二人の転生伯爵令嬢の比較

214.

テスト期間が終了し、2週間空けてテストの結果が返却されるまでは、教師たちは皆受け持ちのクラスのテストの採点を行う。

帰宅時間が遅くなることからあまり好かれていない期間ではあるが、もう一つ嫌がられるものが、一部の教科を基に行われる会議だ。

グウェンドリンのクラスの担任であるミミルスをはじめとした1年生の担当教諭も例に漏れず、全員がこの会議に参加する為会議を行う為にも大部屋を整える必要があるなど、準備自体も大変だ。

それ以外にも嫌がられるのが

「えー、では学期末定期試験、語学の科目に関連する会議を行います。
まずこの会議において、語学の成績優秀者の選出、そして留学に関しての各担当教諭の意見を聞かせていただきたく…」

そう、この会議においてもっとも嫌がられるのがこの留学に関して。

各々のクラスから成績優秀者が出るのは大変良い事ではあるのだが、語学だけが優秀でそれ以外があまり振るわないというのも実のところよくある。

満遍なく勉強するように躾けられていたとしても、やはり向き不向きというものは出てくるし、苦手分野も出てくるのが勉強だ。

なので、赤点補習は無くてもそれほど振るわないので語学以外はちょっと…という生徒は別に珍しくなかった。

そのため、語学の成績が優秀であるからと選出して留学の話を持って行ったとしても、その他があまり振るわないのであれば留学した後本人が恥をかいたと感じてしまう可能性がある。

また、あまり成績が振るわない分野が多数ある場合、留学先の学園にこちらの王立学園が侮られる可能性もある。

だからこそ、語学の成績が優秀であったとしてもその後のふさわしいかどうかの話し合いが非常に面倒であるため、多くの教師たちから嫌がられていた。

「ミミルス先生のクラスはいかがでしょうか？」

話を振られて早く終わらせたい気持ちでいっぱいのミミルス先生は、ロマンスグレーの似合う顔を少ししかめつつも自身のクラスにいる語学の成績が優秀な生徒の名前を複数あげた。

「公爵家は―」

公爵家から順に、辺境伯家、侯爵家、そして伯爵家。

「伯爵家は、グウェンドリン・ヴォーダン令嬢」

ここでグウェンドリンの名があげられて、ミミルス先生は「以上です」と生徒の名前を挙げ終えた。

次にカトリーヌのクラスの担任が数名名前を挙げるが、ここでカトリーヌの名前は呼ばれなかった。

そして次は下位貴族の跡取りのクラス、跡取りではないクラスの担任たちがそれぞれ生徒の名前を挙げて終える。

そしてこの名前を口にされた生徒たちを留学させても大丈夫なのかの話し合いが始まるのだ。