Venus And The SAKURA

モカ☆まった〜り

文字の大きさ
上 下
133 / 167
ハイマギーの森編

0130 桜花、衆道に堕ちる

しおりを挟む
「うう・・・。」
 玲子の膝枕で泣いているのは桜花である。
 何で泣いているのかと言うと、昨晩の事。サンに『奪われてしまった』のが原因。

「男としてしまうなんて・・・。男と・・・。」
 身体をまるで赤子のように丸めて泣いている桜花を見た玲子は、前代未聞の問題に、ただ黙って頷いているだけしかできなかったようで、桜花の頭を撫でている。

 引き換えにサンはと言うと、スキップでもしたいかのように、嬉しそうだ。
 しかし、他の嫁連中は黙っていない。すぐにサンは怒り狂った嫁軍団の袋叩きにあっていた。

 そんな最悪の空気の中に知ってか知らずかバンッと、扉を開け満面の笑顔でやってきたのは、バレット国王である。

「オウカさん、おめでとう!」
 この言葉がさらに空気を悪くするのだが、バレットが気づく訳がない。

 キッとバレットを睨みつける嫁達の殺気ある視線に、何事?とようやく、最悪の空気だったと悟るバレットは恐る恐る、泣いている桜花に話しかけた。

「オウカさん、どうしたのですか?そんなに小さくなって、しかも泣いてるし。」
 玲子は、今はただ、そっとしてあげてと言うしかなかった。

「いや、こんな時だからこそ他の事に注意をひいて、今の感情を抑えるしかないでしょう?そうは思いませんか?」
 バレットがいう事も一理あるなと桜花も玲子も気づいたようで、バレットの話を聞くことにした。

「それで、バレット。今日は何の用事なんだ?」
 気丈に振る舞っている桜花ではあったが、昨晩のショックからは立ち直れていない。
「ええ、リンド評議国解放の件で、賞詞をと思いまして、明日にでも王宮に顔を出してもらえますか?」
 またか・・・。堅苦しい式典は好きじゃないけど、気を紛らわせるのには、いいかもしれないなと、バレットの要求に応じることにした。

「それで、聞いていいか解らないですけど、何があったのですか?」




「ギャハハハ!」バレットは腹を抱えて笑っている。
「ギャハハハ!じゃねーよ!相手は男だぞ!お・と・こ!」
 桜花は、先ほどまでの悲しみはどこへやら、今は怒り心頭である。
 バレットが腹を抱えて笑う理由。それはこうであった。
「オウカさんは知らないかも知れませんが、この世界で衆道は、結構あるものなんですよ!」
「え?俺の傭兵団にも、そんな奴がいるのか?今まで迫られたことはないけどな?」

「もしかするとジギルさん辺りは怪しいんじゃないですか?」
 バレットは上半身裸で訓練をしているジギルを見ながらいったものだから、ジギル自身も自分の事を言われていると悟り

「何を馬鹿な事を!私は衆道ではありませんぞ!」
「じゃあ、オウカさんの事は愛していないんだね?」
「そんなことはありません!私は主様を世界一愛しております!」
 ジギルはバレットの言葉に反射的に答えてしまった。
「はらね?ジギルさんはオウカさんを愛しているって!」

 バレットはいたずら小僧の笑みを顔いっぱいに現わした。のだが・・・。
「ジ、ジギルまで俺の事を狙っていたのか⁉」
 今の精神状態の桜花には、バレットの冗談を冗談と理解できないのだから、真実だと勘違いを起こし、ガクガクと震えを抑えられなかった。

「冗談ですって!ジギルさんに限ってそんなことはないですから!」
 慌てて訂正するも、狂乱状態の桜花の耳には入らなかった・・・。


 桜花が落ち着くまで、少し時間を取ることにし、バレットは申し訳なさそうにミルクティーを飲んでいる。

 少し落ち着いた桜花にバレットは申し訳ない冗談ですと謝りながらも、この世界で衆道はそれ程、珍しい事ではなく嗜好の一つとして貴族の間ではポピュラーですとの補足を付けた。

「そんなに多いのか?男同士で身体を重ねる奴は?」
「ええ、オウカさんは知らないかも知れませんが、ゼノンも衆道ですよ!」
「うそー!」
「ゼノンは聖職者ですからね!女性との交わりは禁じられているのです。だから、男に走った訳ですね!」

 バレットの言葉に、オウカにはある疑問が生まれた・・・。
「バレット、お前は違うよな?」
「さあ、どうでしょうか?オウカさんの寝込みを襲うかも知れませんよ!」
「止めてくれ!」桜花は自分の身体を抱きしめながら悲痛の叫びを部屋中に轟かせてしまった。

 その悲鳴に反応したのは、女性達、所謂、嫁達である。
 その余りにもの気迫にバレットは今は冗談は言えないと悟り、慌てて訂正をすることになる。

「ところで、オウカさん?」
「ん?なんだよ?」
「その・・・。男と寝て、何と言いますか・・・。」
「なんだよ?歯切れ悪いな!」
 バレットは少し顔を赤らめながらうわめ気味に桜花を見つめ
「よかったですか?」聞いてはいけない事を聞いてしまった。

「バレット!お前な!」桜花はバンッとテーブルを叩き立ち上がる。
「どうなんですか?」
「それが・・・。良かったんだよね・・・。だから余計に落ち込むんだよ・・・。」

「そんなに良かったのですか?」バレットは興味津々だ。
「ああ・・・。正直、他の誰よりも上手かったんだよ・・・。」
 桜花は顔を伏せ、また涙目になっている。

 涙目になっているのは桜花だけじゃなかった。
 ローズ率いるラミア三姉妹である。

 エロスキル満載の三姉妹には、自分たちが桜花を誰よりも満足させているとの自負があった。それなのに、男のサンの方が上手いという事に動揺を隠せない。

「ご主人様!私達では満足して頂けなかったという事なんですか⁉」
 桜花は慌てて弁明をする。その言葉がラミア三姉妹に火をつける事になる。
「今まではお前たちが一番だと思っていた。思っていたのだけど、サンは男だから、どこを どうすれば気持ちいいか知り尽くしているんだよ!だから俺は抵抗出来なかったんだ!」

 その日を境に朝夕関係なしにラミア三姉妹が桜花をベッドに誘い、また屋外であっても誘いとドンドンエスカレートして行くようになる。

「ご主人様!新技を開発したので、今からベッドに行きましょう!」と誘ってくるラミア三姉妹。桜花はサンにされてしまった屈辱を忘れようと、誘い文句を断ることなく、女体に貪りついていた。

 そんな日々を繰り返しているうちに、あの悪夢から解放されていく気持ちになっていたある夜。
 桜花が眠る寝室の扉が静かに開いた。
 今日は、ラミアの誰が着たのかな?と目を瞑りながら楽しみにしていると、そこにいたのは「サン」だった。

 桜花は眠ったふりをしているので、来た人物がサンだという事に気づいていない。
 いつも通りに桜花の下半身をまさぐる感触を桜花自身が受け入れる。
 ビクン、ビクンと反応する桜花自身はたまらなくなってしまった。

 そして、気づけば・・・。
 桜花自身はサンの中へと、ゆっくり入って行ったのである。
 ギシギシと、ゆっくりとベッドがきしむ音を立てている。

 余りにもの心地よさに、思わず声をあげる桜花。
 桜花は、やっと目を開けた・・・。
 そこには桜花の身体にまたがり、腰を振っているサンがいた。

 サンも、夢中になっているようで、サン自身も硬くなっている。
「や、やめ・・・ウッ!」

 ギシ!ギシ!とベッドがきしむ音は徐々に激しく大きくなっていく!
 桜花は、恐怖と心地よさに声が出なくなっていたのだが、身体は快楽に溺れサンの中で迸り果ててしまった。
 サンも桜花に合わせるようにドクドクと飛沫を上げていた。

 そこにやって来たのはラミア三姉妹である。
 三姉妹は悲鳴をあげ、サンを引き剥がす。
 引き剥がしたと同時に今度はローズの中に桜花自身が入って行った。

 桜花は一度、果ててしまったからか、それとも別の理由からか、桜花自身の力が抜けて行く。
「うそ・・。でしょ・・。」
 ローズは愕然として、今度は口を桜花自身に近づけ元気づけようとしたのだが、ダメだった・・・。

