絶対に後悔しない異世界の生き方〜後悔しないように精一杯生きぬきます！〜

第43話 人外戦終結

　「き……貴様！よくも…我が腕を……」
　
　その生物は斬られた腕の断面を押さえながら言った。

　斬られた断面からは緑色の液体が溢れ出ていた。

　その姿には明らかな焦りと動揺がみられた。

　そして怒り。

　「……これでわかったか？私はお前を斬り刻むことなど容易いことに…」
　「……ハァ！！！！！！！！！！！！」

　その生物は斬られた断面から新しい腕を再生させた。

　人間には不可能なことだ。再生みたいなものだろう。

　だけど…なんだろう…これは…

　「ホウ……腕を生やすことができるのか…」
　「……斬られてもすぐに再生する…これが真の生命体の力だ！」
　「フッ…フフフ…………」
　「な……何がおかしい!」
　「いや…なんだかトカゲみたいだなと思っただけだ」

　そう、トカゲは切られた尻尾を再生することができる。アイツとトカゲを重ね合わせしまった。そう考えてしまって笑いが吹き出してしまったのだ。

　「貴様！！！！！調子に乗るなよ貴様の首を切り飛ばしてやる！」

　その生物は僕に怒りを露わにし暴走列車の様に突進してきた。

　そして、鋭い爪で僕を斬り刻もうと狙う。

　全て僕は剣で受け止め…流す。もはやその生物の動きは全て見切っていた。攻撃のスピード、パワー、モーション全てをもはやわかっていた。

　手のひらの上の蟻のごとく同じだ。

　「クッ！！！クッ！クッ！！！」
　「ほらほら…どうした？私の首を斬り飛ばすんだろ？」

　僕は爪の攻撃を剣で受けながら嘲笑うかのごとく言う。

　いや、実際には笑っていたのだろう。

　「貴様！！！」
　「よっと…」

　僕は軽く剣を振るった。

　その生物の胴体、腕、首元を剣で斬った。より速く、細かく。

　「見えるか？この剣が？」
　「クッ！！」

　続けて僕は剣を振るってく。その生物の体を切り刻んでいく。

　「このままだと斬り刻まれてしまうぞ？」
　「ヌウゥゥゥ！」

　その生物の攻撃が僕の剣先に集中した。

　その攻撃の反動により剣が手から離されてしまった。

　剣は10メートル程飛ばされ地面へと突き刺さった。

　「ホウ…攻撃を剣に集中させて私から剣を離させたか……少しは頭が働くようだな…」
　「ハハ！これで貴様は丸腰同然！！」

　その生物は勝利を確信したように鋭く尖った爪を立てた両腕を僕の首元を狙ってきた。

　単純。

　僕はその生物の両腕を掴む。

　そして、離さない。

　「グッ……クソ…動かされない？！」

　その生物は僕から手を離そうとして暴れるが無駄だ。

　僕の方の掴む力の方が強い。

　力比べにおいても僕の方が圧倒的に上だ。

　「フッ……勝気だと思ったか？」
　「ならば……」

　その生物は口元から牙を出した。
　その牙で僕を刺そうとする。
　僕はその生物が口元の牙で攻撃をする前に頭突きをした。

　その牙ごと粉砕してやった。

　「ガッ……！」
　
　昔から石頭だったからよかった。

　頭突きによって後ろへとよろめいた隙を僕は見逃さなかった。

　そのままカマセ拳法をしてみた。

　正拳突きを二撃、そして回し蹴りと続くコンビネーションをその生物にお見舞いした。

　その生物は回し蹴りによって大きく後ろへと飛ばされ倒れた。

　うん…なかなか拳法も気持ちがいい！
　気分はジャッキーチュン！

　「グゥ…ウウ…」

　その生物はなんとか立ち上がる。

　「グッ…グハッ！！」

　その生物は口から緑色の血を吐き出した。

　ダメージは大きいようだ。

　「な…なんてことだ…人間ごときにここまでやられるとは……」
　「人間ごとき？一度でも人間を越えてから言うんだな、そんな戯言」
　「ならばもう消し炭にするまでだ!」

　その生物は両手を前に出す。

　そして両手に魔力を留める。

　大きな魔力弾が生成される。

　「なかなかな魔力だな…」

　僕は少し見直した。

　少しばかしはやるようだ。
　だけど、されど少しなだけだ。

　「いいね…火力勝負といこうか」

　僕は片手を前に出して魔力を留める。

　「消し炭になれ！魔砲死光波！！！！」
　「魔力波……」

　大きな魔力による破壊砲が僕に向けられた。

　僕は片手で作った魔力波をそれにぶつける。

　大きな爆発が起こった。

　あたりは煙により一時的に視界を遮る。

　「ハァ…ハァ……ハァ…ッ…終わった…」

　通常煙が晴れるまである程度の時間がかかる。

　だがたちまち煙は強風を受けたように晴れていく。

　強風の正体…それはメアから放たれる魔力だった。

　メアの強大な魔力によって一瞬にして煙が晴れたのだ。

　その生物はそれを見て思う。

　コイツは何者だ？なぜ力を持っている？
　こんな人間がいるなんて、私は聞いていない。ただ私は自由にやれと言われて……

　「………貴様…何者なんだ？なぜそれほどの力を持っている？」
　「私は最強になるため最強を目指す者だ」
　「最強だと…？」
　「そうだ…私の最終目標は最強になることだ」
　「フッ…くだらない…」
　「好きに言え」

　僕はさっき拾い戻した魔剣を構える。

　魔力波同士、相殺した時に拾っておいたのだ。

　これは僕のアドリブ技

　「魔剣による…究極奥義をくらえ！」

　僕は魔力を解放する。そして腰に剣先を向けて低く構える。

　「アルティメットスラッシュ」

　魔力を解放した強大な斬撃は斬撃というよりほぼ魔力波に近かった。

　その生物は消し飛ばされた。

　「……さすがに硬いな…」

　その生物は1割程度だが首のあたりの形が残っていた。

　「………あ…安心……するのも…今のうちだ…」

　その生物はか細い、今にも消えてしまいそうな声を振り絞った。

　「………そ…の…うちに……我が軍勢が…人間を……滅ぼす……ふ……震えて待て……」

　その生物はそう言い残して生き絶えた。　　

　「来るなら来い…私が全てを無にしてやろう…貴様はあの世で私の最強を目に刻むがいい」

　よし…決まった！

　僕はカッコつけた臭いセリフを言えたフニッシュに喜びを隠せなかった。