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30. 番外編 また在る日
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私は、仕事を与えられた。
というより、ジャーヴィス様と話した何気ない一言からいろいろと意見を聞かれるようになり、それなら私にやらせて下さい!とお願いしたの。
それは、〝後宮の解体〟。
だって、無理やり連れて来たらしいのに、今度は無理やり祖国へ返そうとしているんだもの。彼女達の気持ちも聞かなければいけないんじゃないかと思ったのよね。モノじゃないんだから。
ロバウト様とキャスリンがご一緒してくれるといった。
一人で行けると思ったけれど、後宮なんて初めてで不安ではあったから申し訳ないけれどお願いした。後宮の中は、理由もなしに男性は入ってはいけないのですって。だけれど、今回は理由があるし、私に万が一の事があってもいけないからだそう。キャスリンがいるのも、万が一後宮にいる女性達が何かしても対応出来るようになのだとか。
今日は、一番初めに後宮に入られた人から順番に話を聞いていく事にしました。
「こんにちは。私は、アリーシャと申します。お話をさせていただきたく参りました。」
「存じ上げております。あの悪魔の子とご結婚されたのでしょう。おめでとうございます。」
「?悪魔の子…?」
「失礼。不敬にあたるのは承知の上でございます。が、前国王は、抵抗した祖国を武力で押さえつけ、私を無理やり連れて来たのです。マスクウェル大国に、祖国が何かしましたでしょうか?何も、決して何もしておりません。ですから、悪魔と申し上げました。私を不敬罪で打ち首になさいますか?それならそれで結構。」
そう言って、その女性はプイッと横を向いてしまいました。
「はぁ…この方以外にも、ほとんどがそんな感じなのです。」
ロバウト様が、盛大なため息を付いてそう言われました。
私は、その女性の膝下に行ってしゃがみ込み、再び話し掛けました。
「その悪魔はもうおりません。私は、ジャーヴィス様と結婚しましたけれど、過去の出来事を私が謝罪するのも違うと思いますので申し上げられません。けれどこれからを、一緒に考えたいと思いましてここに参りました。あなたは、祖国に帰りたいですか?それとも、この後宮を出て、街で暮らしてみますか?そうであれば、家はこちらで見繕った物になりますし、働いて生活をご自身でしていってもらいたいです。もちろん、選択をされるのはあなたです。」
「なに、それ…?勝手な事を言うのね。」
「はい。勝手ですよね…すみません。でもどうか、選択して下さいませんか?」
「…考えさせて。それに働くって…。」
「そうですよね、考えられませんよね。でも、今の平穏な生活よりはだんぜん楽しくなると思います。苦労もあると思いますが、バックアップはします。どうぞお考え下さい。」
「分かったわ。ねぇ…働いたら、見に来てくれる?」
「もちろんです!」
ーーーー
今日は、ジャーヴィス様とお出掛け。
「あの店だな?」
「そうですね!早く行きましょう!」
「いらっしゃいませ…って、あなた達…!」
「こんにちは。食事をしに来ました!いいですか?」
「…どうぞ。ここは、異国料理店だからね、口に合うか分からないわよ。」
「はい!楽しみです!」
「…父が、申し訳ない事をした。」
「…いいえ。悪魔の子は、悪魔じゃないのね。謝ってくれるなんて…。じゃ、ちゃんとお金払ってね!今作って来るわ!」
後宮にいた人達は無事に選択され、後宮は解体された。
そして、私が気にしていたからか、ジャーヴィス様が後宮にいた人達を見に行きたいと言ってくれた。心優しい人だから、ジャーヴィス様も彼女達の事が気になっていたのかもしれないわ。謝られてもいたもの。
後宮にはいろんな国から連れられてきた女性がいたから、異国料理店なんてどうかと提案したら、半分以上の人達がやってみると行った。その人達だけではもちろん無理だから、求人も手伝ったりして。変わった食べ物が多いから、それぞれそれなりにお客さんが来ているらしい。
「今度は、アリーシャが以前助けた、兄妹がいる店に行こうか。」
「本当ですか!?楽しみですね!あ、なんだか良い匂いがしてきました!」
