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Bizarre Youth
4話
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ゆっくりと、クロードの意識が目覚める。眠気とはまた違うまどろみの中で目を覚ますが、視界は悪く辺りがリツウェッドのライトで薄暗い状態で見えていた。光源を探すとリツウェッドが落ちており、拾う。
「Ow…… what happened? Surely…… .」
そう思い出して、あのカプセルがあった場所を照らす。しかし映っていたのは、中身のない開かれたカプセルだけが置かれていた。確かにこのカプセルの中にあった筈なのは確かなのだ。
そして記憶がフラッシュバックし、今までのことを全て思い出した。
「That's it. That liquid faces the face, then…… By the way, what time is it now?」
リツウェッドのホーム画面には、17時30分と画面に映し出されている。それを見たクロードは顔面蒼白となってすぐにこの廃洋館から出ていこうとした。
だが、ヤケに身体が軽い上に制御が効かずに階段の途中で転けてしまった。しかしそんなクロードに痛みは感じなかった。
「What is this?! Something is not going well!」
そう愚痴りながらも階段を上って、何とか1階に到着したがここで一つ問題が発生している。出入口はこの1階の大きな扉だが、鍵を開けたと知られれば確実に自分が来たとバレてしまう。しかし2階へ続く階段はボロがきていて、とても上れそうでない状態だった。
本来は裏口を探そうとして屋根に登ったのだが、出入口が確実に確保されているのは2階の書斎らしき部屋に空いた穴。そもそも裏口があるのかさえ怪しいのに確率に頼って裏口探ししていては時間が無い。
「I wish I could jump all the way to the second floor.」
と、駄目元で2階へ向かってジャンプしてみた。どうせこんなことをしても届くわけないだろうと自暴自棄になりながらジャンプすると、予想外なことにジャンプ力が桁違い過ぎて2階までひとっ飛びという結果に。
「Wooooow!?」
その事実が現実なのかどうか怪しくなってきたので、自分の頬を思いきり抓る。返ってきたのは痛みであって、つまりは今起きたことは現実であることを意味していた。
「Really what? What happened to my body?」
そう呟いていると、1階から扉の開く音が聴こえた。あの家主が帰ってきたのだと察すると、すぐに書斎室まで行き、天井の穴に向かってジャンプして屋根に飛び乗った。今更何が起きているのか検討がつかないクロードであったが、今はここから逃げることが先決である。
「──If that jumping power, can I go to the gate of the gate?」
そしてまた駄目元で、その穴の空いた場所から離れて一旦門から離れる。そして勢いよくダッシュして屋根から跳んだ。クロードも内心想定外であったのか、本当に門の塀まで辿り着ける自分の跳躍力に驚きを隠せていない。
そして門の塀に足をつけた。
「Hooray! And if you leave from here──」
そう考えていたクロードであったが、2回目のジャンプをした途端有り得ない跳躍力によって今度は近くの木に勢いよく当たることになってしまった。
「Wo!」
木にぶつかりそのまま地面へと背中から落ちたが、不思議と考えていたような怪我はしていなかった。そのことを立ち上がった時に確認するも、今はそのことについてまだ何も分かっていないのだ。
「Oh…… I’m thankful that I don’t get hurt, if it becomes like this, please tell me sooner from everyone.」
そうボヤきながら立ち上がり、その森から全速力で抜け出し始めた。今のクロードの走る速度は以前よりも速く、タイムは短くなっていた。しかし今は廃洋館から即刻逃げたかったのでそんなこと木にしている余裕ではなかった。
しかし僅か1分足らずでこの森から抜け出し、その勢いのまま一つの民家の屋根に上りそのまま跳躍してビルに乗り移り2マイル先の家まで全速力で向かうのであった。
だが帰る最中、今のこの力の性能に驚いていた。冷静に考えれば、このようなことは普通では有り得ない。超人的な能力を手に入れたことに対し、クロードは高揚感を持っていたのだ。
「Foooo! Amazing! This power is amazing!」
ジャンプして宙に浮いている間に後方に三回転したり、前方に4回転したりと普通では有り得ないほどの身体能力を発揮しているクロード。手に入れた力に対して、初めて味わう感覚に少しの間浸っていた。
それから30分ほどの時間が経ち、家の近くのビル屋上に降り立つ。クロードは今とてつもなく興奮していて心臓がバクバクと自分の中で煩く響いている。しかしその音に対する不快感は全くなく、寧ろこれが現実であることを証明しているようで更に笑みが深くなった。
仮面によって表情が見えないので、傍から見れば何故棒立ちで突っ立っているのかと疑問が浮かぶのだが。つまるところ、クロードはそこまで周りに気付かずにいるということ。周りと言っても他には鳩ぐらいしか居ないのだが。
リツウェッドの画面を見ると、僅か30分しか経っていないという事実を確認するクロード。それによってまた更に興奮冷めやらぬ状態になっていた。しかし時間は時間、彼はそこから30分ほどビルの屋上で身体能力の上限を確かめるためにあちこちを回ったのであった。
そして一通り性能を確認して家へと帰宅したクロードは──母であるシャルティアに怒られていた。夕食の時間が近付いているのに未だに帰ってこないことは100歩譲ったとしても、夕食が出来上がっていたにも関わらず連絡の1つも寄越さず帰ってきたことに腹を立てていたのだ。
「──From now on, please be sure to inform you when your return is late. OK?」
クロードが2回縦に頷く。その行動から読み取れるとすれば、あまり身に染みてなさそうな行動であると誰しも思うだろう。そのことを分かってのことだろうか、シャルティアは呆れた表情でため息をついた。
「Here, you will have dinner soon.」
「Okay mom.」
先程の身体能力の確認によってか、変に表情が嬉しそうなものになっている。そんな表情を見て変だと思ったのは両親共々少しだけ違和感を感じていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夕食を食べ終え風呂も入り終わって自室に戻っているクロードは、この手に入れた身体能力を【ハーレクイン】の新たなスタートとして上手く使用しようかと画策していた。こんな大層な動画が取れれば、ある意味注目されることは間違いないだろう。
しかしそう考えている内に、こうなる前のことを思い出す。確かにクロードは仮面の隙間から液体が侵入されたが、その後気絶した。そして気絶している間、自分以外に誰も廃洋館に入った様子は無さそうであった。
十中八九、あのカプセルの中に入っていた液体が原因なのは間違いない。だがそう考えると、更なる疑問へと行き着いた。あの液体は一体何なのかという至極単純だが複雑怪奇な疑問へと。
(Is that a drug that enhances physical ability?…… No, I can not explain that that liquid moved alone.)
「────I don’t understand at all. Is it a biological weapon?」
『I’m not a biological weapon!』
「………………Hmmm?」
不意に頭に聞こえた女子のような声が、一瞬にしてクロードの意識をそちらへと持っていった。今誰が喋ったのかと辺りを見回し、更にはベッドやデスクの下や隙間、クローゼットの中まで確認していくがマイク類が何にも無かった。
「………………It’s merely a hallucination.」
『I’m not hallucinating!』
「The voice was really heard in my head!?」
すると突然、クロードの右腕がウネウネと触手のように動き始めた。
「Wow!?」
自分の腕が勝手に動いていく光景を見て、驚きのあまり尻もちを着いたクロード。そして触手のように動いていた右腕は徐々に纏まった形になっていく。
それは既に右手の形を留めていなかった。代わりにあったのは成層火山のような形に固められた肌色の自分の手のひら出会った場所であり、中指の先から目が現れクロードを睨むようにして見つめている。他の指は全て“山”の部分と同化していった。
自分の右手であったそれは自由落下して床に降り立った。自ら足のような物を生やして立ったのだ。
「You're kidding……? My right arm is hijacked by a funny creature──!?」
『A funny creature is rude!
