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第13話 アゼンの覚悟
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「クソ!おい!テメー!これほどけよ!」
アゼンが目覚めた。あれから1時間ほどおとなしく眠ってもらっていたが、ついに目覚めてしまったらしい。
アゼンは寝起き最悪の子供みたいに叫ぶ。
僕はアゼンの目の前に立つ。
彼の鋭い殺気が混じった瞳が僕を捉える。
「ほどけ!」
「それは無理」
「殺すぞ?」
「だから無理なんだよ」
「………」
「半殺しで勘弁してやる…」
「それも無理」
「………」
「手……手はださん」
「本当に?」
「本当だ」
「嘘じゃない?」
「嘘じゃない」
「嘘だったらどうする?」
「……嘘じゃない」
「………本当に本当に?」
「魔王に誓う」
「……わかった。信じるよ」
僕はアゼンの鎖を解いてあげた。
鎖を解いた瞬間にこの城を潰すぐらいに暴れるのを覚悟していたが案の定アゼンは大人しかった。
約束通り大人しくしたのだ。
「俺に協力する気はないんだな?」
ようやく話合いに応じてくれたようだ。
「アゼンには協力はしないよ、僕は人間を殺しはしない」
「甘いな」
アゼンは腕を組みながら僕に言った。
その目は先程の殺気とはことなる鋭く僕を見つめていた。
「甘いとは?」
「その甘さがいずれ命取りになるぜ」
「………アゼンは本当に人間が憎いんだね」
「当たり前だろ、人間は俺の大切な物を壊す」
「……………」
「俺の家族も人間に殺された。魔人だからって、危険だからって、問答無用に殺されたんだ。」
「それは辛かったね」
「テメーに何がわかる?ただ平和に暮らしてただけの家族が人間の勝手な都合で殺されたんだぞ?俺のダチのラコンだって……アイツ、弱いくせに危険なエリアを受け持ってさ。カッコつけなんっての。死んだら元の子もないだろ…」
アゼンの瞳は微かながら濡れていた。
意外にも涙脆いとは少し驚いた。
本当は結構いい奴なのかもしれないな。
「俺は人間を、許さない。特にラコンを殺した勇者は俺が絶対殺す」
「勇者……でも強いんでしょ?」
「関係あるかよ……もちろんこのまま特攻すれば奴らの思う壺かもしれねーけどな、俺は最後まで抗ってみせる。」
僕は彼を勘違いしてしまっていたのかもしれない。彼を感情的な暴君だと思っていたが。仲間思いの覚悟を持った1人の魔人だったのだ。
「俺は行くぜ。無理言って悪かったな。お前もお前なりの筋ってもんがあるんだな。」
「どこに行くんだ?」
「ラコンの領地だった所だ」
「そこに勇者が,いると?」
「さあな。だがどうせ準備万端で待っているだろうな。汚ねぇ人間どもが」
彼は立ち上がった。そして窓の側に立った。
「じゃあな」
「ま、待って!」
止めようとした時にはもう遅かった。彼は背中から黒い翼のようなものを出してどこかに飛んで行ってしまった。
「アゼン……」
アゼンはこのままおそらく人間が待ち構えているだろう所へと向かうのだ。アゼンに仕えるもの達と。
だが、アゼンの軍だけでは分が悪いのだろう。
たがらアゼンは僕に協力をしたのだ。
僕が協力すればよかったのか?
アゼンと一緒に人間を殺せば……
そんなことができるはずがない。
僕は元人間だ……
だか、アゼンの気持ちもわかる。
どちらが悪とか正義とか考える時間はなさそうだ。
僕ができること…僕がすべきこと…
「ネイン、アゼンが向かった先は?」
「恐らくエリア150辺りでしょう」
「皆んな、今からエリア150に我が軍も向かう」
「アゼンに協力するのですか?」
ネインが驚いた様子で僕に聞く。
「協力はしない。だか助けることは可能だ」
そう、僕にできることそれは彼を救うことだ。
キャラクター紹介
ラヴァ
魔王デーモンの部下でありNo.008。デーモンのことが好きすぎてやばい性格。デーモンが全てだと考えている。たまにメンヘラ化する。
話終歌
私がどれだけ愛を与えても
あなたは答えてくれない。
愛はやがて狂気へ変わりつつある。
でも受け取ってくれますよね?
私なりの愛の形。
ラヴァ
アゼンが目覚めた。あれから1時間ほどおとなしく眠ってもらっていたが、ついに目覚めてしまったらしい。
アゼンは寝起き最悪の子供みたいに叫ぶ。
僕はアゼンの目の前に立つ。
彼の鋭い殺気が混じった瞳が僕を捉える。
「ほどけ!」
「それは無理」
「殺すぞ?」
「だから無理なんだよ」
「………」
「半殺しで勘弁してやる…」
「それも無理」
「………」
「手……手はださん」
「本当に?」
「本当だ」
「嘘じゃない?」
「嘘じゃない」
「嘘だったらどうする?」
「……嘘じゃない」
「………本当に本当に?」
「魔王に誓う」
「……わかった。信じるよ」
僕はアゼンの鎖を解いてあげた。
鎖を解いた瞬間にこの城を潰すぐらいに暴れるのを覚悟していたが案の定アゼンは大人しかった。
約束通り大人しくしたのだ。
「俺に協力する気はないんだな?」
ようやく話合いに応じてくれたようだ。
「アゼンには協力はしないよ、僕は人間を殺しはしない」
「甘いな」
アゼンは腕を組みながら僕に言った。
その目は先程の殺気とはことなる鋭く僕を見つめていた。
「甘いとは?」
「その甘さがいずれ命取りになるぜ」
「………アゼンは本当に人間が憎いんだね」
「当たり前だろ、人間は俺の大切な物を壊す」
「……………」
「俺の家族も人間に殺された。魔人だからって、危険だからって、問答無用に殺されたんだ。」
「それは辛かったね」
「テメーに何がわかる?ただ平和に暮らしてただけの家族が人間の勝手な都合で殺されたんだぞ?俺のダチのラコンだって……アイツ、弱いくせに危険なエリアを受け持ってさ。カッコつけなんっての。死んだら元の子もないだろ…」
アゼンの瞳は微かながら濡れていた。
意外にも涙脆いとは少し驚いた。
本当は結構いい奴なのかもしれないな。
「俺は人間を、許さない。特にラコンを殺した勇者は俺が絶対殺す」
「勇者……でも強いんでしょ?」
「関係あるかよ……もちろんこのまま特攻すれば奴らの思う壺かもしれねーけどな、俺は最後まで抗ってみせる。」
僕は彼を勘違いしてしまっていたのかもしれない。彼を感情的な暴君だと思っていたが。仲間思いの覚悟を持った1人の魔人だったのだ。
「俺は行くぜ。無理言って悪かったな。お前もお前なりの筋ってもんがあるんだな。」
「どこに行くんだ?」
「ラコンの領地だった所だ」
「そこに勇者が,いると?」
「さあな。だがどうせ準備万端で待っているだろうな。汚ねぇ人間どもが」
彼は立ち上がった。そして窓の側に立った。
「じゃあな」
「ま、待って!」
止めようとした時にはもう遅かった。彼は背中から黒い翼のようなものを出してどこかに飛んで行ってしまった。
「アゼン……」
アゼンはこのままおそらく人間が待ち構えているだろう所へと向かうのだ。アゼンに仕えるもの達と。
だが、アゼンの軍だけでは分が悪いのだろう。
たがらアゼンは僕に協力をしたのだ。
僕が協力すればよかったのか?
アゼンと一緒に人間を殺せば……
そんなことができるはずがない。
僕は元人間だ……
だか、アゼンの気持ちもわかる。
どちらが悪とか正義とか考える時間はなさそうだ。
僕ができること…僕がすべきこと…
「ネイン、アゼンが向かった先は?」
「恐らくエリア150辺りでしょう」
「皆んな、今からエリア150に我が軍も向かう」
「アゼンに協力するのですか?」
ネインが驚いた様子で僕に聞く。
「協力はしない。だか助けることは可能だ」
そう、僕にできることそれは彼を救うことだ。
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ラヴァ
魔王デーモンの部下でありNo.008。デーモンのことが好きすぎてやばい性格。デーモンが全てだと考えている。たまにメンヘラ化する。
話終歌
私がどれだけ愛を与えても
あなたは答えてくれない。
愛はやがて狂気へ変わりつつある。
でも受け取ってくれますよね?
私なりの愛の形。
ラヴァ
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