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第66話 行方
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コマリとカナファはユウエイの帰りを待っていた。
待ち始めて1時間程がたった。
「………ユウエイ…大丈夫かな」
カナファは心配そうに言った。
「……わかりません…」
コマリも、流石に心配になった。
ユウエイを信じていることに変わりはない。だが、時間が経つにつれて不安になってしまう。
戦いの衝撃などは洞窟の入り口からでは、感じられない。今、ユウエイが戦っているのかどうかもわからない。
「ん…あっ…れ?」
気絶していたシーフが、目を覚ました。
「シーフさん!大丈夫ですか?」
コマリはシーフに駆け寄った。
シーフは無理に体を起き上がらせようとする。
「痛った…」
体中に激痛がシーフを襲った。
特に足はひどく、痛みを超越していた。
すぐに体を起き上がらそうとしたのは、シーフの行動活発な性格のせいだ。
自身が重症をおったことを、忘れていた。
「まだ、起き上がっては駄目ですよ、無理に体を動かさなくていいですから」
コマリは再度、シーフを寝かせた。
シーフの状態も、重症に等しい。特に足が,酷く焼き焦げてしまっている。無理に動かせるのは良くない。
「あれ…洞窟の外?」
シーフは周りを見渡して言った。
シーフからすると、洞窟で黒龍と戦っていた筈だったからだ。
「黒龍は?」
「今、ユウエイさんが戦っています」
「ユウエイが?」
「はい…ユウエイさんのおかげで、僕達はなんとか、洞窟を抜け出すことができたんです…」
「……ユウエイは大丈夫なの?今も戦っているんだよね?」
「………わかりません…ただ僕達は信じて待つしか…」
「え…待つだけって…万が一ユウエイに何かあったらどうするの?もしかしたら、死…」
「ですが!」
コマリの大声で、シーフの言葉が遮られた。
「今の僕達は、ユウエイさんの元に行ける状態では…それに、僕達が行ったところで…無力…」
コマリは悔しそうに言った。
己の無力さに、怒りが込み上げてくる。
助けてもらった人をただ、待つことしかできない事実。
加勢すらできない事実。
もしかしたら、最悪の事態になっているかもしれない事実。
「……クソ…ただ待つことしかできないのかよ!」
シーフが同じく叫んだ。
同じく無力。
「待って」
そう声を上げたのはカナファだった。
「私が、ユウエイの所へ行く」
カナファはそう言った。
「え?…」
コマリは思わず口から言葉が溢れた。
そして、そのまま続ける。
「無茶です!カナファさんの状態も良くないのですよ?」
カナファも、黒龍との戦いの際に大きな怪我をおった。体の数箇所は折れたり、ヒビが入っている。
「でも、誰かが行かなくちゃならない。私はこの中では重症の軽傷…行くべきは私」
1番動けるのはカナファなのは事実だ。
だから、カナファは提案した。
「……でも……」
「大丈夫…私は必ず生きて帰ってくる」
「本当ですか…?」
「私は生きたいから…あなたに生きたいって気づかしてくれたから…」
「わかりました…約束ですよ…」
「なんの話だ?」
シーフは2人の会話を理解できなかった。
ただ、目の前のなんだかいい感じの雰囲気にクエスチョンマークを頭の上に出現させた。
カナファは再び洞窟の中へと入った。
目的はユウエイが無事かどうかを確かめるため。
走り進めて数十分、人影が見えた。
コスイ達だった。
コスイとカベスはソールに肩を貸していた。
3人ともボロボロな姿だった。
「お前らは…」
カナファは睨んで言った。
自分達を裏切った者達。
恨みは当然あった。
「お前…カナファか…なぜ、戻って来た?」
コスイが、聞く。
先程は自分達を無視して出て行ったはずだと思っていたからだ。
「ユウエイが、まだ戻って来てないから…ユウエイのところに行く」
「なぁ…手を貸してくれないか?俺達もかなり、重症でな…ソールに手を貸して欲しい」
「何を言っている?誰がお前らに手を貸す?」
カナファは怒った。
「お前らが、裏切ったから仲間を失ってしまった…本当はすぐにでもお前らを殺したいけど、今はユウエイの元に行かなければならないから」
「まあ…そうだよな…自業自得だよな…」
「お前らは、奪ってきた命を尊き、罪を償え」
「……まあ、ここを出れてたらの話しだかな。で、ユウエイ、アイツの元へ行くんだったな…アイツは恐ろしく強かった…人間離れした化け物だ。だが、黒龍はそれ以上の化け物だ。さっきから、激しい振動がしてたが、止んでしまった…」
「止んだ…まさか…」
最悪の事態をカナファの脳裏に過った。
カナファは走った。