Besides, I’m not only in your right arm but in your whole body!』
全身、と聞いた瞬間にクロードの血の気が引いてそのまま気絶して床に倒れてしまった。
『Hm? ────He's fainting.」
「Ow…… what happened? Surely…… .」
そう思い出して、あのカプセルがあった場所を照らす。しかし映っていたのは、中身のない開かれたカプセルだけが置かれていた。確かにこのカプセルの中にあった筈なのは確かなのだ。
そして記憶がフラッシュバックし、今までのことを全て思い出した。
「That's it. That liquid faces the face, then…… By the way, what time is it now?」
リツウェッドのホーム画面には、17時30分と画面に映し出されている。それを見たクロードは顔面蒼白となってすぐにこの廃洋館から出ていこうとした。
だが、ヤケに身体が軽い上に制御が効かずに階段の途中で転けてしまった。しかしそんなクロードに痛みは感じなかった。
「What is this?! Something is not going well!」
そう愚痴りながらも階段を上って、何とか1階に到着したがここで一つ問題が発生している。出入口はこの1階の大きな扉だが、鍵を開けたと知られれば確実に自分が来たとバレてしまう。しかし2階へ続く階段はボロがきていて、とても上れそうでない状態だった。
本来は裏口を探そうとして屋根に登ったのだが、出入口が確実に確保されているのは2階の書斎らしき部屋に空いた穴。そもそも裏口があるのかさえ怪しいのに確率に頼って裏口探ししていては時間が無い。
「I wish I could jump all the way to the second floor.」
と、駄目元で2階へ向かってジャンプしてみた。どうせこんなことをしても届くわけないだろうと自暴自棄になりながらジャンプすると、予想外なことにジャンプ力が桁違い過ぎて2階までひとっ飛びという結果に。
「Wooooow!?」
その事実が現実なのかどうか怪しくなってきたので、自分の頬を思いきり抓る。返ってきたのは痛みであって、つまりは今起きたことは現実であることを意味していた。
「Really what? What happened to my body?」
そう呟いていると、1階から扉の開く音が聴こえた。あの家主が帰ってきたのだと察すると、すぐに書斎室まで行き、天井の穴に向かってジャンプして屋根に飛び乗った。今更何が起きているのか検討がつかないクロードであったが、今はここから逃げることが先決である。
「──If that jumping power, can I go to the gate of the gate?」
そしてまた駄目元で、その穴の空いた場所から離れて一旦門から離れる。そして勢いよくダッシュして屋根から跳んだ。クロードも内心想定外であったのか、本当に門の塀まで辿り着ける自分の跳躍力に驚きを隠せていない。
そして門の塀に足をつけた。
「Hooray! And if you leave from here──」
そう考えていたクロードであったが、2回目のジャンプをした途端有り得ない跳躍力によって今度は近くの木に勢いよく当たることになってしまった。
「Wo!」
木にぶつかりそのまま地面へと背中から落ちたが、不思議と考えていたような怪我はしていなかった。そのことを立ち上がった時に確認するも、今はそのことについてまだ何も分かっていないのだ。
「Oh…… I’m thankful that I don’t get hurt, if it becomes like this, please tell me sooner from everyone.」
そうボヤきながら立ち上がり、その森から全速力で抜け出し始めた。今のクロードの走る速度は以前よりも速く、タイムは短くなっていた。しかし今は廃洋館から即刻逃げたかったのでそんなこと木にしている余裕ではなかった。
しかし僅か1分足らずでこの森から抜け出し、その勢いのまま一つの民家の屋根に上りそのまま跳躍してビルに乗り移り2マイル先の家まで全速力で向かうのであった。
だが帰る最中、今のこの力の性能に驚いていた。冷静に考えれば、このようなことは普通では有り得ない。超人的な能力を手に入れたことに対し、クロードは高揚感を持っていたのだ。
「Foooo! Amazing! This power is amazing!」
ジャンプして宙に浮いている間に後方に三回転したり、前方に4回転したりと普通では有り得ないほどの身体能力を発揮しているクロード。手に入れた力に対して、初めて味わう感覚に少しの間浸っていた。
