31 / 35
31. 番外編 姉視点 1
しおりを挟む
私、エドナ=ヴァイロン。ヴァイロン国の第一王女ですの。
なんで、私王族の、しかも長女に生まれちゃったのかしら…。
え?羨ましいですって!?
どこが!?何を仰るのかしら!?…失礼。取り乱してしまいましたわ。だって…!
私は、王族。しかも長女なの。だから、政略結婚をするのは、子供の頃から教育されてきたし、解っているつもりだったわ。
…でも。
嫁ぐ日が近づくにつれ、だんだん憂鬱になってきたの。だから憂さ晴らしに、いつも傍にいた護衛騎士のレナードに愚痴っていたのよね。
「はぁー。行きたくないわ。」
「またその話ですか…。エドナ様。和平の象徴として、マスクウェル大国との架け橋となると誇らし気に言われていたではないですか!」
「それはそうよ!そう思わないと、やっていけないじゃないの!私は王族よ。責務だって理解してるわ!でも、私だって一人の人間よ!恋もしないまま、大勢いる側妃の一人になるなんて私の人生ってなんなの!?それに、側妃がたくさんいるなんて怖いじゃない!虐められたら嫌だわ。」
「エドナ様…。確かにそうですね。エドナ様だって一人の人間。解っていますよ。では王妃様の所へ行きましょうか?頭を撫でてもらえば、落ち着きますから。」
「そ、それは子供の頃の話でしょう!?…じゃあ、レナードがして。」
「は!?いやいやいや!無理です!いけません!!」
「大丈夫よ。だって、人払いしたじゃない。誰も居ないわ。ねぇ、早く!お母様みたいにして!」
「はいはい…。まだまだ充分子供じゃないですか。これでいいですか?」
「ダメ!そんな適当なんて酷い!もっと心を込めて!」
「…こうですか?おーよしよし。エドナ様は、今、マリッジブルーなんですよ。結婚する前に、誰しもがなるらしいです。母が言ってました。さぁ、元気が出てきましたか?」
「…。」
「エドナ様?」
「ねぇ…お願い、レナード。一緒に、逃げて?」
「はぁー!?今の僕の話聞いていましたか?マリッジブルーは、結婚前にだ…」
「お願い、レナード。あなたに頭を撫でてもらっていたら、抱きしめて欲しくなったの。これって、レナードにもっと先の、いろいろな事をして欲しいって事かもしれないの。ねぇ…お願い、レナード。」
「…本気で言われてます?」
「私はいつだって本気よ?ねぇレナード、試しに、抱きしめて?」
「これ以上は…」
「お願い、レナード。」
レナードに抱きしめてもらっていると、なんだかとても温かくて、胸がきゅーって締め付けられるようになったの。だから、きっと私、レナードに恋しているんだわ!
なんで、私王族の、しかも長女に生まれちゃったのかしら…。
え?羨ましいですって!?
どこが!?何を仰るのかしら!?…失礼。取り乱してしまいましたわ。だって…!
私は、王族。しかも長女なの。だから、政略結婚をするのは、子供の頃から教育されてきたし、解っているつもりだったわ。
…でも。
嫁ぐ日が近づくにつれ、だんだん憂鬱になってきたの。だから憂さ晴らしに、いつも傍にいた護衛騎士のレナードに愚痴っていたのよね。
「はぁー。行きたくないわ。」
「またその話ですか…。エドナ様。和平の象徴として、マスクウェル大国との架け橋となると誇らし気に言われていたではないですか!」
「それはそうよ!そう思わないと、やっていけないじゃないの!私は王族よ。責務だって理解してるわ!でも、私だって一人の人間よ!恋もしないまま、大勢いる側妃の一人になるなんて私の人生ってなんなの!?それに、側妃がたくさんいるなんて怖いじゃない!虐められたら嫌だわ。」
「エドナ様…。確かにそうですね。エドナ様だって一人の人間。解っていますよ。では王妃様の所へ行きましょうか?頭を撫でてもらえば、落ち着きますから。」
「そ、それは子供の頃の話でしょう!?…じゃあ、レナードがして。」
「は!?いやいやいや!無理です!いけません!!」
「大丈夫よ。だって、人払いしたじゃない。誰も居ないわ。ねぇ、早く!お母様みたいにして!」
「はいはい…。まだまだ充分子供じゃないですか。これでいいですか?」
「ダメ!そんな適当なんて酷い!もっと心を込めて!」
「…こうですか?おーよしよし。エドナ様は、今、マリッジブルーなんですよ。結婚する前に、誰しもがなるらしいです。母が言ってました。さぁ、元気が出てきましたか?」
「…。」
「エドナ様?」
「ねぇ…お願い、レナード。一緒に、逃げて?」
「はぁー!?今の僕の話聞いていましたか?マリッジブルーは、結婚前にだ…」
「お願い、レナード。あなたに頭を撫でてもらっていたら、抱きしめて欲しくなったの。これって、レナードにもっと先の、いろいろな事をして欲しいって事かもしれないの。ねぇ…お願い、レナード。」
「…本気で言われてます?」
「私はいつだって本気よ?ねぇレナード、試しに、抱きしめて?」
「これ以上は…」
「お願い、レナード。」
レナードに抱きしめてもらっていると、なんだかとても温かくて、胸がきゅーって締め付けられるようになったの。だから、きっと私、レナードに恋しているんだわ!
22
お気に入りに追加
1,947
あなたにおすすめの小説
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
私のかわいい婚約者【完結】
nao
恋愛
その日 モンステラ学園に衝撃が走った。
「エリオス様と成金娘が婚約ですって?!」
学園中が今朝から私、エリオス レイクウッド伯爵令息とカトリーヌ モルガン伯爵令嬢の婚約話で落ち着かない。
「でも、エリオス様は伯爵家の嫡男、成金娘もモルガン商会の跡取り娘のはずよ!まさか どちらかが後継を降りたと言うの?」
サファイアのような青い瞳を怒りに染めて少女が問う。
彼女の名前はペトラ スカーリン。
一年の時から私、エリオス レイクウッドに一目惚れし、ずっと私の妻の座を狙っていた。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
泥を啜って咲く花の如く
ひづき
恋愛
王命にて妻を迎えることになった辺境伯、ライナス・ブライドラー。
強面の彼の元に嫁いできたのは釣書の人物ではなく、その異母姉のヨハンナだった。
どこか心の壊れているヨハンナ。
そんなヨハンナを利用しようとする者たちは次々にライナスの前に現れて自滅していく。
ライナスにできるのは、ほんの少しの復讐だけ。
※恋愛要素は薄い
※R15は保険(残酷な表現を含むため)
婚約者の浮気現場を目撃したら、魔力が暴走した結果……
四馬㋟
恋愛
保有する膨大な魔力を制御できず、他者を傷つけまいと孤立する公爵家令嬢のエメリン。ある時、婚約者が自分以外の女性と抱き合う光景を目撃してしまい、ショックのあまり魔力を暴走させてしまう。
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる