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◎二年目、四月の章

■翔からの手紙

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「この手紙に書かれていることは本当かい?」

 久遠に訊ねられて紙片の内容に目を通してみる。

 紙はもうボロボロになりつつあり、自分でもよく持っていたと里奈は関心してしまう。

「……スキル封印のこと?」

「うん。よければ手に入れた経緯から教えてくれないかな?」

「どうして古輪くんにそこまで教えないといけないのよ」

 里奈はフンと鼻を鳴らす。自分はそこまで安くないというアピールだった。

「じゃあ、こうしよう。教えくれたら夕飯ももおごろう」


 里奈はその瞬間、心がぐらりと揺れた。

「そうだな。ビッフェでどう?」

「あなた、私が食べ物で釣れると思ってる?」

「行かないの?」

 その問いに里奈の信念はいともあっさりと崩れ去る。

「……教えるわ」

「交渉成立だね」

 里奈は去年の春ごろに出会った女性からスキルを受け継いだ経緯を話した。

「スキルの効果については試したことないの?」

「試すも何もパラメーターが精密しかあげられないのよ。こっちは短刀一本だし」

 速さのパラメーターがあげられなけば接近までもたついてしまうという問題が起こる。

「手紙を書いた人は投擲の方に注目してた」

 東京迷宮では八種類の武器種が存在する。

 それが刀、つち、槍、棍、鉄扇、手甲、弓、投擲とうてきである。

 刀と鎚は接近戦。
 槍、棍は中距離。
 鉄扇、手甲は防御。
 弓、投擲は遠距離。

 主に役割は四つに分けられる。

 言われている投擲とはバザーなどで販売している投擲アイテムを投げつけるというものだ。

「投げ石なんか力とかのパラメーターが要求される武器もあるけど、中には式神みたいに精密だけ上げていれば使えるアイテムもあると書いてある」

「式神って結構高くなかった?」

 式神というのはどちらかというと魔法と呼べるものだ。
 攻撃というよりは相手の動きを止めたり、妨害するのが主で攻撃力が備わっていないことがほとんどだ。

「まあ、それなりに貴重だよね」

 それは種類による。話はまだ長くなりそうだ。
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