それから30分ほどの時間が経ち、家の近くのビル屋上に降り立つ。クロードは今とてつもなく興奮していて心臓がバクバクと自分の中で煩く響いている。しかしその音に対する不快感は全くなく、寧ろこれが現実であることを証明しているようで更に笑みが深くなった。
仮面によって表情が見えないので、傍から見れば何故棒立ちで突っ立っているのかと疑問が浮かぶのだが。つまるところ、クロードはそこまで周りに気付かずにいるということ。周りと言っても他には鳩ぐらいしか居ないのだが。
リツウェッドの画面を見ると、僅か30分しか経っていないという事実を確認するクロード。それによってまた更に興奮冷めやらぬ状態になっていた。しかし時間は時間、彼はそこから30分ほどビルの屋上で身体能力の上限を確かめるためにあちこちを回ったのであった。
そして一通り性能を確認して家へと帰宅したクロードは──母であるシャルティアに怒られていた。夕食の時間が近付いているのに未だに帰ってこないことは100歩譲ったとしても、夕食が出来上がっていたにも関わらず連絡の1つも寄越さず帰ってきたことに腹を立てていたのだ。
「──From now on, please be sure to inform you when your return is late. OK?」
クロードが2回縦に頷く。その行動から読み取れるとすれば、あまり身に染みてなさそうな行動であると誰しも思うだろう。そのことを分かってのことだろうか、シャルティアは呆れた表情でため息をついた。
「Here, you will have dinner soon.」
「Okay mom.」
先程の身体能力の確認によってか、変に表情が嬉しそうなものになっている。そんな表情を見て変だと思ったのは両親共々少しだけ違和感を感じていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夕食を食べ終え風呂も入り終わって自室に戻っているクロードは、この手に入れた身体能力を【ハーレクイン】の新たなスタートとして上手く使用しようかと画策していた。こんな大層な動画が取れれば、ある意味注目されることは間違いないだろう。
しかしそう考えている内に、こうなる前のことを思い出す。確かにクロードは仮面の隙間から液体が侵入されたが、その後気絶した。そして気絶している間、自分以外に誰も廃洋館に入った様子は無さそうであった。
十中八九、あのカプセルの中に入っていた液体が原因なのは間違いない。だがそう考えると、更なる疑問へと行き着いた。あの液体は一体何なのかという至極単純だが複雑怪奇な疑問へと。
(Is that a drug that enhances physical ability?…… No, I can not explain that that liquid moved alone.)
「────I don’t understand at all. Is it a biological weapon?」
『I’m not a biological weapon!』
「………………Hmmm?」
不意に頭に聞こえた女子のような声が、一瞬にしてクロードの意識をそちらへと持っていった。今誰が喋ったのかと辺りを見回し、更にはベッドやデスクの下や隙間、クローゼットの中まで確認していくがマイク類が何にも無かった。
「………………It’s merely a hallucination.」
『I’m not hallucinating!』
「The voice was really heard in my head!?」
すると突然、クロードの右腕がウネウネと触手のように動き始めた。
「Wow!?」
自分の腕が勝手に動いていく光景を見て、驚きのあまり尻もちを着いたクロード。そして触手のように動いていた右腕は徐々に纏まった形になっていく。
それは既に右手の形を留めていなかった。代わりにあったのは成層火山のような形に固められた肌色の自分の手のひら出会った場所であり、中指の先から目が現れクロードを睨むようにして見つめている。他の指は全て“山”の部分と同化していった。
自分の右手であったそれは自由落下して床に降り立った。自ら足のような物を生やして立ったのだ。
「You're kidding……? My right arm is hijacked by a funny creature──!?」
『A funny creature is rude!
Besides, I’m not only in your right arm but in your whole body!』
全身、と聞いた瞬間にクロードの血の気が引いてそのまま気絶して床に倒れてしまった。
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