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獣軍連邦潜入編
49.孤児院とぬいぐるみ
しおりを挟む服の上から全身をまさぐる手に、どうしてももどかしさを感じてしまう。中途半端に触れるぐらいならいっそ触らないでほしい。夢うつつの中でその手を押しやって、馬のぬいぐるみの、小さな腹に鼻先をうずめて身体を縮こませる。
横向きに丸く転がって、触れにくいはずの胸板に、脇から差し入れられた小さな手に揉まれ、臀部には……ああなんだ、ユスか?顔を寄せられて、すうっと尻のはざまの匂いを嗅がれる。服の上から匂いを嗅ごうなんて、なんなんだこの変態は。舐めたいなら勝手に舐めてくれ。私はまだ眠いんだ。まだ寮の起床時間には程遠いはず……。
「ほら。こうするとクンツ、自分で服脱ぐんだぜ」
もぞもぞと動いて、身に着けた柔らかい綿のパジャマを下着ごとずり下げる。するとすぐさま複数に匂いを嗅がれた。……うん?複数に?ユストゥス、分裂できたのか?
しかも、匂いを嗅がれるだけで、いやらしく動く舌を差し込まれる気配がない。それならおちんぽを入れてくれるのかと思いきやそれもなく、ただただそこに集まっているだけだ。
「嘘じゃなかったのね……。わ、ほんとに甘い匂いしてる」
「ね、ねえそろそろ帰ろうよ。クーちゃん起きちゃうしぃ」
「そんなこと言わずにブラムも嗅いでみろよ」
「ええでもぉ………………ほんとだ、あまーいにおい。おいしそう」
ひそひそと、声が聞こえる。大人のものではない、子供の高い声を、低く抑えたような……そんな声だ。ぐりぐりとぬいぐるみに顔を押し付けつつ眉間にしわを寄せた。
違和感がだんだん強くなって、意識が浮上してくる。うっすらと瞳を開けた瞬間。ずぼっと持っていたぬいぐるみを誰かに取られた。
「こぉら!!悪ガキども、勝手に子供部屋抜けるなって、何度言ったらわかるんだッ!!」
「やべっ!ライニールだ!」
「わーい馬ちゃんゲットー!」
「あわわ……待ってえ!」
わっと周囲にあった気配が散っていく。一気に意識が覚醒して起き上がると、開けっ放しになったドアから、どすどすと足音を立てて、逃げていく孤児院の子供が見えた。今の最後のは、ブラムだろうか。……ということは!
「っない!」
さっきまで、ちゃんとしっかり握っていたはずの、ぬいぐるみがなくなっている。また!ツェルリリに取られた!!
急いで追いかけようと動くが、なぜか膝まで下がっていた下着とパジャマズボンに、足を取られて身動きが取れない。
足を出したつもりで身を乗り出していた私は、頭から床に転げ落ちそうになって、浅黒い腕に抱きとめられた。……アッ。この手は……。
「クンツ……」
降ってくる声の低さが怖い。耳がぺたりと伏せてしまいつつ、私はそっと、手の主を見上げた。すらりと伸びた手足が特徴の、まだ若い黒豹獣人だ。長い尾が不機嫌に揺れている。
人族で考えれば、私と同じく17,8歳程度の外見だが、これでもまだ12歳らしい。よくよく見れば、確かに顔立ちはまだ幼い。身長もまだ伸びると言っていた。今は私よりちょっと小さいぐらいだ。13歳が成人として認められる獣人のなかでは、彼もまだ子供らしい。
「ライニール、違う。私は悪くない。悪くないぞ。あいつらが……」
「ちゃんと、部屋の鍵かけて寝たか?」
「かけたと……思うの、だが……」
答えが尻つぼみになってしまう。私は昨晩、ちゃんと鍵をかけたはずだ。何度も確認した。……でも、今朝もこうして、部屋の中に侵入されてしまっている。私は肩を落とすと、ライニールはふっと苦笑した。
「クンツはちょっと、特殊なんだから、気をつけないとだめだぞ」
「うん……っあ」
彼は私をベッドに戻そうとしてくれた。が、臀部を、尾の付け根を触られてしまい、声を出してしまった。少しだけ、私を抱きとめてくれた手に力が篭る。無言でうつ伏せの体勢にされてしまった。
