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◎二年目、六月の章
■四階層を抜けて
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がしゃどくろの攻撃方法は依然不明のまま。四階層に来ていた。
久遠は真鈴を一旦下ろすと懐から手裏剣を取りだして提灯お化けに投げつける。
手裏剣が軌道を描いて提灯お化けに当たるとそのまま霧散する。
お姫様抱っこをしてもらっているうちに久遠とパーティーを組んだ真鈴に経験値とお金が入ってくる。
「こんなにもらえるものなの?」
色んな人から聞いていた稼ぎより遥かに多い数値に真鈴は目を丸くする。
「僕が高レベルなせいで真鈴さんの実入りは減ってますけどね」
それでこの量の経験値とお金が入ってくるというのか。
では、当の久遠はどれほど入っているのだろうか。
「行きますよ」
様子を見ながら久遠は真鈴の手を引いてまた走りだす。
何というか久遠は魔物を極力倒しすぎないようにしているようだと真鈴は感じていた。
もちろん逃げるのを優先しているというのはあるだろう。だが、理由は他にもあるように思えた。
とりあえずここにいる魔物のレベルは真鈴一人で放り出されれば即死なのは間違いない。
それに加えて瘴気で強化されているらしい。
「どうやったらログアウトはできるの?」
「ゾーンの外に出られれば大丈夫なはずです」
それはおそらくプリズム・タワーを出ることとイコールなのだろう。
しかし、まだ四階層である。突っ切って行くだけにしても体力に限界はある。
提灯お化けは射程に入ると容赦なく火を吹きかけてくる。
そうならないように久遠は手裏剣で応戦してくれている。
「もうすぐ三階層です。頑張ってください」
体力は有限だ。しかし休憩は期待できないだろう。ならば気力を振り絞る。それしかない。
「わかってるけど……」
まだ、ここを降りても三階層も残っているという事実が重くのしかかる。
久遠は涼しい顔をしているが、果たして大丈夫なのだろうか。
真鈴たちは何とか三階層へ到着するのだった。
久遠は真鈴を一旦下ろすと懐から手裏剣を取りだして提灯お化けに投げつける。
手裏剣が軌道を描いて提灯お化けに当たるとそのまま霧散する。
お姫様抱っこをしてもらっているうちに久遠とパーティーを組んだ真鈴に経験値とお金が入ってくる。
「こんなにもらえるものなの?」
色んな人から聞いていた稼ぎより遥かに多い数値に真鈴は目を丸くする。
「僕が高レベルなせいで真鈴さんの実入りは減ってますけどね」
それでこの量の経験値とお金が入ってくるというのか。
では、当の久遠はどれほど入っているのだろうか。
「行きますよ」
様子を見ながら久遠は真鈴の手を引いてまた走りだす。
何というか久遠は魔物を極力倒しすぎないようにしているようだと真鈴は感じていた。
もちろん逃げるのを優先しているというのはあるだろう。だが、理由は他にもあるように思えた。
とりあえずここにいる魔物のレベルは真鈴一人で放り出されれば即死なのは間違いない。
それに加えて瘴気で強化されているらしい。
「どうやったらログアウトはできるの?」
「ゾーンの外に出られれば大丈夫なはずです」
それはおそらくプリズム・タワーを出ることとイコールなのだろう。
しかし、まだ四階層である。突っ切って行くだけにしても体力に限界はある。
提灯お化けは射程に入ると容赦なく火を吹きかけてくる。
そうならないように久遠は手裏剣で応戦してくれている。
「もうすぐ三階層です。頑張ってください」
体力は有限だ。しかし休憩は期待できないだろう。ならば気力を振り絞る。それしかない。
「わかってるけど……」
まだ、ここを降りても三階層も残っているという事実が重くのしかかる。
久遠は涼しい顔をしているが、果たして大丈夫なのだろうか。
真鈴たちは何とか三階層へ到着するのだった。
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