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12「大丈夫……気持ちいいことするだけだよ」

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 まだ、全然理解できてないんだけど、そんな中、悠斗くんは彷徨わせていた指先を押し進めてしまう。
「んぅんっ! あっ……ん!」
 ゆっくりと確実に、悠斗くんの指を咥え込んでいく。
「はぁっ……はぁ、待って……悠斗くん、霊のこと……好き、なんだよね? こんな、嫌われるようなことして……いいの?」
「興味はあるけど好きとは違うし、なにより玲矢のこと、守らないと」
「でも、さっき……あ……ん、悠真くんより自分の方が好きって……それって、霊のことじゃ……」
 悠斗くんは、なにか腑に落ちた様子の表情を浮かべると、指を入れていない左手で、硬さを失っていた俺のモノを優しく包み込む。
「んぅっ! はぁ……」
「勘違いさせちゃったね。俺が好きなのは、霊じゃなくて、玲矢だよ」
「…………俺?」
「霊でうとうとしちゃう姿がかわいくて……つい興奮しちゃったのは、まあ俺の性癖の問題なんだけど」
 どんな性癖なのかと、思わず突っ込みそうになる。
 悠斗くんの話をまとめると、霊はエロいことをしているわけではないらしいし、単純に俺を襲ってて……俺は襲われているにもかかわらず、なぜかうとうとしちゃって、そんな俺で興奮……?
 だめだ、全然まとまらない。
 眠そうな姿を見ると、ちょっかいかけたくなってしまうとか、そういう話なら理解できそうだけど。
「玲矢のこと見ていて、あれはまずいよねって悠真とも話してたんだ。いつか本当に、連れて行かれるんじゃないかってね。エロいことでもする相手がいれば大丈夫だろうとも思ったけど、いなそうだったし……その相手は、俺でいいんじゃないかなってことなんだけど」
「エロいことする……相手……」
「いた?」
「……いない」
「じゃあやっぱり、俺が救うしかないね」
 つまりこれは、俺を救うための行為……なの?
「はぁ……でも、俺……んん、また、うとうとしちゃいそう……」
 というか、すでにまたうとうとしかけてる。
 すごいことされてるし、わけのわからないことたくさん話されてるんだけど、もう考えることを放棄したくなっていた。
「いいよ。俺で感じてうとうとするなら大歓迎だから。そのまま委ねて?」
 入り込んだ指が、ナカをほぐすように押し上げる。
 少し息苦しい。
 でも、なんだかすごく気持ちいいところに当たって、腰の奥から感じさせられてるみたい。
 握られたモノも、悠斗くんの左手の中で、また硬さを取り戻していく。
「はぁ……ん……んん……ん……」
「苦しい?」
「ん……わか、な……はぁ、んぅっ!」
「ああ……声、我慢してる? それじゃ息苦しいかもしれないね。出しなよ」
 自然と我慢してしまっていた声を指摘されてしまう。
「でも……んんっ!」
「恥ずかしい? 玲矢のイく声なら、さっきも聞いちゃったよ?」
 たしかに悠斗くんの言う通りなんだけど……。
「なんか……あっ……さっきより、うぅ、ん……変な声……ぁうっ、出ちゃい、そうで……」
「気にしなくていいよ。変な声なんかじゃないから。それに、その方が霊も嫌がってくれるかも」
 霊が嫌がってくれるってことは、つまりエロい声だってこと?
 冗談なのか本気なのかわからないけど、俺自身、霊を嫌がらせたいとか考えている余裕はなかった。
 悠斗くんの指が不規則にナカで動かされて、声を殺せなくなってしまう。
「あっ、ああっ……あんっ……んっ、そこぉ……だめっ」
「だめ? 良さそうだけど」
「わかんなっ……あんっ、あっ……んぅんっ! 悠斗くっ……あぁあっ!」
 理解できない感覚で、助けて欲しくて、悠斗くんを見る。
 悠斗くんは、俺を見下ろしながら、笑みを漏らしていた。
 なんだか、色っぽい。
 というより……すごくやらしい。
 いつもの、うっとりしている顔よりも、もっと興奮してるんだってことが伝わってくる。
 見ているだけで、ゾクゾクさせられてしまうような、そんな表情。
「あぁあっ、あっ……んんっ!」
「んー……どうしたの? 俺見て、急にここ締まっちゃったね」
 興奮している悠斗くんに、興奮したのかもしれない。
 もしくは、悠斗くんの興奮が、俺に伝染したみたい。
「ナカ、気持ちいい?」
「んんっ……ぅん……んっ、きもちい……ああっ」
「ふっ……うとうとしそう?」
 うとうとなら、ずっとしてる。
 してるのに、寝ちゃだめだって起こされて、でも気持ちよすぎて寝ちゃいそうで。
 自分でもよくわからない感覚だけど、とりあえず悠斗くんの言葉にコクコク頷いた。
「蕩けてるね、玲矢。かわいいけど、抜いちゃうね?」
 悠斗くんの指が、引き抜かれていく。
「んんぅ……」
 全部、抜けきってしまうと、なんだか物足りなくて、俺は自然と、腰を浮かせてしまっていた。
「大丈夫……ちゃんとするから、ね?」
 頭はぼんやりしていたけれど、それでも何とか理解して頷く。
 悠斗くんがしてくれる。
 足を開いたままでいると、悠斗くんがなにかを取り出すのが視界に入った。
 小さい、瓶みたいなの。
「なに……」
「んー……除霊グッズかな」
 なにか透明の液が入ってるみたい。
「聖水……?」
「ふふっ……そう思ってくれていいよ」
 違うのか。
 見守っていると、悠斗くんは中の液体を、俺の股間にかけていく。
「んぅん……っ!」
「冷たかった?」
「ん……うん……あっ……」
 こんなんで除霊できるとは思えない。
 それでも止める気にはなれなかった。
 思っていたより粘度の高い液を、悠斗くんは自分のモノにも纏わせていく。
「なに……してんの……?」
「わからない?」
「……それ……入れる、の?」
「正解」
 そう言うと、さっきまで指が入り込んでいたところに先端を宛がった。
「は、あ……はいんない……」
「さっきちゃんとほぐしたし、ローションもたっぷりつけたから……」
「ローション……?」
「ああ……言っちゃった。入れるね?」
 あいかわらず興奮した笑みを見せながら、悠斗くんが腰を押し進める。
「んんぅうっ……あっ……あんぅ……!」
 きつい。
 広げられていく。
「はぁっ……あっ……!」
「痛い?」
 痛くはない。
 小さく首を横に振る。
「よかった。ごめんね?」
 なんで、謝るんだろう。
「なんで……」
「玲矢とやりたくて、嘘ついちゃった」
 嘘……?