もちろん膝まで衣服は下がったままで、何も覆われていない臀部が、彼の視線の前にあらわになる。彼は至極真顔で、私の小さな尾を軽くつまんで持ち上げると、すんすんとソコの匂いを嗅いだ。うう……っ。
「え、ライニール。その、あまり、そこの匂いは嗅がない方が……」
「まだ、匂い嗅がれるの慣れない?俺の匂い嗅ぐ?」
じわりと、声に熱が籠っている。ああ駄目だ。ライニールまで発情させてしまった。ライニールは来年成人という、ほぼ成獣の男だ。
私に悪戯しに来た子たちは、まだ8歳や9歳と、幼女としての私と近い年齢で、発情を起こすにはまた成熟していない。でもライニールは違う。発情した雌の匂いを嗅げば、あっさり発情してしまうお年頃だ。
「ライニール……すまない、その……その、手を離してほしい」
「大丈夫。匂いを嗅ぐだけだから」
足の付け根に近いところに、熱い吐息がかかる。持ち上げられた尾の根元を、すりすり指で愛撫されながら、鼻先を割れ目にうずめられた。そしてすうううっと匂いを嗅がれる。魔肛が、はしたなく反応するから、ほんとにやめてくれ。
「ライニール!」
悲鳴のような私の声に、黒豹の少年はハッとして慌てて身体を起こした。尾を離されて、ほっとしつつ寝間着を整える。尾なんて掴まれても、そもそも人族の私はどうということもないはずなのに、愛撫されていると力が抜けて動けなくなる。本物に似た機能なんていらなかった。あとで帰ったら苦情申し立てしてやろう。
「ご、ごめんクンツ。ああ俺……本当にごめん」
自分自身を守るように布団にもぐりながら腹を立てていると、ライニールに深く謝られた。そんな彼に、私の方が罪悪感を感じてしまう。私が常に発情したような匂いを、魔肛からさせているのがいけないのだ。ああ彼がせめてあと一年、成人した獣人なら交尾してもよかったのに。そう思うが、脳裏に険しい表情のドゥシャンが浮かんで、慌てて甘い幻想を消す。
「違う。……すまないライニール」
謝りながら私は、魔肛持ちの身で、この任務の難しさを痛感していた。
私が孤児院に収容されてから、あっという間に一週間が過ぎた。孤児院では小型と中型の草食獣人が住む棟と、大型と中型の肉食獣人が住む棟で、建物が……ああいや、木が分けられていた。
自分の実家や寮が、石材や木材、鉄材で作られた建物なので、なんとなく獣人たちの孤児院も、そんな建物だろうと思い込んでいたが、全然違った。
彼らはこの地域にしか生えていない、ジルチグアという、成長していくにつれて、幹に空洞が生まれる巨木を建物にしていた。地上はワームと呼ばれる虫型魔物の巣窟で、私は首都に到着してから、一度も地面に下りたことがない。
獣人たちは器用に木を上り下りし、また、縄梯子や木の幹に打ち付けて作られた広場を足場に暮らしていた。この木には、ガガジェがツタを這わせて実を成らせるので、より子供を住ませやすいらしい。
生活空間がまったく違う世界に、私は面食らってしまった。まるで異世界に入り込んだかのようで、落ち着かない私を抱き締めてくれた狼は、毎日顔を合わせはするが、違うところに住んでいる。ドゥシャンやアーモスも、よく顔を合わせた。アーモスはこの孤児院出身らしい。そんなことを、首都に付く前に聞いた。
私の受け入れには、どうもひと悶着あったようだった。
どう見ても熊の幼女だが、男であることが、受け入れするのに難航したらしい。孤児院では男女は明確に部屋を分けられていて、私を雄の子供部屋に入れるか、雌の子供部屋に入れるかを悩んだそうだったった。
普通に考えれば、私は男なのだから、雄の子供部屋に入るべきである。そう思ったし、実際そう主張した。でも却下された。院長先生曰く、雌の匂いをさせる私が、輪姦されかねないらしい。
獣人たちは見た目もさることながら早熟で、10歳ぐらいから子作りが可能ということだった。にもかかわらず、13歳が成人として認められているのは、精神が未熟であるため、らしい。人族にしても、男は精通を迎えるのは12~3歳だが、成人として扱われるのは15歳だ。それはわかる。
