TAXIM

マルエージング鋼

文字の大きさ
上 下
40 / 48
第1弾   I am ■■■■■

9話

しおりを挟む
 すぐさま飛び立ち、アメリカへと帰還する。岩盤の一部崩落と2度の爆発もあったが、SOPHIAが正確な場所を国際警察に差出人不明で出し、さらにウロボロスの拠点を示した地図も出した。これで出動させられる事態にはなっているだろう。躍起になって捜し回って逮捕してくれる筈だ。

 アメリカに帰っている自分だけど、マッハで動いているせいであと20分もすれば到着するのでそれまでメガフロートに爆発物を仕掛けるビニガンの奴らをどう対処したら良いだろう。いくらなんでも、“この証拠があるからこうですよ”なんて言えない訳だし。無用としたら即刻切り離すだろうからなぁ。

 ……だがこのまま見過ごす訳にもいかない。メガフロートに搬入される荷物が、どこの企業に届いているのか再度毎回チェックしなきゃ不味い。今までのものも全てだ。荷物の中に爆弾があって設置された場合……待て。確かに爆破計画ではぁッ!?


『Sir, it’s aimed at military aircraft軍用機に狙われています.』
Where is the affiliation所属は?!」
It’s a US Air Force squadronアメリカ空軍です.』
Thank you for grasping the situation that is too calm冷静すぎる状況把握どうも!」


 狙われないように急上昇や急降下を繰り返してはいるけど……やっぱり現役は違うなぁ! 逆にGでこっちがどうにかなりそうだ! でも……こっちには奥の手がある!


I will accelerate加速するぞ!」
Accelerate to Mach 3.5マッハ3.5まで加速させます.』


 ぐっ……ぎぃ…………!こ、これ!肉体の保護とか、かけてないと、キツイ……!でもおかげで、距離が離れられる! ッ!?ちょ、アラーム鳴ってるけど何!?


It’s a missileミサイルですね.』
「Oh……shit! Preparation of flareフレア準備!」


 おっと空間ディスプレイがミサイルと自分の距離を測ってくれてる……って、撃とうとするんじゃないよ全く! 追い付けないからミサイルは早とちり過ぎるって!


A missile is approachingミサイル接近しています.』
Flareフレア!」


 腰の左右両サイドからフレアが発射される。ミサイルはフレアに直撃、マッハ3.5で逃げてた自分は何とか爆発に巻き込まれずに済んだものの煙で前が見えなかったりしてた。……今日疲れた、帰って休みたい。

 あーでも……アメリカ空軍が居るってことは、ここ合衆国内なのか。だったら3.5は不味いか。マッハ……7だな、そこまで加速させるか。そうしとけば切り抜けられる。出来れば雲の中も通って行かなきゃな……嫌だけど。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇





 アメリカ空軍基地が、所属不明機が合衆国内に向かって来ていることを知った途端、スクランブル発進の為に慌ただしく準備をしていた人物が居る。トーマスの友人、ボブ・マーティンである。

 現在上等兵所属のボブは、同期の軍属と共にF-15へと乗り込み大空へと飛び立った。所属不明機はとても小さく人工衛生からではその姿の全体像を捉えることが出来なかった、故に彼らが出動することになったのだ。人の目で、その姿を捉えるために。

 そしてその所属不明機に追い付いた。目の前に居る飛行物体を見て、やはり益々訳が分からなくなってきている。小さいが、紫色をしていることは理解出来た。そしてボブは気付いた。


That's absolutely Tom's inventionあれ絶対トムの発明だ……!)


 そうして悟った、恐らく攻撃命令が出て撃つことになるのではと。皮肉にもその予想は当たり、結局のところ攻撃をするのだったが……その所属不明機は機関砲の銃撃をバレルロールで回避したのだ。

 まるで後ろにでも目が付いているかのように避けている。ボブにとっては避けてくれてこの上なく安心しているのだが、やはりというかそんな安堵も束の間、ミサイルの発射許可が出たのだった。そして、後で謝ることとあの発明について言及しようと試みるのだった。

 ミサイルが発射され、爆発が起きる。しかし目測で確認しても、その機体の少し後ろで爆破したように見えた。実際そうなっており、その爆煙から所属不明機が飛び出したのだった。

 こうなってしまえば、とことん追いかけるしなかない。だが距離だけが離れていくのだ。F-15の最大速度はマッハ3であるのだが、向こうはそれよりももっと速い。マッハ3以上……いやマッハ5以上は確実に出ているであろうその速度に追い付けず、結局見失ってしまい帰還するのであった。

 そしてボブと、その同期は上層部に招集される。お偉いさん方にその目で見たことをありのままに告げ、ボブはあれがトーマスの発明品であることを隠した。

 しかし……あれは何なのかは疑問に思っている所もある。確かにトーマスの発明なのであろうが、F-15と同等以上の速度を出しておいて、さらに加速させることのできる代物は他に見たことがない。そう思うボブであった。

 スペースシャトルのマッハ23.5や、ファルコンHTV-2のマッハ20とは比較にもならないが、エンジンが見当たらないのに何故あんな速度が出せるのかが不思議でならなかった。

 ボブは自室に帰った後、SNSでトーマスにメッセージを送る。


<Hi Tom. It’s bad quickly早速で悪いがbut you said earlierさっきのお前だろ.

