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0.1話 悪ガキ4人組
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中華料理店のテレビには、北海道出身の人気バンドのライブ映像が流れていた。
「スゴイなこのバンドは!」と40代とその部下であろう30代のサラリーマンのふたりがテレビを観ながら話をしていた。
「バンド活動って、いくつになっても青春そのものだからね~」と店主が相づちのように話す。
「おっ、マスター、音楽好きかい?」
「今でこそこんななりですけど、昔はバンドマンだったんですよ!」
「ほんとかい!?どんなバンドだったんだ?」
「話せば長くなりますがね、」
「いいよ、いいよ、俺等、時間だけはたっぷりあるんだから!」
「あれは、高1のころの話なんですけどね…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「クォらー!またお前らか!」
北高教諭、新井が竹刀を持って走ってくる
「やべっ!新井だ!」
慌てて学校の塀を乗り越えようとする4人。
「待たんかー!今日こそは、みっちりと指導してやる!」
学校の塀は乗り越えられそうなのだが中途半端な高さのせいで、なかなか乗り越えられない。
4人組中3人が塀の上までよじ登ることができたが、ひとりだけが上手く登れない。
「浩二!早く!」
「俺の運動神経では、無理だって!」
3人で浩二の腕を引っ張るが、185センチの巨漢は、そう簡単には持ち上がらない…
皆で必死に持ち上げようとしていると
「つ、捕まえた~♡」
新井がニヤっと浩二の学ランを引っ張る。
「ヤメロ!」と涼介が壁から飛び降り、新井の腹へ「ヤァー!」タックルを決めるが、新井はビクともしない。
さすがに柔道部の顧問。
簡単に涼介も地面に叩きつけられた。
・
・
・
・
「さて、今日はどんな言い訳、聞かせてくれるんだ?」
4人組の学ランはヨロヨロ、顔はパンパン、柔道部の畳の上に正座をしている。
「実は、うちのお母さんが急病で…」と涼介が言った瞬間に空を舞った。
「俺は昨日の夜、お前の母ちゃんの店で飲んでたんだ!ピンピンしとったわ!もっと上手い嘘つけ!」
「あっ、涼介の飼っている子犬のチャッピーがオナカを空かせてるんです!」雅也が言ったと同時に、また涼介が空を舞う。
「も、もうやめて…」涼介の声を聞いた雅也が、これは面白いと、次の理由を考える。
「あっ、うちの店のあんかけやきそばのそばがないんです!」涼介が空を舞った…。
・
・
・
・
「痛てててて…新井の野郎、手加減っての知らんのか?」
起き上がれない涼介に雅也が
「ホントだよね!もう少し、優しくしてくれてもいいもんだよね!」
「途中から気づいてたぞ雅也!お前、楽しんでたじゃねーか!」
「アリャ、バレたか。」
雅也が舌を出す。
「まったく…お前らは大丈夫か?」
「お前に比べりゃ無傷だわ…」
と透と浩二がうなずく。
涼介、雅也、透、浩二、この4人。
札幌屈指の「悪ガキ4人組」で、知らない人を探すのが難しいぐらいに有名な高校1年生だ。
ある時は同じ高校の人間が、別の高校生に殴られたと聞き、その高校自体を壊滅状態寸前まで殴り飛ばす。
そうかと思えば、キャバクラ店のお姉さんに鼻の下を伸ばしていたり、パチンコ屋で当ててる所を警察官に補導…この時ばかりは、フィーバーが止まるまで、待ってくださいとお願いしていたらしい。などなど、補導の数は数え切れず…警察官も「また、お前らか。」と顔を覚えるほど…その度に新井先生が頭をさげる。
そんな4人組も怖い相手が3人いる…
ひとりは高校教諭の新井。頭が上がらない。
もうひとりは、透の父親。大工の棟梁である。以前に警察に迎えに来てもらった時に、警察官の前では、ニコニコとしていたが、警察署を出た途端にバットを持って追いかけ回されたことがある。それ以来、保護者は新井先生にしてる。
もうひとりは、意外かもしれないが「女の子」。
浩二の妹で響子。中学3年生の生徒会長だ。
なぜ響子はダメなのかと言うと、この4人組は悪さはしても、老人、親、立場の弱い人、女子は決して殴らないとの「プライド」があり、響子は響子で、痛い所をズバズバと言うもんだから、言い返せないのだ。
そんな「どうしようもない4人組」だが、街の人の人気は高い。
目上の人間、年上の人には敬意を払うからだ。
お年寄りが横断歩道を渡ろうとすると、ひとりが荷物を持ち、もうひとりが抱えて歩く、すすきのの繁華街でサラリーマンが高校生にカツアゲにあったと聞けば、追いかけまわして取り返す…当然相手は半殺しではあるが…
それでまた補導されて新井が迎えにくる。その繰り返し。
新井のストレス発散の格好の餌食となった4人組は、教室の中でグッタリしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ほー!そんな悪ガキだったんですか!?」
「いやいや、これはほんの一部分でね~」
「痛かったけど、楽しかったな~」
テレビを観ながら思いにふけっていた。
