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番外編追加 国王は仲良くなりたい 〜フロラン視点〜
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私はフロラン。このオジュレバン国の国王である。
昔から、動物が好きだったのだが、どうにも相性が悪い。何故こうも寄ってきてくれないのか不思議だ。
私は、とても優しく呼んでいるのに。
あ、あれは野生の猫!よく王宮にもいるんだよな。見ているだけで癒やされる。でもやはり、触りたい!!
「よしよしよしよし!こっちへおいで。ほらほら、ほらほらこっちこっちだ!!」
私は、そこらに生えていた猫柳を採って、それを左右に動かす。すると、猫もその動きに合わせて顔を動かしている。
おお、そうそう。その調子だ。それで私の方に近づいておいで!
「ぎゃ!」
何故か手を噛みつかれ、私が落とした猫柳を咥えて、猫は遠くに行ってしまった。
(うーむ。何がいけないのだろうか。)
噛まれた手をさすりながら、私は考えていると後ろから声が聞こえた。
「国王陛下?」
おお、ウスターシュとリュシーではないか!相変わらずいつも一緒におるなぁ。
「ウスターシュとリュシーか。ウスターシュ、見回りか?」
「はい。厩に行ってきました。リュシーの力を見ていると、こちらまで温かい気持ちになりますね。」
「やだわ、ウスターシュったら!」
お?なんだ?いつの間にか二人の距離は縮まって来たようだな。話し方もだいぶ仲良さそうだ。うんうん、私も嬉しいぞ。
「リュシーよ。どうだ?不自由はないか?」
「はい。とてもよくしてもらっています。陛下のおかげです。
今、何をされていたのですか?」
「今か?猫に猫柳で遊んでやろうと思ったんだがな、噛みつかれて逃げられてしまったわ。触りたいのに、なかなか出来ないもんだな。」
「そうなのですね。あちらの猫ですか?ちょっと聞いてみましょうか。」
「いいのか!?よし、やってくれ!」
リュシーはそう言って、ウスターシュと一緒に猫へ近づいていった。
☆★
「こんにちは、ねこさん。どうして国王陛下に触らせないのかしら?」
《む?あやつは私を触りたかったのか?いつも私をおちょくってくるのだ!しかも、身振り手振りが大きいし、声もでかい!威嚇しているのかと勘違いするわ!》
「そうでしたか…では、どうすれば陛下があなたに触れますか?」
《どうすれば、とな?うむ…まず、大げさに身振り手振りを大きくせんで欲しいな。それから、声も大きいと闘いを挑まれたように感じる。これは大概の猫は皆そうだと思うぞ。本能みたいなもんだな。あとは、あんなおちょくるような真似をせんでも、触りたいのなら触らせてやるて。まぁ、撫で回されるのはもってのほかだがな。優しく、毛並みに沿って撫でるなら撫でさせてやるて。
お前さんは丁寧に触ってくれると聞いておるぞ。どれ、あやつに教えてやってくれ。》
「ありがとうございます!分かりました。陛下が喜びますわ!」
《なんの。気をつけさせてくれよ。いつも闘いを挑まれていたのかと思ったのだからな。》
☆★
猫は尻尾をユラユラと揺らしながらリュシーと見つめ合っている。それを見ていると私は、羨ましくもあるのだ。
ウスターシュもリュシーの後ろで、見つめているが、なぜ猫は逃げない?やはりリュシーがいるからか?
「陛下!来て下さい。」
「なんだ?」
私はわくわくとして進む。こんなに猫に近寄った事はない。いつもすぐに逃げ出されるのだから。
「猫に限らずですが、動物は大きな身振り手振りや、大きな声が苦手です。ですので、それはやめて下さいね。」
「ほう。そうなのか。」
「はい。それと、撫で方があります。毛並みに沿って撫でないと、気持ち悪いみたいですよ。」
「なるほどな。一定方向に撫でるわけだな。それでなのか…以前、餌を持ってきて、食べている隙に触った時に、ものすごく怒らせたんだ。両手でわしゃわしゃと撫でるのは良くなかったんだな。」
「そうですね。それに、食べている時は無防備ですからね。怖かったのもあるかもしれませんね。
…ほら、このように撫でるのです。手は下からですよ、そうです。優しく、壊れものを扱うようにですよ。」
「そうか。
…こうか?おお、もふもふだな!!」
やった!やったぞ!!やっと触れられた…!こんなに気持ち良いんだな。
ふむ。優しく、一定方向に、だな。
リュシーには、臨時報酬を払わんといかんな!!
昔から、動物が好きだったのだが、どうにも相性が悪い。何故こうも寄ってきてくれないのか不思議だ。
私は、とても優しく呼んでいるのに。
あ、あれは野生の猫!よく王宮にもいるんだよな。見ているだけで癒やされる。でもやはり、触りたい!!
「よしよしよしよし!こっちへおいで。ほらほら、ほらほらこっちこっちだ!!」
私は、そこらに生えていた猫柳を採って、それを左右に動かす。すると、猫もその動きに合わせて顔を動かしている。
おお、そうそう。その調子だ。それで私の方に近づいておいで!
「ぎゃ!」
何故か手を噛みつかれ、私が落とした猫柳を咥えて、猫は遠くに行ってしまった。
(うーむ。何がいけないのだろうか。)
噛まれた手をさすりながら、私は考えていると後ろから声が聞こえた。
「国王陛下?」
おお、ウスターシュとリュシーではないか!相変わらずいつも一緒におるなぁ。
「ウスターシュとリュシーか。ウスターシュ、見回りか?」
「はい。厩に行ってきました。リュシーの力を見ていると、こちらまで温かい気持ちになりますね。」
「やだわ、ウスターシュったら!」
お?なんだ?いつの間にか二人の距離は縮まって来たようだな。話し方もだいぶ仲良さそうだ。うんうん、私も嬉しいぞ。
「リュシーよ。どうだ?不自由はないか?」
「はい。とてもよくしてもらっています。陛下のおかげです。
今、何をされていたのですか?」
「今か?猫に猫柳で遊んでやろうと思ったんだがな、噛みつかれて逃げられてしまったわ。触りたいのに、なかなか出来ないもんだな。」
「そうなのですね。あちらの猫ですか?ちょっと聞いてみましょうか。」
「いいのか!?よし、やってくれ!」
リュシーはそう言って、ウスターシュと一緒に猫へ近づいていった。
☆★
「こんにちは、ねこさん。どうして国王陛下に触らせないのかしら?」
《む?あやつは私を触りたかったのか?いつも私をおちょくってくるのだ!しかも、身振り手振りが大きいし、声もでかい!威嚇しているのかと勘違いするわ!》
「そうでしたか…では、どうすれば陛下があなたに触れますか?」
《どうすれば、とな?うむ…まず、大げさに身振り手振りを大きくせんで欲しいな。それから、声も大きいと闘いを挑まれたように感じる。これは大概の猫は皆そうだと思うぞ。本能みたいなもんだな。あとは、あんなおちょくるような真似をせんでも、触りたいのなら触らせてやるて。まぁ、撫で回されるのはもってのほかだがな。優しく、毛並みに沿って撫でるなら撫でさせてやるて。
お前さんは丁寧に触ってくれると聞いておるぞ。どれ、あやつに教えてやってくれ。》
「ありがとうございます!分かりました。陛下が喜びますわ!」
《なんの。気をつけさせてくれよ。いつも闘いを挑まれていたのかと思ったのだからな。》
☆★
猫は尻尾をユラユラと揺らしながらリュシーと見つめ合っている。それを見ていると私は、羨ましくもあるのだ。
ウスターシュもリュシーの後ろで、見つめているが、なぜ猫は逃げない?やはりリュシーがいるからか?
「陛下!来て下さい。」
「なんだ?」
私はわくわくとして進む。こんなに猫に近寄った事はない。いつもすぐに逃げ出されるのだから。
「猫に限らずですが、動物は大きな身振り手振りや、大きな声が苦手です。ですので、それはやめて下さいね。」
「ほう。そうなのか。」
「はい。それと、撫で方があります。毛並みに沿って撫でないと、気持ち悪いみたいですよ。」
「なるほどな。一定方向に撫でるわけだな。それでなのか…以前、餌を持ってきて、食べている隙に触った時に、ものすごく怒らせたんだ。両手でわしゃわしゃと撫でるのは良くなかったんだな。」
「そうですね。それに、食べている時は無防備ですからね。怖かったのもあるかもしれませんね。
…ほら、このように撫でるのです。手は下からですよ、そうです。優しく、壊れものを扱うようにですよ。」
「そうか。
…こうか?おお、もふもふだな!!」
やった!やったぞ!!やっと触れられた…!こんなに気持ち良いんだな。
ふむ。優しく、一定方向に、だな。
リュシーには、臨時報酬を払わんといかんな!!
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