「嘘って……」
「ああ……霊がいるのは本当。俺が興奮しちゃってるのも、玲矢のこと好きなのも本当だからね……」
 なにが嘘なのかわからないけど、いまはもうそれどころじゃない。
 悠斗くんのが入ってる。
 ゆっくり、さらに奥の方まで。
「あぁあっ! 悠斗くっ……あうっ……ん、んっ……待って……あっ、あっ、おかしく、なる……!」
「大丈夫……気持ちいいことするだけだよ」
 気持ちいいこと。
 コクコク頷いて、ベッドに置かれた悠斗くんの左手に自分の手を重ねる。
「悠斗くん……俺っ……あっ、ああっ」
「うん……動くから……もっとたくさん声出して……エッチになって?」
 エッチになるなんてつもりはないけど、悠斗くんが腰を揺らすと、電流が走ったみたいに体がびくついた。
「あぁっ! あっ、あっ……んぅっ、はぁっ」
「はぁ……ホント、かわいいよ」
 熱っぽい悠斗くんの興奮している声を聞かされて、これは嘘じゃないと思った。
 思いたかったのかもしれない。
 自分にとって都合のいい解釈だけど、悠斗くんが興奮してくれていることが嬉しくて、もっと悠斗くんを感じたくなってしまう。
「はぁっ、あっ……あっ、悠斗く……あ、ん……俺……」
 勢いに任せて好きだとか口走りそうになったけど、それだけはなんとか言いとどまった。
 悠斗くんが俺に言ってくれた『好き』は、そういう意味の好きじゃないかもしれないし。
 勘違いするわけにはいかない。
 俺のこの気持ちも、脳が勘違いしているだけかもしれない。
 ここで認めてしまったら、もうきっと後には引けなくなってしまう。
「なに?」
 言いとどまったのに、なにか伝えようとしたのが悠斗くんにバレてしまったみたいで、聞き返される。
 見つめられると恥ずかしくて、俺は首を振った。
「大丈夫だからね……」
 なにに対する大丈夫なのか理解できなかったけど、流されるように頷くと、悠斗くんは俺の頬に手を添えながら口を塞ぐ。
「んん……んっ!」
 悠斗くんのを咥え込んだまま、キスまでされて、身も心も悠斗くんに埋め尽くされているみたいだった。
「んぅ、んー……! はぁ……ふぁっ!」
 やっと口が離れた頃には、頭が蕩けきっていた。
 もうなにも考えられない状態で、ただ悠斗くんの行動を受け入れる。
 お腹の奥を何度も突きあげられて、そのたびに俺ははしたない声を漏らした。
「ああっ、あっ……ん、はぁっ……はぁあっ、あっ、ん……あっ」
「かわいい声、いっぱい出てるね。繋がってる音も……」
 かわいい声だとは思えないけど、悠斗くんの価値観を否定する気はない。
 繋がってる音は、指摘されて気づいた。
 悠斗くんの硬いのが出入りするたび、くちゃくちゃといやらしい音がする。
 やらしい音なんだって意識した瞬間、ナカがすごく気持ちいいことを実感した。
 完全に、言い訳出来ないくらいに感じてる。
「はぁっ、はぁあっ……ああっ、あんっ! あぁあ……っ!」
「ん……すごい……玲矢のなか、ビクビクして……いきそう?」
「いく……ああっ、いくぅっ……悠斗くっ」
「いいよ……俺も……いくよ……?」
 悠斗くんも、気持ちいいらしい。
 これはきっと嘘じゃない。
「悠斗く……はぁっ、あっ、あっ、んっ、ああああっ!」
 押し寄せる絶頂に促されるがまま、大きな声をあげてしまう。
 その瞬間、奥に熱いモノが流れ込んでくるのがわかった。
「んぅ……ん……あ……はいって……ん……」
「はぁ……玲矢のナカ……出しちゃった」
 あまり悪びれる様子もなく、悠斗くんが呟く。
 でも、すごく色っぽい。
 あいかわらずなにも考えられないけど、なんだかすごく満たされているような気がした。
「悠斗く……俺……」
 繋がったまま、ゆっくり体を起こす。
 俺は目の前の悠斗くんに、ぎゅっとしがみついた。
 こんなことをしていいのか、悪いのか。
 わからないならやめておけばいいのに、それすら考えられないくらい、俺の頭は蕩けていた。
「ん……? 気持ちよかった?」
「うん……ん……まだ、きもちい……」
「そういうことされると、またしたくなっちゃうんだけど」
 俺の背に手を回しながら、耳元で悠斗くんが囁く。
 イッた直後だからか、声がすごく色っぽくて、俺もまたその気になってしまう。
「また……してくれるの?」
「……うん。何度もしよう」
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