「スゴイなこのバンドは!」と40代とその部下であろう30代のサラリーマンのふたりがテレビを観ながら話をしていた。
「バンド活動って、いくつになっても青春そのものだからね~」と店主が相づちのように話す。
「おっ、マスター、音楽好きかい?」
「今でこそこんななりですけど、昔はバンドマンだったんですよ!」
「ほんとかい!?どんなバンドだったんだ?」
「話せば長くなりますがね、」
「いいよ、いいよ、俺等、時間だけはたっぷりあるんだから!」
「あれは、高1のころの話なんですけどね…」
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「クォらー!またお前らか!」
北高教諭、新井が竹刀を持って走ってくる
「やべっ!新井だ!」
慌てて学校の塀を乗り越えようとする4人。
「待たんかー!今日こそは、みっちりと指導してやる!」
学校の塀は乗り越えられそうなのだが中途半端な高さのせいで、なかなか乗り越えられない。
4人組中3人が塀の上までよじ登ることができたが、ひとりだけが上手く登れない。
「浩二!早く!」
「俺の運動神経では、無理だって!」
3人で浩二の腕を引っ張るが、185センチの巨漢は、そう簡単には持ち上がらない…
皆で必死に持ち上げようとしていると
「つ、捕まえた~♡」
新井がニヤっと浩二の学ランを引っ張る。
「ヤメロ!」と涼介が壁から飛び降り、新井の腹へ「ヤァー!」タックルを決めるが、新井はビクともしない。
さすがに柔道部の顧問。
簡単に涼介も地面に叩きつけられた。
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「さて、今日はどんな言い訳、聞かせてくれるんだ?」
4人組の学ランはヨロヨロ、顔はパンパン、柔道部の畳の上に正座をしている。
「実は、うちのお母さんが急病で…」と涼介が言った瞬間に空を舞った。
「俺は昨日の夜、お前の母ちゃんの店で飲んでたんだ!ピンピンしとったわ!もっと上手い嘘つけ!」
「あっ、涼介の飼っている子犬のチャッピーがオナカを空かせてるんです!」雅也が言ったと同時に、また涼介が空を舞う。
「も、もうやめて…」涼介の声を聞いた雅也が、これは面白いと、次の理由を考える。
「あっ、うちの店のあんかけやきそばのそばがないんです!」涼介が空を舞った…。
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「痛てててて…新井の野郎、手加減っての知らんのか?」
起き上がれない涼介に雅也が
「ホントだよね!もう少し、優しくしてくれてもいいもんだよね!」
「途中から気づいてたぞ雅也!お前、楽しんでたじゃねーか!」
「アリャ、バレたか。」
雅也が舌を出す。
「まったく…お前らは大丈夫か?」
「お前に比べりゃ無傷だわ…」
と透と浩二がうなずく。
涼介、雅也、透、浩二、この4人。
札幌屈指の「悪ガキ4人組」で、知らない人を探すのが難しいぐらいに有名な高校1年生だ。
ある時は同じ高校の人間が、別の高校生に殴られたと聞き、その高校自体を壊滅状態寸前まで殴り飛ばす。
そうかと思えば、キャバクラ店のお姉さんに鼻の下を伸ばしていたり、パチンコ屋で当ててる所を警察官に補導…この時ばかりは、フィーバーが止まるまで、待ってくださいとお願いしていたらしい。などなど、補導の数は数え切れず…警察官も「また、お前らか。」と顔を覚えるほど…その度に新井先生が頭をさげる。
そんな4人組も怖い相手が3人いる…
ひとりは高校教諭の新井。頭が上がらない。
もうひとりは、透の父親。大工の棟梁である。以前に警察に迎えに来てもらった時に、警察官の前では、ニコニコとしていたが、警察署を出た途端にバットを持って追いかけ回されたことがある。それ以来、保護者は新井先生にしてる。
もうひとりは、意外かもしれないが「女の子」。
浩二の妹で響子。中学3年生の生徒会長だ。
なぜ響子はダメなのかと言うと、この4人組は悪さはしても、老人、親、立場の弱い人、女子は決して殴らないとの「プライド」があり、響子は響子で、痛い所をズバズバと言うもんだから、言い返せないのだ。
そんな「どうしようもない4人組」だが、街の人の人気は高い。
目上の人間、年上の人には敬意を払うからだ。
お年寄りが横断歩道を渡ろうとすると、ひとりが荷物を持ち、もうひとりが抱えて歩く、すすきのの繁華街でサラリーマンが高校生にカツアゲにあったと聞けば、追いかけまわして取り返す…当然相手は半殺しではあるが…
それでまた補導されて新井が迎えにくる。その繰り返し。
新井のストレス発散の格好の餌食となった4人組は、教室の中でグッタリしていた。
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「ほー!そんな悪ガキだったんですか!?」
「いやいや、これはほんの一部分でね~」
「痛かったけど、楽しかったな~」
テレビを観ながら思いにふけっていた。
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