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31. 番外編 姉視点 1
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私、エドナ=ヴァイロン。ヴァイロン国の第一王女ですの。
なんで、私王族の、しかも長女に生まれちゃったのかしら…。
え?羨ましいですって!?
どこが!?何を仰るのかしら!?…失礼。取り乱してしまいましたわ。だって…!
私は、王族。しかも長女なの。だから、政略結婚をするのは、子供の頃から教育されてきたし、解っているつもりだったわ。
…でも。
嫁ぐ日が近づくにつれ、だんだん憂鬱になってきたの。だから憂さ晴らしに、いつも傍にいた護衛騎士のレナードに愚痴っていたのよね。
「はぁー。行きたくないわ。」
「またその話ですか…。エドナ様。和平の象徴として、マスクウェル大国との架け橋となると誇らし気に言われていたではないですか!」
「それはそうよ!そう思わないと、やっていけないじゃないの!私は王族よ。責務だって理解してるわ!でも、私だって一人の人間よ!恋もしないまま、大勢いる側妃の一人になるなんて私の人生ってなんなの!?それに、側妃がたくさんいるなんて怖いじゃない!虐められたら嫌だわ。」
「エドナ様…。確かにそうですね。エドナ様だって一人の人間。解っていますよ。では王妃様の所へ行きましょうか?頭を撫でてもらえば、落ち着きますから。」
「そ、それは子供の頃の話でしょう!?…じゃあ、レナードがして。」
「は!?いやいやいや!無理です!いけません!!」
「大丈夫よ。だって、人払いしたじゃない。誰も居ないわ。ねぇ、早く!お母様みたいにして!」
「はいはい…。まだまだ充分子供じゃないですか。これでいいですか?」
「ダメ!そんな適当なんて酷い!もっと心を込めて!」
「…こうですか?おーよしよし。エドナ様は、今、マリッジブルーなんですよ。結婚する前に、誰しもがなるらしいです。母が言ってました。さぁ、元気が出てきましたか?」
「…。」
「エドナ様?」
「ねぇ…お願い、レナード。一緒に、逃げて?」
「はぁー!?今の僕の話聞いていましたか?マリッジブルーは、結婚前にだ…」
「お願い、レナード。あなたに頭を撫でてもらっていたら、抱きしめて欲しくなったの。これって、レナードにもっと先の、いろいろな事をして欲しいって事かもしれないの。ねぇ…お願い、レナード。」
「…本気で言われてます?」
「私はいつだって本気よ?ねぇレナード、試しに、抱きしめて?」
「これ以上は…」
「お願い、レナード。」
レナードに抱きしめてもらっていると、なんだかとても温かくて、胸がきゅーって締め付けられるようになったの。だから、きっと私、レナードに恋しているんだわ!
なんで、私王族の、しかも長女に生まれちゃったのかしら…。
え?羨ましいですって!?
どこが!?何を仰るのかしら!?…失礼。取り乱してしまいましたわ。だって…!
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…でも。
嫁ぐ日が近づくにつれ、だんだん憂鬱になってきたの。だから憂さ晴らしに、いつも傍にいた護衛騎士のレナードに愚痴っていたのよね。
「はぁー。行きたくないわ。」
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「そ、それは子供の頃の話でしょう!?…じゃあ、レナードがして。」
「は!?いやいやいや!無理です!いけません!!」
「大丈夫よ。だって、人払いしたじゃない。誰も居ないわ。ねぇ、早く!お母様みたいにして!」
「はいはい…。まだまだ充分子供じゃないですか。これでいいですか?」
「ダメ!そんな適当なんて酷い!もっと心を込めて!」
「…こうですか?おーよしよし。エドナ様は、今、マリッジブルーなんですよ。結婚する前に、誰しもがなるらしいです。母が言ってました。さぁ、元気が出てきましたか?」
「…。」
「エドナ様?」
「ねぇ…お願い、レナード。一緒に、逃げて?」
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「お願い、レナード。あなたに頭を撫でてもらっていたら、抱きしめて欲しくなったの。これって、レナードにもっと先の、いろいろな事をして欲しいって事かもしれないの。ねぇ…お願い、レナード。」
「…本気で言われてます?」
「私はいつだって本気よ?ねぇレナード、試しに、抱きしめて?」
「これ以上は…」
「お願い、レナード。」
レナードに抱きしめてもらっていると、なんだかとても温かくて、胸がきゅーって締め付けられるようになったの。だから、きっと私、レナードに恋しているんだわ!
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