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第1弾 I am ■■■■■
16話
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━━7月20日 空港内━━
────月日が経つのはとても早いというが、実際その通りだと個人的に思う。【TAXIM】としての正体を明かしてから報道の嵐に見舞われ、さらに批判的な声が増えた。仕方の無いことだが。
まぁ擁護する意見が無いって訳ではない。他局のニュースでは市民を守ったヒーローとして祭り上げられている上に、助けられた人達から嬉しい声を戴いてる。そのおかげで心が挫けずに居られるのだからありがたい。子どもから自信作の絵も貰ったし。
で、何で今空港に居るのかというとだけど、今日は紗季が帰国する日だから見送ってるだけだ。こう、空港のことを思い出すと両親のことまで思い浮かべてしまうからあまり行きたい場所では無いけれど、こうやって見送ることだけはしてやりたい。単なる我儘のようなものだ。
……で、注目度が凄い。規制線が張られているからゴチャゴチャしたことは無いのだが、行く先々で老若男女問わずに歓声が飛ぶのだからスター気分……元からスターみたいなモン、かな?
勿論のこと報道陣が居て、そこで紗季の見送りをしていることも撮られた。それは別に良いんだけどもね。
特に何を話すまでも無く、手を繋いだままゆっくりと歩を進めてプライベートジェットまで案内していく。暫くは紗季と会えないけど、用事だってお互いあるから仕方ない。
滑走路内まで付き添い、プライベートジェット前の階段で止まる。
「ありがと。それと……頑張ってね、トム君。」
「そうだなぁ。これからさらに忙しくなるし、メガフロート完成もしなきゃなんないし──」
「多分、また出ていくんだよね。」
「…………そうだね。もしかしたら、ってこともあるしさ。」
「そっか……気をつけてね。」
「気を付けるよ。紗季も色々と気をつけて。」
「うん。じゃあ、またね。」
「あぁ、また。」
プライベートジェットへと乗り込んでいき入口が閉められる。それと同時に耳に付けていたBluetoothから通信が入る。大抵この場合はSOPHIAからの連絡だけど……さて何だろうか。
『Sir, preparation for the production of the β series has ended. I’ll manufacture a suit that can be worn at all times from this.』
「OK. I'm begging you.」
何だこれか。試作機と先日使用したαシリーズの利便性向上版がβシリーズ、勿論武装とかも新しく追加させようとも考えている。次にγシリーズでも作っておこうか。
……さて、自宅に戻るか。プライベートジェットも既に空の旅に出てるし、こっちも色々作業をしなきゃなんないと。ずっと忙しくなりそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
トーマスが家へ帰る最中、家の近くにあるファストフード店へと入りハンバーガーを頬張っていた。ここの地区では完全に普段の日常のようにトーマスは溶け込んでおり、周囲の人はそれが当たり前として認識している。
カウンター席に座る彼の隣に、見慣れぬ成人男性が横に座った。私服なのだろう、完全に普通に溶け込んでいる。しかしその人物の視線はトーマス・コールへと向けられていた。
「“I am TAXIM”…… you said it?」
「You look like it isn’t my fan., but who are you?」
男は彼の方へと向き、トーマスもその男の方に注目した。
「I’m Mack・Nardic. Secretary of International Defense Organization.」
運命が、交差し始めた。
TAXIM will return.
────月日が経つのはとても早いというが、実際その通りだと個人的に思う。【TAXIM】としての正体を明かしてから報道の嵐に見舞われ、さらに批判的な声が増えた。仕方の無いことだが。
まぁ擁護する意見が無いって訳ではない。他局のニュースでは市民を守ったヒーローとして祭り上げられている上に、助けられた人達から嬉しい声を戴いてる。そのおかげで心が挫けずに居られるのだからありがたい。子どもから自信作の絵も貰ったし。
で、何で今空港に居るのかというとだけど、今日は紗季が帰国する日だから見送ってるだけだ。こう、空港のことを思い出すと両親のことまで思い浮かべてしまうからあまり行きたい場所では無いけれど、こうやって見送ることだけはしてやりたい。単なる我儘のようなものだ。
……で、注目度が凄い。規制線が張られているからゴチャゴチャしたことは無いのだが、行く先々で老若男女問わずに歓声が飛ぶのだからスター気分……元からスターみたいなモン、かな?
勿論のこと報道陣が居て、そこで紗季の見送りをしていることも撮られた。それは別に良いんだけどもね。
特に何を話すまでも無く、手を繋いだままゆっくりと歩を進めてプライベートジェットまで案内していく。暫くは紗季と会えないけど、用事だってお互いあるから仕方ない。
滑走路内まで付き添い、プライベートジェット前の階段で止まる。
「ありがと。それと……頑張ってね、トム君。」
「そうだなぁ。これからさらに忙しくなるし、メガフロート完成もしなきゃなんないし──」
「多分、また出ていくんだよね。」
「…………そうだね。もしかしたら、ってこともあるしさ。」
「そっか……気をつけてね。」
「気を付けるよ。紗季も色々と気をつけて。」
「うん。じゃあ、またね。」
「あぁ、また。」
プライベートジェットへと乗り込んでいき入口が閉められる。それと同時に耳に付けていたBluetoothから通信が入る。大抵この場合はSOPHIAからの連絡だけど……さて何だろうか。
『Sir, preparation for the production of the β series has ended. I’ll manufacture a suit that can be worn at all times from this.』
「OK. I'm begging you.」
何だこれか。試作機と先日使用したαシリーズの利便性向上版がβシリーズ、勿論武装とかも新しく追加させようとも考えている。次にγシリーズでも作っておこうか。
……さて、自宅に戻るか。プライベートジェットも既に空の旅に出てるし、こっちも色々作業をしなきゃなんないと。ずっと忙しくなりそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
トーマスが家へ帰る最中、家の近くにあるファストフード店へと入りハンバーガーを頬張っていた。ここの地区では完全に普段の日常のようにトーマスは溶け込んでおり、周囲の人はそれが当たり前として認識している。
カウンター席に座る彼の隣に、見慣れぬ成人男性が横に座った。私服なのだろう、完全に普通に溶け込んでいる。しかしその人物の視線はトーマス・コールへと向けられていた。
「“I am TAXIM”…… you said it?」
「You look like it isn’t my fan., but who are you?」
男は彼の方へと向き、トーマスもその男の方に注目した。
「I’m Mack・Nardic. Secretary of International Defense Organization.」
運命が、交差し始めた。
TAXIM will return.
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