正直輪姦なら喜ばしいものだから、本音を隠して、それでも子供部屋を希望したのだが、ただでさえ性奴隷と思われていた私が、そんな素直に入れてもらえるわけもなかった。
かといって、匂いだけが雌な私を、雌の子供部屋に入れるわけにいかないため、急遽、個室を用意されたのだ。先生方が住む階層の、物置だった部屋が私の部屋になる。
それでも、雌の匂いをさせる雄の私に、孤児院の子供たちは興味津々になってしまったらしい。
獣人は匂いで相手の情報を得るらしいのだが、皆が皆、私の匂いを嗅ぎたがる。雄も、雌もだ。
大人になると、それは子供のする振る舞いということで、あからさまに匂いを嗅がなくなるのだが、それならそうとユストゥスも、最初から言っておいてほしかった。
普通は、互いに首や脇の匂いを嗅ぐ程度らしい。首筋の匂いをひと嗅ぎ、が握手代わりだと知って、私は心底驚いた。ドゥシャンもアーモスも、私にそんな触り方はしなかった。ユストゥスはよく私の匂いを嗅いでいるが、それはあの狼が変態だかららしい。……考えてみれば、年の離れた幼児と握手をしたがる大人は、あまりうちの国でもいないな。
軽く触れあって匂いを嗅ぐのなら、別に気にしない。私はいろんな子供たちと匂いを嗅ぎあった。実際は、私は獣人ほど鼻が利くわけではないので、嗅がせるばかりなのだが。
でもそこで一つ、問題が浮上する。私の体臭とは違う場所で、甘い匂いをさせる場所があることを、子供たちが気づいてしまったのだ。群青騎士なら誰でも持っている、魔肛だ。
それに気づいてから、皆、私の尻に鼻先を突っ込みたがった。尻だぞ尻!
首筋の匂いを嗅がせるのが握手なら、尻の匂いを嗅ぐのは、抱き締め合うことぐらいの感覚らしい。だからユストゥスもよく匂いを嗅ぐし、舌を入れるしぺろぺろ舐め回して……まあ、あいつはいい。
問題なのはその匂いが、発情した雌の匂い、ということだ。
10歳以上の子供は、私の尻の匂いを嗅ぐだけで十中八九、発情する。私の匂いに引きずられてしまうそうだ。雌にはあまり効かないが、雄には効果があった。
精通もしていて、健康な男が、発情に当てられるとなると、やることは一つだ。私は何人かの獣人に、交尾を狙われていた。よし、と思わず手も握った。でも、それを制止したのはドゥシャンだった。
「クーちゃんは成獣だから、未成年との淫行は良くない」と、彼が言うのだ。
ドゥシャンはユストゥスを除けば、私が唯一成人……成獣であることを知っている。そのおかげで私は定期的に彼から『ごはん』をもらえているし、満足いくまで、いっぱい腹の中をいじめられている。ユストゥスに言われてする、騎乗位も慣れてきた。
その彼が言うのだ。良くないと。
よくよく考えずとも、潜入捜査で今私は幼女になっているが、元々は規則正しい騎士だ。そんな私が、未成年に対して淫行など……だめだ絶対だめだ。ドゥシャンに言われるまで、私はおちんぽに目が眩んでいた。
ユストゥスは、気にしなくていいじゃないかというのだが、あいつの意見は参考にならない。なぜなら変態だから。
なので、目の前に人参をぶら下げられた馬のような状態ではあるが、私は日々、子供たちから尻を守ることに追われている。
今日も朝から疲れてしまった。子供たちを捕まえに来たライニールを、無意識に誘惑してしまったし、通信魔具が仕込まれたぬいぐるみは、大猩々獣人のツェルリリに奪われてしまった。彼女はなにか、人が大事にしているのを見ると、すぐに欲しくなってしまう、困った性格の持ち主らしい。
今は、新しく来た私のぬいぐるみを狙うことにご執心のようだった。正直、通信魔具さえ抜き取れればあげてもいいのだが、この不器用な私が、上手に通信魔具だけ抜き取れる気がしない。絶対馬を引き裂いてしまう。
他の誰かに頼むというのもできないから、ここのところ、毎日ぬいぐるみをめぐって、ツェルリリと戦っている。……私はこの国に、何しに来たのだろうか……。
だが、今日も今日とて、諦めるわけにいかない。
謝るライニールをなだめて部屋から追い出し、服を着替えて手袋をつける。それから私は食堂に向かった。
「おはよークーちゃん」
