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◎二年目、七月の章

■三人は学校へ

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 久遠の予想通り学校は無人だった。

 三人は体育館で魔物退治をしていた。室内で先ほどのショッピングモールほどではないが、空調もそれなりに効いている。

 環境としては悪くなかった。いるのは比較的戦いやすい子鬼である。

 久遠は二人とはパーティーを組まずに棍装備で戦っている。

 久遠とパーティーを組むと久遠がレベル差で経験値をほとんど吸ってしまうためだ。

 棍が黄色く光る。武器種スキルが発動するときの発光である。

 棍の武器種スキルとは手加減と呼ばれるもの。相手にトドメを刺さずにHPを一だけ残すというものだ。

 それを圭都が鎚で攻撃すると魔物は霧散する。

 トドメを刺したプレイヤーには経験値ボーナスが入るようになっていた。

 パーティープレイでは誰にトドメを刺させるかも重要なのだ。

「今日はこの辺にしておこうか」

 久遠の提案に誰も反対しなかった。三人はいっせいにログアウトする。

 由芽は体を動かしたおかげで全身汗だくであった。それは他の二人も同じである。

「手加減スキルは使用上限があるんだ。回復手段は時間経過」

 つまり、それまでは休憩ということだ。

「これからどうしよっか?」

 もう昼時と言っていい時間帯である。

「シャワー浴びたい」

 それについて由芽は同意であった。

「シャワー室ならあったはずだよ」

 三人は早速向かう。

 その途中に由芽は屋内プールの存在に気がつく。

「ここって入れるの?」

「大丈夫のはずだよ。入るなら指定の水着を着用する必要があるはずけど」

「泳ぐの?」

 圭都が由芽に訊ねる。

「とりあえずシャワー浴びて、お昼してから考えない?」

 急ぐことはない。

「学校って穴場なんだね」

 義務教育を受けていたら馬鹿にされるということは学校に近づくことそのものがいけないことになっているのだろう。

 結果的に狩場としては穴場になっている。それはありがたい話であると由芽は思う。

 しかし、まずはシャワーである。由芽たちはシャワー室へ急いだ。
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