上 下
84 / 90

第八十四頁

しおりを挟む
 光の中から「ゼウス!眷属召喚!」という言葉と同時に、大軍が押し寄せてきた!神の精鋭部隊である。

「1000名は眷属を追って各地に散れ!魔王達は、それぞれの援護、それと意思伝達の為のネットワークを作れ!残った物は私と共に悪魔ダイモーンを討伐する!」

 アイギスに乗ったゆめの号令に反応し、ある部隊は南、またある部隊は東へと散っていく。

 残りの兵士達も見る見ると部隊編成を作り上げている。

 さて、不思議に思わないだろうか?何故勇者は「空中戦」が出来るのか?実は勇者達は皆、「ペガサス」に乗っている。実はヘーラーが、絶対に役に立つからと言って、それぞれに分け与えた召喚獣だ。お陰で、空飛ぶ悪魔とも戦える。

「弓を放て!」一斉に弓矢が飛んで行く。この弓矢はヘラクレスの物を複製したもの。ダイモーンに降り注ぐが、簡単に薙ぎ払われた。

「怯むな!第二射、放て!」 一斉に打ち込むも、ダイモーンには歯が立たない。

「ククク、やっト来たカ! お前ラハ 神ノ軍だナ?ユメはいるノカ?いいエサがヤッテ来たものヨ」

 ダイモーンが、軍の上を飛んで行くと同時に、蛾の鱗粉の様な物が降り注いで来た!

「全員、回避!」

 ペガサスが、空を駆ける、

「うわぁー!」

 消えてしまった勇者達、その瞬間にダイモーンの姿が、巨大化していく!

「旨い、旨いぞ!全員、喰ってやる!」

 魔法使い達が、拘束の呪文を唱え、両手両足を鎖で繋ぎ留める。そのタイミングで、剣で斬りかかる!

 ダイモーンの左腕が肩から飛んだ!流石は神が作った剣だ!いける!

 そう、思ったのも束の間・・・

「ククク」悪魔は不敵な笑いをする。

 切り落とした左肩からは、見る見るうちに腕が生えてきた・・・。

 腕が生えてくるその様を見た中には、怯えを覚えた勇者もいる。

 いかん、ゆめが心配している事が起こってしまった。実の所、勇者のレベルは低い。と言うのも、物語の中にゆめが入り干渉したが為に、勇者のレベル上げが必要なくなり難なく魔王討伐が出来てしまってたからだ・・・。

 勇者達の怯えに気づくのと同時に「逃さんよ!」とダイモーンの口から紫色の吐息が吐かれた!

「防御!」

 その吐息は、物理攻撃ではなく「精神攻撃」。

「ギャー!」

 勇者達が次々と消えて行く!逆にダイモーンは巨大化していく。

「怯えるな!奴は精神攻撃を仕掛けてくるぞ!怯えを持ったものは、一旦、下がれ!」

 すると、大半の者が下がって行った。

「フッハハハハ!神の軍勢と言っても大した事ないな!ちょうどいい、後ろに下がった奴らよ、全員死ね!」

 ダイモーンの身体全体から、先程と同じ紫色が飛んできた!

「逃げよ!捕まるな!捕まったら死ぬぞ!」

 慌てて逃げるが既に遅く、ダイモーンの餌食となってしまった・・・

「旨い!旨いぞ!弱腰であっても、流石は神の使者だ!これで、もう少しで我は完全体になれる!」

「魔法部隊!拘束!聖なる光も浴びせろ!勇者部隊!全員で首を刎ねるぞ!」

 魔法の鎖が、ダイモーンの身体を拘束するが、力を増した今では、簡単に破られてしまう。聖なる光も申し訳程度の攻撃・・・まったく効く気配がない。

「くそ!この悪魔がー!」 勇者の一人が、突っ込んで行く!

「馬鹿!やめろ!」 私の制止も聞かずに向かって行った・・・

「馬鹿な奴め。」 その勇者は、簡単に捕まり頭から喰らいつかれ、首のない胴体から血が飛沫した。

 残るのは、勇者500名、魔法使い100名、魔王200名位まで、喰らわれてしまった。 それに反比例して、ダイモーンは力を増しているのが目に見えてわかる。

「くそ、このままでは・・・」 ゆめは、噛んだ唇から血を流した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...