「おはよう」
孤児院の子供たちは、匂いのせいかもしれないが、だいたい私に好意的だ。そして皆、私の尻の匂いを嗅いでくる。……そろそろ一週間経つのだ、皆慣れてくれ頼むから。
私を含め、雄の、少年たちの朝食の時間が終わった後、これ見よがしに私の馬のぬいぐるみと、馬より数倍大きな、桃色のウサギのぬいぐるみを抱き締めて、ツェルリリが他の女の子たちと一緒に、食堂に入ってきた。
雄雌は部屋はわかれているが、食堂は時間差で利用している。私は部屋は別だが、一応雄の子供たちと一緒に食事を取っていた。雌の方がいいのではと、院長先生には言われたが、こればかりは私のプライドが許さなかった。
なので、これから雌の、彼女たちの朝食の時間である。汚されるのも嫌だし、汚れを落とすために丸洗いされて、万が一にも中の魔具がバレてしまったら困る。
「ツェルリリ。ぬいぐるみを返してほしい」
私が彼女に詰め寄ると、少女たちの会話がさざ波のように止まっていった。ツェルリリは、雌の中では一番大きい大猩々獣人だ。その彼女に面と向かって、取られたものを返してほしいと訴えられる獣人は、残念ながら少ないらしい。あちこちから飛んでくる視線がチクチクと刺さる。
彼女はぎゅっと両手のぬいぐるみを強く抱き締めた。ぷらっと揺れる馬の足が目に入る。
「いや。このぬいぐるみは、私の方が似合うもの。あたしに頂戴。代わりにあたしのうさちゃんあげる」
「うさちゃんはいらない。うまのぬいぐるみは、大事なものなのだ。お願いだから返してほしい」
「なによ。あたしのうさちゃんが、気に食わないっていうの?」
ぷくっとツェルリリが頬を膨らましながら、ウサギのぬいぐるみを押し付けてきた。ふにゃふにゃで、魔具など入っていないぬいぐるみを見つめて、困惑してしまう。これは私のものではない。そして、力づくで取り返すわけにもいかない。
それに、彼女は私とほぼ同じ身長で、私よりも脂肪も筋肉もある、正真正銘、標準サイズの大型獣人の幼女だった。身に着けているものも、ドレスワンピースだ。正直、人の感性を持つ私からしてみれば、鎧を着た方が似合うのではないかと思うが、そんなことは口にしない。レディに失礼だ。
……ちなみに私も、オドヴァール殿に買っていただいた服が、ここでの制服代わりのようなものになっている。もう一着とどちらがいいかをユストゥス、ドゥシャン、アーモスの3人と票決したら、3対1でこのキュロットスカートになった。解せない。
ここに来るまで、私は獣人の子供、幼獣を見たことがなかった。だが今は嫌というほど見ている。小型獣人は全身含めても、私の膝程度しか身長がないものもいる。多種多様だった。それでも大型は、人族からしてみれば、成人済みの身長体重である。
だから、彼女が大型獣人として標準サイズということであれば、……たしかに、私など、細いのかもしれない。力負けする気はないが、もし引っ張り合いにでもなったら、あんなぬいぐるみなどあっという間にボロボロになる。すでにもう、右後ろ足が取れかかっているのに。本当にそんなボロボロなぬいぐるみ、いるのか?いらないだろう。
返してほしい。私のぬいぐるみ……。
受け取ってしまった、うさぎのぬいぐるみを眺めながら途方に暮れていると、ライニールが小走りで走り寄ってきた。
「クンツ、どうした?」
「ぬいぐるみが……」
それだけで察しの良いライニールは、ゆっくり頷いた。
「貸してみろ」
手を差し出されて、私はうさぎのぬいぐるみを手渡す。ツェルリリが私とライニールを睨んで、意固地になったように、私の大事な、うまのぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。
「ふんだ、ライニールに言われても、返さないんだから!」
「ツェルリリ……」
「それはどうかなあ?ほーらできた!」
笑顔で差し出してきたうさぎのぬいぐるみには、片耳に水色の布で大きな蝶結びがされていた。……まあ、可愛いとは思う。可愛いとは思うが、えと……それで?
これをどうしろと言うのだろうと、受け取りながら悩んでいると、ツェルリリが叫んだ。
「あたしのうさちゃん返して!」
「!」
ライニールはこれを狙っていたのか!私はうさきのぬいぐるみを抱き締めながら、じりっと後ずさった。
「うまのぬいぐるみと、交換なら返す」
「いらないわよ、こんなぼろいの!」
いうが早いか、彼女は床に馬のぬいぐるみを叩きつけた。ツェルリリが掴んだのが取れかかっていた足で、びりっと嫌な音を立ててもげてしまう。あああああ!魔具!魔具は壊れていないだろうか!
うさぎのぬいぐるみを彼女に押し付け、衝撃で足が取れてしまったぬいぐるみを拾い、胸に抱く。足は拾う間もなく、また奪われたりしないように、すぐさまツェルリリから離れて、食堂を飛び出した。
走る私の背に、「クンツ!」と声がかかったが、それどころではなかった。通信魔具に替えはないのだ。一刻も早く、ちゃんと動作するか、確認しなければいけない。そう。これは、大事な魔具なのだ。
だから、一目散に部屋を飛び出した私のことを、彼らがどう受け取るかなど、気づけなかった。
ぬいぐるみを抱いたまま、私はジルチグアの巨木を登る。あちこちに階段や休憩スペースなどがあるが、まっすぐ与えられた自室に戻った。部屋に入り、しっかりと鍵をかけ、靴を脱いで布団に潜る。おそるおそる、微量の魔力を流した。これもカトラリーと同じで、魔力を通して初めて使えるようになる。……あ、馬の目がうっすらと青白く光った。どうやら壊れてないようだ。綺麗に光る瞳を見てほっと息を吐く。
魔具が問題なく使えるのがわかったのだから、彼らの元に戻るべきなのだろう。でも。
ぎゅっとぬいぐるみを握り締めながら、私は口を開いた。
「ま、マルツィオ様のばか!あほ!えと……ばか!どうして、通信魔具を、うまのぬいぐるみなどにしたのですか!すごく大変なのですよ?!今日もツェルリリに取られて!他の子たちにも貸してほしいって言われるし!断るのが一苦労なのです!聞いてますか?!」
聞いているわけがない。報告は一週間に一度の夜と言われている。旅中に一度、そしてこの孤児院に入ってから一度、一方的に報告を上げた。もちろん罵声などない、ちゃんとした丁寧な報告だ。次の報告は明日の夜の予定だ。にも関わらず、私はぬいぐるみに怒鳴るのをやめられなかった。ここのところ、暇さえあれば、魔力を通して愚痴を言っている。
「皆、私の尻の匂いを嗅ぎたがるのです!下手するとおちんぽ勃ってしまうのに!今日もライニールのおちんぽ勃たせてしまった!うう……すまないライニール……ちゃんと私は、私に手を出そうとする悪い大人と交尾するから許してほしい……。今のところ、孤児院ではいないようだが……でも絶対、見つけておまんこしてみせる!」
ここから子供がいなくなるというのだから、絶対怪しい人物はいるはずなのだ。そんな悪い人間なら、私が交尾したあとに、懲らしめてやらなければならない。
決意を新たにしつつ、それはそれとして。
「この格好もどうにかしてほしいのです!私がキュロットスカート履いて喜ぶのは、ユスだけで充分です!剣も振りたいし、訓練もしたい!!あと、あとは……」
約小一時間ほど、私はぬいぐるみに向かって、愚痴を言い続けた。魔力の消費量は微々たるものだ。あとでユストゥスから一回、余計に搾り取ればいい。
心からすっきりした気分で、私は一方的な通信を終えたのだった。
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