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事務室にて
しおりを挟む「ええっっ!藤堂拓馬が!?」
事務室で麻耶が聞き返した。
「そうなんよ。せやけん、菊池が宿泊数調べてて」
坂田が聞いた。
「い、今更何で?」
麻耶が聞き返す。
「解らへんのよ。けど一緒に居った土方いう女の人が社の接待やち言うたけん偶然なんかも知れんけど」
坂田が答える。
「ああ…ほなら知らんで連れてこられたいうこともありうるよね。」
麻耶が呟く。
「拓馬はんも四面楚歌で出てったここには戻りたくも無かったろうしねぇ。」
坂田が言った。
「最後まで庇ってた瑠璃も結局は拓馬には旅館が向いてないって引導渡した格好だったし…拓馬って完璧な理数系で無駄とか省きたがる傾向強かったんだ。大学時代は上手くいってたけど、ここに婿前提で修行に入ってからだよね。あんなになったの。今考えたら皆が拓馬に高望みしてたのかもね………」
麻耶が言った。
「麻耶はんもお嬢はんと大学からやもんねぇ。拓馬はんは今考えたらよう頑張ってたんやろけど…大女将はんが拓馬はんに要求厳しかったもんねぇ…」
坂田も頷く。
「過ぎたこと言っても仕方ないよ。取敢えずは本当にあの拓馬なら、極力瑠璃とは引き離そう」
と、麻耶が言った。
坂田も頷く。
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