一刻も早く、ユウエイの元へと。
「お前…変わったな」
コマリ達の横を駆け抜ける際にカナファはそう聞こえた。
変われたのは、あの人のおかげ…カナファは心の中で呟いた。
そして、カナファは黒龍が、いたあの場所へ辿り着いた。
そして、目の前の光景に驚愕した。
黒龍と思われる消し炭となった大きな死骸の塊が、あった。
その光景は、黒龍が倒されたことを示していた。
「まさか…黒龍?消し炭に…ハッ…ユウエイは?どこに?…」
カナファは辺りを見渡した。
ユウエイを探した。
だが、ユウエイの姿はなかった。
ユウエイはこの場にはもういなかった。
「いない…」
行き違いになったと思ったが、可能性としては低い。なぜ、ユウエイがいないのかがわからなかった。
カナファは一筋の光が差していることに気づいた。
真上から、光が届いているようだ。
カナファは光の下に立ち見上げた。
「穴?」
真上にはおそらく地上へと続く穴が開いていた。
「ユウエイ…ここから、地上へと?なぜ、私達の所へは行かない?」
カナファには、ユウエイが自分達の所へ行かないで、どこかに行ったのがわからなかった。
「ユウエイ…彼は一体…」
黒龍を倒すほどの実力者。
そして、何も告げず、何も残さずいなくなる。
彼の目的は一体なんなのか…
考えれば考えるほど謎は深まっていく。
それから、カナファは洞窟の入り口へと戻って行った。
途中で、コスイ達にまた会った。
コスイと、カベスはかなり疲弊しておりもう限界だった。
「よう…どうだった?」
「黒龍は、ユウエイによって倒されたよ」
「ハッ…やるな」
コスイは、笑った。
驚いていないようだ。
「その、ユウエイは?」
「いなくなった…多分1人でどこかに消えた」
「チッ…一体何者なんだよ…」
それはこちらが聞きたいとカナファは思った。
洞窟の入り口へ着き、待っていたコマリ達に全てを話した。
「ユウエイさん…どこに…?」
コマリはショックそうだった。
「でも、黒龍に殺されたわけじゃない」
「クソ!アイツどういうつもりだよ?
シーフも、激怒する。
「はぁ…お礼を言いたかったな…」
「じゃあ、代わりに私から」
「え?」
「ありがとう、コマリのおかげで生きたいと思えた」
「カナファさん…」
「なんだ?なんの話だ?」
シーフ相変わらず話の内容を理解していない。
「大丈夫ですか~?」
奥から馬車がやって来た。
心配して、来てくれたようだ。
「さて、帰りますか」
「そうだね…」
「だな…」
3人はそう言った。
待ち始めて1時間程がたった。
「………ユウエイ…大丈夫かな」
カナファは心配そうに言った。
「……わかりません…」
コマリも、流石に心配になった。
ユウエイを信じていることに変わりはない。だが、時間が経つにつれて不安になってしまう。
戦いの衝撃などは洞窟の入り口からでは、感じられない。今、ユウエイが戦っているのかどうかもわからない。
「ん…あっ…れ?」
気絶していたシーフが、目を覚ました。
「シーフさん!大丈夫ですか?」
コマリはシーフに駆け寄った。
シーフは無理に体を起き上がらせようとする。
「痛った…」
体中に激痛がシーフを襲った。
特に足はひどく、痛みを超越していた。
すぐに体を起き上がらそうとしたのは、シーフの行動活発な性格のせいだ。
自身が重症をおったことを、忘れていた。
「まだ、起き上がっては駄目ですよ、無理に体を動かさなくていいですから」
コマリは再度、シーフを寝かせた。
シーフの状態も、重症に等しい。特に足が,酷く焼き焦げてしまっている。無理に動かせるのは良くない。
「あれ…洞窟の外?」
シーフは周りを見渡して言った。
シーフからすると、洞窟で黒龍と戦っていた筈だったからだ。
「黒龍は?」
「今、ユウエイさんが戦っています」
「ユウエイが?」
「はい…ユウエイさんのおかげで、僕達はなんとか、洞窟を抜け出すことができたんです…」
「……ユウエイは大丈夫なの?今も戦っているんだよね?」
「………わかりません…ただ僕達は信じて待つしか…」
「え…待つだけって…万が一ユウエイに何かあったらどうするの?もしかしたら、死…」
「ですが!」
コマリの大声で、シーフの言葉が遮られた。
「今の僕達は、ユウエイさんの元に行ける状態では…それに、僕達が行ったところで…無力…」
コマリは悔しそうに言った。
己の無力さに、怒りが込み上げてくる。
助けてもらった人をただ、待つことしかできない事実。
加勢すらできない事実。
もしかしたら、最悪の事態になっているかもしれない事実。
「……クソ…ただ待つことしかできないのかよ!」
シーフが同じく叫んだ。
同じく無力。
「待って」
そう声を上げたのはカナファだった。
「私が、ユウエイの所へ行く」
カナファはそう言った。
「え?…」