                          What about何のこと?>

I exercised in order to confirm the unknown machineさっき所属不明機を確認する為に出動した.

It was a purple humanoid flying object紫色をした人型の飛行物体だったよDo you know that知ってるよな?

                            So whatだから何のこと?>

Where have you been up andお前今まで何処で what have you been up to何をしていた?

                 I was experimenting in the labラボで実験してた.>


 それと同時に写真も送られてきた。ボブにとってはあまり興味のないことだが、それでもトーマスのアリバイは証明されてはいる。目撃証言は無いが少なくとも証拠品と手は映っているので、もう疑わなくて良いのだが……。


I will go to your house next time今度お前ん家行くからな.

                              OK.>


 少し間が置かれていた気がするが、その辺りもじっくり調べようと決めるボブであった。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇





 あいたたた! ちょ、待って痛い痛い!外す時めっちゃ痛いんだけど!? あぁもう、今度はキツく閉め過ぎないようにプログラム改良しなきゃぁあああ゛!

 ぐ、きつぅ……。まだ残ってるし、この状態でボブから何か連絡来たし疲れた。休み取れたら来ると思うけど……さっきからボブの勘凄すぎ。何なんもー、危うくバレそうになったんだけど。

 まぁあんなの作れるとしたら自分しか居ないから、って理由なのは分かるけど。そりゃ早計すぎるな。だって自分だってまだ常温核融合炉の小型化が出来てないもの、自分にだって出来ないものぐらいあ……いやそれよりか出来た物の方が多かったね、うん。


「Oh……It still hurtsまだ痛い.」
『Sir, you are going to investigate the material supplierそれよりもメガフロートの資材搬入先 of mega float, is not itを調べるのですよね?』
I remember覚えてるよWe will do it from now今からやるぞ.」
『OK.』
First of all先ずはplease bring out all ofメガフロートの資材 the materials from mega float搬入先を全部出して.」


 ホログラム上に映し出されるのはメガフロートの模型と、それぞれの区画内に分けられた担当先の企業。流石に多いな……もう少し絞り込めそうなキーワードはあったか? まぁビニガンの所は流石に……あぁ、ビニガンか。


Next, put all companies connected with Vinigan Company次にビニガンカンパニーと繋がりのある企業を全部出して.」


 SOPHIAがビニガンと関係性のある会社を出していく。流石に多いか……まぁ、ここから絞り込むだけだが。


「SOPHIA.」
『…………Completed. It will narrow down results絞り込んだ結果になります.』


 ビニガンと関係性のある企業とメガフロートへの資材搬入先企業と一致させる作業は……む? んぉ? あら? え、ちょ……無い?え、いや待て。おい! 何で何処も当てはまってないんだ!? 爆弾を仕掛ける筈なら、関係企業の荷物に紛れ込ませて運搬させれば良い! だが……ビニガン関係企業が無いってのはおかしい!

 どういうことだ…… いや確かに兵器云々はあのメガフロートには搬入させないようにしたが、幾ら何でも兵器産業以外の企業がメガフロートに来てないのはおかしい! それがビニガンの関係企業であってもだ!

 あのメガフロートは世界規模のプロジェクトだ。参入した企業は世界から注目される分、企業側にとっては喉から手が出るほど欲しいのに……これは、何かありそうだ。いやある筈だ、そうでなかったら何故こうなったのかは探りを入れなければ。

 ……本当にどうなっている。というか、これが本当にそうなのかと疑心暗鬼になってきている。いや誰でもそう思う筈だ……と思う。まずいどっちの意見を言っているのか自分でも分からなくなりそうだ。

 だからこそ真相を探らなければならないのだけど……どうするか。あの洞窟内だと爆発物を仕掛ける場所、国々だけしか分からなかった。今の所、あの洞窟に証拠が集まってそうだが……今は警察機構が探りを入れてる筈だし、あの洞窟から何か分かれば良いんだが。

 にしても、またあそこに行かなきゃならないのか……うぅ、ボブ気付いてるし。てか絶対そうだ、今度家に来るって時点で何か探り入れるつもりだよぉ。……はぁ、もう腹括るしかないのかぁ。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』

橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。 それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。 彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。 実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。 一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。 一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。 嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。 そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。 誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

処理中です...