「あぁ。変わった香りだ。楽しみだな。」
こうして、今日のお出掛けも私達は楽しく過ごしていきました。
というより、ジャーヴィス様と話した何気ない一言からいろいろと意見を聞かれるようになり、それなら私にやらせて下さい!とお願いしたの。
それは、〝後宮の解体〟。
だって、無理やり連れて来たらしいのに、今度は無理やり祖国へ返そうとしているんだもの。彼女達の気持ちも聞かなければいけないんじゃないかと思ったのよね。モノじゃないんだから。
ロバウト様とキャスリンがご一緒してくれるといった。
一人で行けると思ったけれど、後宮なんて初めてで不安ではあったから申し訳ないけれどお願いした。後宮の中は、理由もなしに男性は入ってはいけないのですって。だけれど、今回は理由があるし、私に万が一の事があってもいけないからだそう。キャスリンがいるのも、万が一後宮にいる女性達が何かしても対応出来るようになのだとか。
今日は、一番初めに後宮に入られた人から順番に話を聞いていく事にしました。
「こんにちは。私は、アリーシャと申します。お話をさせていただきたく参りました。」
「存じ上げております。あの悪魔の子とご結婚されたのでしょう。おめでとうございます。」
「?悪魔の子…?」
「失礼。不敬にあたるのは承知の上でございます。が、前国王は、抵抗した祖国を武力で押さえつけ、私を無理やり連れて来たのです。マスクウェル大国に、祖国が何かしましたでしょうか?何も、決して何もしておりません。ですから、悪魔と申し上げました。私を不敬罪で打ち首になさいますか?それならそれで結構。」
そう言って、その女性はプイッと横を向いてしまいました。
「はぁ…この方以外にも、ほとんどがそんな感じなのです。」
ロバウト様が、盛大なため息を付いてそう言われました。
私は、その女性の膝下に行ってしゃがみ込み、再び話し掛けました。
「その悪魔はもうおりません。私は、ジャーヴィス様と結婚しましたけれど、過去の出来事を私が謝罪するのも違うと思いますので申し上げられません。けれどこれからを、一緒に考えたいと思いましてここに参りました。あなたは、祖国に帰りたいですか?それとも、この後宮を出て、街で暮らしてみますか?そうであれば、家はこちらで見繕った物になりますし、働いて生活をご自身でしていってもらいたいです。もちろん、選択をされるのはあなたです。」
「なに、それ…?勝手な事を言うのね。」
「はい。勝手ですよね…すみません。でもどうか、選択して下さいませんか?」
「…考えさせて。それに働くって…。」
「そうですよね、考えられませんよね。でも、今の平穏な生活よりはだんぜん楽しくなると思います。苦労もあると思いますが、バックアップはします。どうぞお考え下さい。」
「分かったわ。ねぇ…働いたら、見に来てくれる?」
「もちろんです!」
ーーーー
今日は、ジャーヴィス様とお出掛け。
「あの店だな?」
「そうですね!早く行きましょう!」
「いらっしゃいませ…って、あなた達…!」
「こんにちは。食事をしに来ました!いいですか?」
「…どうぞ。ここは、異国料理店だからね、口に合うか分からないわよ。」
「はい!楽しみです!」
「…父が、申し訳ない事をした。」
「…いいえ。悪魔の子は、悪魔じゃないのね。謝ってくれるなんて…。じゃ、ちゃんとお金払ってね!今作って来るわ!」
後宮にいた人達は無事に選択され、後宮は解体された。
そして、私が気にしていたからか、ジャーヴィス様が後宮にいた人達を見に行きたいと言ってくれた。心優しい人だから、ジャーヴィス様も彼女達の事が気になっていたのかもしれないわ。謝られてもいたもの。
後宮にはいろんな国から連れられてきた女性がいたから、異国料理店なんてどうかと提案したら、半分以上の人達がやってみると行った。その人達だけではもちろん無理だから、求人も手伝ったりして。変わった食べ物が多いから、それぞれそれなりにお客さんが来ているらしい。
「今度は、アリーシャが以前助けた、兄妹がいる店に行こうか。」
「本当ですか!?楽しみですね!あ、なんだか良い匂いがしてきました!」
「あぁ。変わった香りだ。楽しみだな。」
こうして、今日のお出掛けも私達は楽しく過ごしていきました。
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