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◎二年目、四月の章

■古輪久遠は強すぎると里奈は思う

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 相手は遠距離から攻撃できる者と、ダメージを軽減する盾役を失っていた。

 それから槍使いの男が破れかぶれか叫びながら槍を突きだしながら突進してくる。

 久遠は棍の先端を握ったまま下から上へと振りあげる。すると棍の腹が槍の柄の部分へと当たって弾かれる。

 突進の勢いを削がれたばかりか、のけ反ってしまいお腹のあたりががら空きになる。

 そこに棍で突きの一撃を見舞うと男はダウンする。

 久遠は立ち止まることなく、そのまま鎚使いへと肉薄する。

 かち合う双方の武器。最初は鎚が押しているようにあったが、久遠が力のほうでも押していく。やがて男は押しのけられると棍で乱打されてHPはゼロとなった。

「園部さん、僕と一緒に戦おう」

 由芽は「私?」とばかりに自身を指さす。それに対して久遠はこくりと頷く。

「園部さんは何も考えずに槍を突きだしながら突進してくれたらいい」

「わ、わかりました」

 由芽は声を少し震わせていた。

「なめやがってぇ!」
 
 男は憤慨してターゲットを由芽に切り替えて斬りかかろうとする。

 それは久遠をターゲットから外すということ。つまり久遠から視線を外すということだ。

 久遠の棍が黄色く光る。男はきっと何が起こったのか理解できなかっただろう。あらぬ方向から顔面を殴打する一撃。

 そこに由芽が突きだした槍の一撃が重なる。

 由芽の一撃で男のHPはゼロとなった。

 これは里奈たちの勝利を表している。

「古輪くん、一人でいけたんじゃない?」

「まさか。みんながいてこそだよ」

 本当だろうかと里奈は首をかしげる。

 どこからともかく響くファンファーレとシステム音声。ゲームもこちらの勝ちを判定するのであった。
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