31 / 90
第三十頁
しおりを挟む
夏休みが終わり、始業式。
クラスメイトは皆、更に真っ黒に焼けている。
私もそれなりに焼けてるはずだけど、この中では白い方だ。
「その男子」はいなかった…。
先生が、夏休み中に引っ越して行ったとの話。
「その男子」は、転校していった。
私は、初めての恋と初めての失恋を体験した。
私の事を知っている友達が、気遣ってくれるけど、「大丈夫だから」と笑顔を向ける。
本当に何もないし、何も感じない。
学校の始業式も早い目に終わり、帰り道。
ひとりで歩く道の途中に、大きな木があった。
私はその木に抱きついて、あの雨の日の事を思い出す。
「凄い雨だったな…」
傘を持たなかった2人の事を思い出にして心にしまった。
いつもは、晩ごはんの前にお風呂なんだけど、今日に限っては食事の後に入ってと、ママが言った。
今日の晩ごはんは「激辛料理」。
色んなメニューが、真っ赤に染まってる。
ゆめはそんなに辛くないのをと、別に作ってくれた物を、ひとくち食べる。
舌が痛い!汗が止まらない!
慌てて氷水を流し込む。あれ?水って、こんなに甘かったっけ?
だから、お風呂は後でってママが言ったんだと悟る。
それでも、頑張って全部食べる私の前で、パパが顔を真っ赤にして悲鳴をあげていたのは、面白かった。
激辛料理を食べた後に庭に行ってみる。夜風が涼しい。
お風呂の中で・・・
今日の学校は、どうだった?いつものパパの質問。
「その男子」の事を思い出すけど、「いつも通りだよ。」と言った。
そして、私の部屋…。
いつもはベッドへダイブ!なんだけど、今日は、そんな気分になれない…。
椅子に腰かけ、机に顔を伏せた。
「机が冷たくて、気持ちいい…。」
頭を上げると、視界には古びた「御伽噺」の本。
久しぶりに読んでみるかと、左手を出す。
私の左手から光が放出され、本に吸い込まれて行く。
・・・・・
・・・・
・・・
目が覚めた。私は草原の真ん中で、大の字になって、寝ていたようだ。青い空は高く、そよ風に乗った緑の匂いが心地いい。
私はここが、何処なのかを知っている。
あの絵本「桃太郎」の御伽噺の中だ…。
起き上がり、周りを見渡すと、見慣れた家があった。
「お爺さんとお婆さん」が暮らす家。
少し離れた所に川が流れている。
私は、その家に向かう道中で、ひとりの「武士」と出会う。桃太郎だ。
桃太郎は、私の顔を見て、
「お、お主…!」
桃太郎の体が分裂をし始めた!
その瞬間、「場面転換」。
見慣れた場所は「何も無い空間」。
「悪戯はいかんと、言ったじゃろ?」
懐かしい声が聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
私、恋を経験して少しだけ成長してます!
クラスメイトは皆、更に真っ黒に焼けている。
私もそれなりに焼けてるはずだけど、この中では白い方だ。
「その男子」はいなかった…。
先生が、夏休み中に引っ越して行ったとの話。
「その男子」は、転校していった。
私は、初めての恋と初めての失恋を体験した。
私の事を知っている友達が、気遣ってくれるけど、「大丈夫だから」と笑顔を向ける。
本当に何もないし、何も感じない。
学校の始業式も早い目に終わり、帰り道。
ひとりで歩く道の途中に、大きな木があった。
私はその木に抱きついて、あの雨の日の事を思い出す。
「凄い雨だったな…」
傘を持たなかった2人の事を思い出にして心にしまった。
いつもは、晩ごはんの前にお風呂なんだけど、今日に限っては食事の後に入ってと、ママが言った。
今日の晩ごはんは「激辛料理」。
色んなメニューが、真っ赤に染まってる。
ゆめはそんなに辛くないのをと、別に作ってくれた物を、ひとくち食べる。
舌が痛い!汗が止まらない!
慌てて氷水を流し込む。あれ?水って、こんなに甘かったっけ?
だから、お風呂は後でってママが言ったんだと悟る。
それでも、頑張って全部食べる私の前で、パパが顔を真っ赤にして悲鳴をあげていたのは、面白かった。
激辛料理を食べた後に庭に行ってみる。夜風が涼しい。
お風呂の中で・・・
今日の学校は、どうだった?いつものパパの質問。
「その男子」の事を思い出すけど、「いつも通りだよ。」と言った。
そして、私の部屋…。
いつもはベッドへダイブ!なんだけど、今日は、そんな気分になれない…。
椅子に腰かけ、机に顔を伏せた。
「机が冷たくて、気持ちいい…。」
頭を上げると、視界には古びた「御伽噺」の本。
久しぶりに読んでみるかと、左手を出す。
私の左手から光が放出され、本に吸い込まれて行く。
・・・・・
・・・・
・・・
目が覚めた。私は草原の真ん中で、大の字になって、寝ていたようだ。青い空は高く、そよ風に乗った緑の匂いが心地いい。
私はここが、何処なのかを知っている。
あの絵本「桃太郎」の御伽噺の中だ…。
起き上がり、周りを見渡すと、見慣れた家があった。
「お爺さんとお婆さん」が暮らす家。
少し離れた所に川が流れている。
私は、その家に向かう道中で、ひとりの「武士」と出会う。桃太郎だ。
桃太郎は、私の顔を見て、
「お、お主…!」
桃太郎の体が分裂をし始めた!
その瞬間、「場面転換」。
見慣れた場所は「何も無い空間」。
「悪戯はいかんと、言ったじゃろ?」
懐かしい声が聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
私、恋を経験して少しだけ成長してます!
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる