悪逆皇帝の息子に転生した亡国の王子、パパの権力とママの溺愛でいつの間にか世界を救う!?

今晩葉ミチル

文字の大きさ
7 / 41
本編

恐るべき異能

しおりを挟む
 僕の両肩が震える。サンライト王国が滅ぼされた日を思い出していた。ダークの召喚した漆黒の地獄は、悪夢としか言いようがなかった。

 漆黒の地獄は、ワールド・スピリットで召喚されたものだった。

 この本は、そんな恐ろしい力について書かれているらしい。

 ダークは僕を見て、眉をひそめている。
 まさか不審がられているわけじゃないよね?
 きっと僕の表情が変化したから不思議がっているだけだよね?
 怖いけど尋ねてみよう。
「僕はなんか変な事を言ったのか?」
「いえ……まだ三歳なので、絵本を読んでと言われるか、オモチャに興味を持つと思っておりました」
 そうか。
 そういえば、一番下の段に薄い本やオモチャがある。子供向けの物はここに集められていたのか。
 でも、僕はワールド・スピリットについて知りたい。
「この本を要約してくれないか? あと、ワールド・スピリットについて分かっている事をできるだけ教えてほしい」
 悪逆皇帝の息子になった理由から離れてしまうが、ワールド・スピリットの事も知りたい。サンライト王国の復興を考えた時に、リベリオン帝国と戦う事になるだろう。
 彼らの能力について、できるだけ知っておきたい。
 ダークは恭しく一礼した。

「ワールド・スピリットは世界の源をエネルギーにした異能の総称です。奇跡的な力を操れるようになります。その代わり、使いすぎると世界が滅ぶという言い伝えがあります」

「もともとのエネルギー源が、世界の源だからか……」

 僕は大粒の唾を飲み込んだ。
 ダークは深々と頷いた。
「世界の源は死者の魂の複合体です。ワールド・スピリットを扱うなら誰かを殺しておかないと、世界の滅亡を招いてしまいます。ここまでは理解できますか?」
 僕は頷いた。
 世界は誰かが死なないと滅ぶなんて、とんでもない事を聞いてしまった。

「ワールド・スピリットはきっと、限られた人しか使えないよね。そうでないと世界がもたないよ」

 ダークは沈黙した。

 両目を見開き、額に汗を滲ませている。

 思わぬ反応に、僕は戸惑った。
「大丈夫か? 僕は今度こそ変な事を言ったのか?」
「いえ、いきなり核心をつかれて心底驚きました。同時に私自身の見解の浅さに恥を感じた次第です」
 ダークの口調が重々しい。
「あなたを子供だと思い、大した質問はできないだろうと浅はかに考えておりました。大変失礼いたしました」
「そんなに畏まらなくていいよ、普通の口調でしゃべってほしい」
 僕が両手をパタパタとふると、ダークは両目をパチクリさせた。
「それはご命令でしょうか?」
「そうだね」
「じゃあ遠慮なく普段どおりにしゃべらせてもらうぜ」
 そこまでラフになるんだ。
 まあ、妙に丁寧な態度を取られるより気楽でいいか。
 ダークは口の端を上げる。

「両陛下がいなければ、この口調でいいよな?」

「うん、大丈夫だよ」

「了解。さて、ワールド・スピリットは限られた人しか使えないかという疑問だったな。先に答えを言うと、ノーだ」

 え?

 僕の顔から血の気が引く。

「使いすぎると世界が滅ぶのに、誰でも使える力なのか?」
「正確には、十年間同じ願いを強く抱くと使えるようだぜ。まあ、そうと知らない人間が十年も同じ事を願い続けるのは稀だが……俺は警戒した方がいいと思っている」
「警戒?」
「ワールド・スピリットの特性を知らないのに、ワールド・スピリットを使える人間がいる事を」
 ダークは一呼吸置いた。

「ここからは俺の仮説だが、たまたまワールド・スピリットを使えるようになって世界の存続を危うくさせる人間が現れると思っている。蘇生はできたし、転生もできるだろうな」

 え!?

「ワールド・スピリットで生き返った人間がいるのか!?」
「知らなかったのか!?」
 なんか驚かれた!?
 ダークは何歩か後ろに下がり、棚に手をかけて、辛うじて立っていた。
 聞いてはいけない事かもしれないけど、気になって仕方ない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

処理中です...