コマリは思わず口から言葉が溢れた。
そして、そのまま続ける。
「無茶です!カナファさんの状態も良くないのですよ?」
カナファも、黒龍との戦いの際に大きな怪我をおった。体の数箇所は折れたり、ヒビが入っている。
「でも、誰かが行かなくちゃならない。私はこの中では重症の軽傷…行くべきは私」
1番動けるのはカナファなのは事実だ。
だから、カナファは提案した。
「……でも……」
「大丈夫…私は必ず生きて帰ってくる」
「本当ですか…?」
「私は生きたいから…あなたに生きたいって気づかしてくれたから…」
「わかりました…約束ですよ…」
「なんの話だ?」
シーフは2人の会話を理解できなかった。
ただ、目の前のなんだかいい感じの雰囲気にクエスチョンマークを頭の上に出現させた。
カナファは再び洞窟の中へと入った。
目的はユウエイが無事かどうかを確かめるため。
走り進めて数十分、人影が見えた。
コスイ達だった。
コスイとカベスはソールに肩を貸していた。
3人ともボロボロな姿だった。
「お前らは…」
カナファは睨んで言った。
自分達を裏切った者達。
恨みは当然あった。
「お前…カナファか…なぜ、戻って来た?」
コスイが、聞く。
先程は自分達を無視して出て行ったはずだと思っていたからだ。
「ユウエイが、まだ戻って来てないから…ユウエイのところに行く」
「なぁ…手を貸してくれないか?俺達もかなり、重症でな…ソールに手を貸して欲しい」
「何を言っている?誰がお前らに手を貸す?」
カナファは怒った。
「お前らが、裏切ったから仲間を失ってしまった…本当はすぐにでもお前らを殺したいけど、今はユウエイの元に行かなければならないから」
「まあ…そうだよな…自業自得だよな…」
「お前らは、奪ってきた命を尊き、罪を償え」
「……まあ、ここを出れてたらの話しだかな。で、ユウエイ、アイツの元へ行くんだったな…アイツは恐ろしく強かった…人間離れした化け物だ。だが、黒龍はそれ以上の化け物だ。さっきから、激しい振動がしてたが、止んでしまった…」
「止んだ…まさか…」
最悪の事態をカナファの脳裏に過った。
カナファは走った。
一刻も早く、ユウエイの元へと。
「お前…変わったな」
コマリ達の横を駆け抜ける際にカナファはそう聞こえた。
変われたのは、あの人のおかげ…カナファは心の中で呟いた。
そして、カナファは黒龍が、いたあの場所へ辿り着いた。
そして、目の前の光景に驚愕した。
黒龍と思われる消し炭となった大きな死骸の塊が、あった。
その光景は、黒龍が倒されたことを示していた。
「まさか…黒龍?消し炭に…ハッ…ユウエイは?どこに?…」
カナファは辺りを見渡した。
ユウエイを探した。
だが、ユウエイの姿はなかった。
ユウエイはこの場にはもういなかった。
「いない…」
行き違いになったと思ったが、可能性としては低い。なぜ、ユウエイがいないのかがわからなかった。
カナファは一筋の光が差していることに気づいた。
真上から、光が届いているようだ。
カナファは光の下に立ち見上げた。
「穴?」
真上にはおそらく地上へと続く穴が開いていた。
「ユウエイ…ここから、地上へと?なぜ、私達の所へは行かない?」
カナファには、ユウエイが自分達の所へ行かないで、どこかに行ったのがわからなかった。
「ユウエイ…彼は一体…」
黒龍を倒すほどの実力者。
そして、何も告げず、何も残さずいなくなる。
彼の目的は一体なんなのか…
考えれば考えるほど謎は深まっていく。
それから、カナファは洞窟の入り口へと戻って行った。
途中で、コスイ達にまた会った。
コスイと、カベスはかなり疲弊しておりもう限界だった。
「よう…どうだった?」
「黒龍は、ユウエイによって倒されたよ」
「ハッ…やるな」
コスイは、笑った。
驚いていないようだ。
「その、ユウエイは?」
「いなくなった…多分1人でどこかに消えた」
「チッ…一体何者なんだよ…」
それはこちらが聞きたいとカナファは思った。
洞窟の入り口へ着き、待っていたコマリ達に全てを話した。
「ユウエイさん…どこに…?」
コマリはショックそうだった。
「でも、黒龍に殺されたわけじゃない」
「クソ!アイツどういうつもりだよ?
シーフも、激怒する。
「はぁ…お礼を言いたかったな…」
「じゃあ、代わりに私から」
「え?」
「ありがとう、コマリのおかげで生きたいと思えた」
「カナファさん…」
「なんだ?なんの話だ?」
シーフ相変わらず話の内容を理解していない。
「大丈夫ですか~?」
奥から馬車がやって来た。
心配して、来てくれたようだ。
「さて、帰りますか」
「そうだね…」
「だな…」
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