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第七頁

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 私も小学生になった。
 真新しいランドセル、筆箱、上履き、体操着、縦笛、教科書・・・

 全てが新鮮でキラキラしていた。

 入学式。

 当然の様に、パパはビデオカメラをまわし、ママは涙ぐむ。

「すみません、シャッターお願いできますか?」とパパが人に頼み、「入学式」と書いてある看板の前で3人の記念撮影。

 午前中で終わった入学式。

 平日のお昼に3人でご飯を食べるのは久しぶり。

 私はランドセル・帽子を被ったままで、家の中を走り回っている。

 お昼ごはんは「ちらし寿司」。
 勿論、ママの手作りである。
 沢山の海鮮が細かく切ってあり、口に運ぶ手が止まらない。

 お腹もいっぱいになった所で、お昼寝タイム。

 パパとママは緑茶を飲んで笑い合ってる。

 夕方になって、お気に入りのアニメを見る 新しい魔法少女物だけど、ひらひらドレスの主人公、これも可愛い!

「ご飯の用意するから、先にお風呂に入っちゃって~」とのママの声の下、パパと一緒に風呂に入る。

 パパは私を見て「大きくなったな~」と優しい声で囁いてくれる。「でも、洗い方はまだまだだけどな!」と久しぶりに私を洗ってくれる。

 一緒に湯船に入っていると、「いつまで、一緒にお風呂に入れるんだろうな・・・」とパパは少し寂しそうにしていた。

 お風呂から上がると、晩ごはんの用意が出来上がっていた。

「今日はお祝いだから、すき焼きよ!」




 夜、私の部屋に戻った。

 真新しい机は入学祝いにと祖父からのプレゼント。
 その机の上に、教科書などが整理整頓されて、立て掛けられている。

 そして、少し手垢が目立つコピー用紙の束がある。
 パパが書いてくれた小説だ。

 私はこの小説が好きだ。何回も読み返している。
 解らない漢字や言い回しも出てくるのだけど、その度にパパに聞きに行ったので、これからは、国語のみは問題ないだろう。



 パパが書いてくれた小説の冒頭は

「太陽暦1608年、ヤ・ガー王国。その王国は砂漠の中央、オアシスを拠点とした通称、「砂漠の王国」と呼ばれる軍事国家である。・・・」

 こんな感じ。 今まで、桃太郎などの話を読み聞かせているとママからのリサーチで、コレしかないとパパが書いてくれた小説は「ファンタジー小説」。

 内容は、王国の姫が魔族に拐われ、勇者が様々な冒険、次々と集まる仲間達との絆、そして魔王との決闘・・・ 今思えば、ありきたりな話ではあるのだか、「あの頃の私」には、新しい世界だった。

 だから、何回も読み返している。 同じ所でドキドキし、笑い、ハラハラ、最後には涙する。何回読み返しても、同じ感情が溢れ出す。

 明日から学校・・・早く寝なきゃ・・・

 真っ暗な部屋の机の上に置かれたコピー用紙の束から、薄っすらと光が放たれていた事に気づかぬまま眠りについた・・・。

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