オメガのホストはベータとして生きる

柴楽 松

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49)番いの契り

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 和司は、梓を腕の中で感じるたびに、その心の奥から溢れ出る欲望を抑えきれなくなるのを感じていた。
その香り、肌の温もり、震える手。
それらすべてが和司を挑発していた。
 彼の心は一瞬で狂おしいほどの欲望に支配され、理性が崩壊しそうになった。
梓が目の前にいる、それだけで和司の体は反応し、全身が熱くなり、心の中で渇望が膨らんでいった。

「梓……君が欲しい」

 和司は低く、荒い息を吐きながら、梓の肩に手を回す。その手は冷たく、震えていたが、内側では溢れんばかりの熱が燃えていた。

「好きだよ」

 その言葉を耳にした梓の目が一瞬、困惑と欲望が入り混じった表情に変わる。
すぐにその視線は和司に引き寄せられ、呼吸がさらに速くなった。

 和司はそのまま、梓の唇を強引に奪う。
梓の息を切らせながらも、和司の舌が彼の口内に侵入し、深く絡み合う。
そのキスの中で、和司は自分の欲望を無意識に梓に伝えようとしていた。
唇と舌が触れ合うたびに、二人の体はますます近づき、和司の胸の鼓動が速くなった。
 梓の首筋に唇を這わせ、息を漏らしながら彼を支配する感覚に身を任せる。

「和司さん……」

 梓の声が甘く、切なげに響く。その声を聞くたびに、和司の心はさらに加速し、もう止まらなくなる。
和司は一瞬、梓の体を引き寄せるのを躊躇ったが、すぐにその欲望に身を委ねる。
彼は梓を押し倒し、彼の体を自分の上に押し付けた。

「君が欲しい、梓」

 和司の声は震えていたが、それでもその言葉は確かなものだった。

「君を、俺だけのものにしたい」

 その言葉に梓の顔が赤く染まるが、同時に彼の体もまた、和司に引き寄せられていく。

「でも、俺……」

 梓の言葉は弱々しく、抵抗しているかのように見えたが、その瞳にはもう、和司を求める気持ちが強く映し出されていた。

「和司さん……俺……怖い……」

 梓の心の葛藤を理解しながらも、和司はその弱さを感じ、さらに強く彼を抱きしめる。

「愛してる」

 その言葉を言い終わると、和司は再び彼の唇に深くキスを落とし、梓の体に手を回す。
その指先が彼の肌を滑り、じわじわと焦燥感を煽る。

和司は梓の耳元で何度も愛を囁き、その声が梓の心をさらに揺さぶる。
その言葉に、梓はもう一度目を閉じ、その胸の奥で湧き上がる思いを抑えきれなくなっていた。

「和司さん……俺、和司さんが好き」

 その声は、もはや迷いを感じさせない。梓の心が完全に和司に引き寄せられ、二人の間の距離は消えた。
梓の手が和司の服を引き裂くように握りしめ、彼の体に触れる度に、和司の理性は完全に崩れ去った。

 和司はさらに強く、梓を抱きしめ、二人の体を一つにしようとする。
その夜、二人はついに一つになり、運命を感じながら、互いに溶け合うように結びついた。
熱さ、重さ、そして心が通い合う感覚を二人は全身で感じ、もう後戻りできないことを理解した。

 和司は、梓の耳元に息を吹きかけると、その香りに急かされるように彼の首筋に顔を埋めた。
梓の息遣いが荒くなり、彼の肌がわずかに震えたのを感じ取る。
和司の唇が梓のうなじに触れると、甘い震えが梓の体を走った。

「和司さん……」

 その声に和司は、どうしても我慢できなかった。
梓の声が、自分の中の獣性を呼び覚ます。彼の肌に触れるたびに、欲望が渦巻いていく。
和司は梓のうなじに軽く息を吹きかけ、さらに近づけると、今度は唇を重ねた。
その柔らかな肌に、少し力を込めて歯を立てる。

「んっ……!」

 梓の声が、ふるえながら漏れ出した。
和司はその反応に満足しながら、今度は少し深く、梓のうなじに歯を食い込ませる。
その感覚に、梓は思わず体を強張らせた。
すぐにその甘い痛みが彼の中に快感を運び、身体全体が熱くなる。

 番の契り。

それが成立した証の歯形を、和司は梓のうなじに残した。

「梓……あずさっ」

 和司の声は低く、荒げられていた。梓の体はさらに熱くなり、心の奥からわずかな切なさがこみ上げる。
和司は再び梓のうなじを少しだけ甘噛みし、その感覚を堪能しているようにゆっくりと舌でなぞった。
その動きに梓は再び息を呑み、強く和司の体にしがみつく。

「和司さんっ好き……すきっ」

 梓の声は震えていたが、彼の体は和司を求めるように寄せられていった。
和司はそのまま、梓のうなじにもう一度歯を立て、強く噛み締めた。
その痛みと快感が交差する瞬間、二人の心はますます一つになっていく。

「梓……俺の番……」

 和司の言葉が、梓の耳に響く。
梓はその言葉を受け入れ、うっとりとした表情で和司を見上げた。

 和司の手が梓を包み込むたび、彼の心の奥深くで何かが解き放たれていくのを感じる。
最初はただの緊張から始まり、やがてそれは信じられないほどの安心感に変わっていった。
和司の温かさが、まるで梓の心の中の凍えた部分を溶かしていくように広がり、その手に触れた瞬間から、梓の胸の中に溢れ出すものがあった。

「和司さん…」

 その一言が、彼の心を溢れさせる。これまでに感じたことのない幸福感が、じわじわと体の隅々に染み渡っていく。
和司に抱きしめられ、その肌のぬくもりを感じるたびに、彼の存在が梓の世界のすべてに思えてくる。
今までどれだけ孤独を感じてきたのか、その空虚さが消えていくのを感じる。
和司と一緒にいることで、梓は初めて自分が全ての闇から解放されたような気がした。
それは、まるで長い間失っていた光を取り戻したような、温かさが胸に広がる感覚。

 身体が震えるたびに、梓はその幸福感に身を任せ、心が揺れるたびに涙がこぼれそうになった。
ただ和司のそばにいられるだけで、何もかもが完璧に思える。過去の痛みや迷いがすべて薄れて、ただひたすらに和司を感じていた。
そしてその幸福感は、言葉では言い表せないほど深く、強く、甘美なものだった。

「もう自分には嘘をつけない、君を手放さない」

 和司の声が、梓の耳に優しく響く。その一言で、梓は胸が張り裂けるほどの幸福を感じた。
その言葉に背中を押されるように、梓は心の奥底で何かが満たされていくのを感じる。
この瞬間、どんな言葉よりも深く、和司が自分を受け入れ、愛してくれることを理解した。

 それはただの愛情ではない。
和司の存在が、梓にとってのすべてだった。
今まで感じたことのない、どこまでも優しく、力強く、確かな幸福感。
それは、梓の心の中で根を張り、しっかりと彼を支えてくれるものとなった。

 胸の中で膨らむその感情に、梓はただ無力に身を任せた。
自分の心の中で、初めて本当の安堵と喜びが広がっていくのを感じながら、和司の腕の中で深く息を吐いた。
その瞬間、彼は完全に和司と一つになった気がした。

「愛してる」

 和司はそう告げると梓の唇を再び強く奪い、二人の心が交わる。

和司の歯が梓のうなじに再び食い込み、その甘い痛みと共に、二人は一つの世界に引き寄せられるように深く結ばれていった。
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