五つの王都の内の一つ、ガヤ王国が良いだろうな。だって、ここから一番近い上に、僕の顔も広まっているから、中に入国検査無しで入れる」
俺は、ユウシの言葉に顔を歪めた。おかしい、なぜか胸に違和感が走ると、それは身体に現れるように全身に鳥肌を立たせる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。話が見えなくなった。あれか? また、ユウシの天恵を使ったのか? こんな気持ちはあんまり味わえなから、つい身構えちゃったよ」
「何も使ってないけど?」
「それならより一層おかしいだろ! なんで、ユウシが俺たちの冒険についてくるという前提で、話が進んでいるんだよ! ユウシにはやりたいこととか、沢山あるだろ? 無理して、こんな目的のない旅についてくる必要はない。危険だって山ほど待ち構えているんだぞ?」
「僕が——やりたいから。だから、今お願いしているんだ。お願いします、僕を旅に同行させてください」
頭を下げるユウシ。その覚悟の前に、俺はそれを承認するしか道は残されていなかった。
「いや、行動してたって言っても、遠い昔のことだよ? それに、俺自身に記憶もないし。実際に、少し会話したけど、特に俺に執着するようなことは・・・」
「・・・言ってたんだな」
ユウシの冷たい一言。だが、ないとは言い切れないような、会話がカーブスと俺との間に繰り広げられたのは事実だ。天恵の複数所持の実験を行った当初の理由は、天恵を持ち合わせなかった俺に、それを与えるためだと、彼は説明した。それを考慮するならば、俺とカーブスは全くの無関係だとは言えないだろう。
「とにかく!!!」
次の言葉を口にしようとした瞬間。コルルがこの野営地全体をも震わせる声量で、声を発した。あまりの声の大きさに、耳の奥からキーンという耳鳴りが鳴り響いているほどだ。
「難しいことは私には分からない。その、カース?とかいう人が、この集落にどんなことをしでかしたのかも知らない。ていうか、私を除いて皆んなの間で共通理解になっている事実も、腹立たしいけど。今は、そんなことを話している場合じゃないでしょ!」
「コルル・・? いったい何を・・・??」
「あのな、僕たちは今大事な話を——!」
「うるさい!!!」
ゴツン!!
反論を試みる俺とユウシの頭に、同時に降り注ぐ隕石の一撃。思わず、悶絶の声を漏らさざるを得ない威力で、二人とも頭を抱え込んだ体勢のまま、頭を垂れた。
「そんな難しい話は後にして! とにかく、今は二人して反省しなさい!!」
その言葉に、野営地の人含めて、誰一人として反論しようとするものはいなかった。
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「イッテェ・・・。やっぱり、今後もコルルを怒らせない方がいいみたいだな」
痛む箇所を押さえながら、俺は同様に頭を氷で冷やしている、ユウシを見やる。すると、ユウシからは思ったよりも真剣な眼差しが返ってきた。
「どうしたんだ?」
「クーリエさんは、これからどうするんだ? ここが、旅の最終目的地だったわけじゃないんだろう?」
その質問に、俺は首を縦にふる。
「旅の最終目的地か・・・。それは、特に考えて来なかったな。でも、ここで旅を終えるってことは考えてないかな。まぁ、俺は冒険者だし。それに・・・」
「それに?」
正面から捉えられる視線に、笑みを浮かべながら答えた。
「カーブスに言われたんだ。旅を続けた先に、全ての答えが待っているって。だから、俺はもう少し当てのない旅を続けようと思っている。コルルを連れてな」
「そうか。じゃあ、ひとまず次の目的地はシントーイン地方に存在する、五つの王都の内の一つ、ガヤ王国が良いだろうな。だって、ここから一番近い上に、僕の顔も広まっているから、中に入国検査無しで入れる」
俺は、ユウシの言葉に顔を歪めた。おかしい、なぜか胸に違和感が走ると、それは身体に現れるように全身に鳥肌を立たせる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。話が見えなくなった。あれか? また、ユウシの天恵を使ったのか? こんな気持ちはあんまり味わえなから、つい身構えちゃったよ」
「何も使ってないけど?」
「それならより一層おかしいだろ! なんで、ユウシが俺たちの冒険についてくるという前提で、話が進んでいるんだよ! ユウシにはやりたいこととか、沢山あるだろ? 無理して、こんな目的のない旅についてくる必要はない。危険だって山ほど待ち構えているんだぞ?」
「僕が——やりたいから。だから、今お願いしているんだ。お願いします、僕を旅に同行させてください」
頭を下げるユウシ。その覚悟の前に、俺はそれを承認するしか道は残されていなかった。
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