「ご主人様!しっかりしてください!さっきまでは「男のサン」なんですよ!ご主人様が嫌がる「男」ですよ!私たちがいるではないですか!」
ローズは涙を浮かべ、桜花にしがみつきながら涙を流していた・・・。

「サン、お前・・・!」
「あら、私の方が良いって、「ご主人様の身体」がそう言っているのよ。悔しかったら私よりも上手くなることね。」
 さんざん殴られようともサンは勝ち誇った笑みを浮かべていた。

「うう、ご主人様・・・。」

 悲しみに打ちひしがれるラミア三姉妹と同じく絶望を感じている桜花だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

【書籍化進行中】魔法のトランクと異世界暮らし

猫野美羽
ファンタジー
※書籍化進行中です。  曾祖母の遺産を相続した海堂凛々(かいどうりり)は原因不明の虚弱体質に苦しめられていることもあり、しばらくは遺産として譲り受けた別荘で療養することに。  おとぎ話に出てくる魔女の家のような可愛らしい洋館で、凛々は曾祖母からの秘密の遺産を受け取った。  それは異世界への扉の鍵と魔法のトランク。  異世界の住人だった曾祖母の血を濃く引いた彼女だけが、魔法の道具の相続人だった。  異世界、たまに日本暮らしの楽しい二拠点生活が始まる── ◆◆◆  ほのぼのスローライフなお話です。  のんびりと生活拠点を整えたり、美味しいご飯を食べたり、お金を稼いでみたり、異世界旅を楽しむ物語。 ※カクヨムでも掲載予定です。

四つの前世を持つ青年、冒険者養成学校にて「元」子爵令嬢の夢に付き合う 〜護国の武士が無双の騎士へと至るまで〜

最上 虎々
ファンタジー
ソドムの少年から平安武士、さらに日本兵から二十一世紀の男子高校生へ。 一つ一つの人生は短かった。 しかし幸か不幸か、今まで自分がどんな人生を歩んできたのかは覚えている。 だからこそ、今度こそは長生きして、添い遂げるべき人と添い遂げたい。 そんな想いを胸に、青年は四度目の命にして今までの三回とは別の世界に転生した。 世界が違えば、少しは生き延び易いかもしれない。 そんな勘違いをしてしまった早死にの男が、今度こそ何者かになる物語。 本作は、「小説家になろう」、「カクヨム」、にも投稿しております。

私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸
恋愛
エミリアの婚約者、クロードはいつも彼女に冷たい。 それでもクロードを慕って尽くしていたエミリアだが、クロードが男爵令嬢のミアと親しくなり始めたことで、気持ちが離れていく。 エミリアはクロードとの婚約を解消して、新しい人生を歩みたいと考える。しかし、クロードに別れを告げた途端、彼は今までと打って変わってエミリアに構うようになり…… ◆エール、ブクマ等ありがとうございます! ◆小説家になろうにも投稿しております

最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました

Mee.
ファンタジー
 薔薇(ローザ)は彼氏なし歴=年齢の、陰キャOL。  ある日いつものようにゲームをしていると、突如としてゲームの世界へと迷い込んでしまった。そこで偶然グルニア帝国軍に拾われ『伝説の魔導士』として崇められるも、捕虜同然の扱いを受ける。  そして、放り出された戦場で、敵国ロスノック帝国の第二王子レオンに助けられた。  ゲームの中では極悪非道だったレオンだが、この世界のレオンは優しくて紳士的だった。敵国魔導士だったローザを温かく迎え入れ、魔法の使いかたを教える。ローザの魔法はぐんぐん上達し、文字通り最強魔導士となっていく。  ローザはレオンに恩返ししようと奮闘する。様々な魔法を覚え、飢饉に苦しむ人々のために野菜を育てようとする。  レオンはそんなローザに、特別な感情を抱き始めていた。そして、レオンの溺愛はエスカレートしていくのだった……

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

処理中です...