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23. 謝罪
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「ん…。」
「アリーシャ様!?あぁ…!」
目を覚ますと、窓から差し込む日が傾きかけていた。
ロッテは、ベッドの傍にスツールを置いたのか座っていた。
涙を流してこちらを見ているから、どうしたのかと思ったけれど、だんだんと思い出した。
「アリーシャ様、ここがどこかわかりますか?」
ロッテの後ろから、タミルが話しかけて来た。
「ええ、タミル。ごめんなさい。せっかくのジャーヴィス様との昼食でしたのに…。お会いしたかったわ…。」
「アリーシャ様、そんなことどうでも良いのです!アリーシャ様の体調は如何ですか?」
ど、どうでも良いのかしら?良くないわよね!?私のせいで怒らせてしまったら、せっかくの平和の架け橋が崩れてしまったらいけないわ!
「いいえ!どうでも良く…」
慌てて起き上がろうとすると、頭がクラクラとして手を額に当て目を瞑った。
「アリーシャ様!?お医者様をお呼びして参ります。ロッテ、心配は分かりますが、無事に意識を取り戻したのですから、しっかり見ていて下さいね!」
タミルの方がロッテより年下だけど、今のロッテは泣いているばかりだものね。叱咤したのね。
けれど、タミルがいつもはしない足音をバタバタと立て、扉も閉めずに部屋を慌てて出て行ったあとに、私はロッテに声を掛けた。
「ロッテ、心配掛けたわね。私は大丈夫よ。」
「ウッウッ…アリーシャ様、ロッテに心配を掛けないで下さいませ。幼い頃より侍女をやらせて頂き、幾度もこのような事はありましたから慣れているとはいえ、もうお立場を考え下さいませ。私はあの馬鹿息子以外に子はおりませんから、僭越ながらアリーシャ様を私の子供のように思っております。悲しませないで下さいませ!」
と、涙を流しながら言われたから、何と答えたらいいか…下を向いて、ぼそりと言うに留めた。
「ロッテ、ごめんね。大好きよ。」
「大事ないか。」
開いた扉から、そう声が掛かったのでみると、ジャーヴィス様がそう言いながらこちらへ歩いて来た。
ロッテは慌てて席を立ち、後ろへ控えた。
ジャーヴィス様は、その空いたスツールに腰掛け、私の手を掴み、私の目を見て言った。
「全く…お前には本当に驚かされてばかりだ。こんなに心を揺れ動かすのはアリーシャ、お前しかいない。だから、あまり勝手な事をしてくれるな。」
そう言うと、少し立ち上がったジャーヴィス様はベッドに腰掛け、私を引き寄せて抱きしめた。
「も…申し訳ありませんでした…。」
いきなりの密着で、私はかなり緊張し、その言葉を告げるのがやっとだった。だって、やっと会えたと思ったら、こんなに接近するのだもの。
けれどジャーヴィス様に触れられ、ゆっくり慈しむように頭を撫でてくれているので目を瞑っていると、そのまま気持ち良くなってまた、意識を手放してしまった。
「アリーシャ様!?あぁ…!」
目を覚ますと、窓から差し込む日が傾きかけていた。
ロッテは、ベッドの傍にスツールを置いたのか座っていた。
涙を流してこちらを見ているから、どうしたのかと思ったけれど、だんだんと思い出した。
「アリーシャ様、ここがどこかわかりますか?」
ロッテの後ろから、タミルが話しかけて来た。
「ええ、タミル。ごめんなさい。せっかくのジャーヴィス様との昼食でしたのに…。お会いしたかったわ…。」
「アリーシャ様、そんなことどうでも良いのです!アリーシャ様の体調は如何ですか?」
ど、どうでも良いのかしら?良くないわよね!?私のせいで怒らせてしまったら、せっかくの平和の架け橋が崩れてしまったらいけないわ!
「いいえ!どうでも良く…」
慌てて起き上がろうとすると、頭がクラクラとして手を額に当て目を瞑った。
「アリーシャ様!?お医者様をお呼びして参ります。ロッテ、心配は分かりますが、無事に意識を取り戻したのですから、しっかり見ていて下さいね!」
タミルの方がロッテより年下だけど、今のロッテは泣いているばかりだものね。叱咤したのね。
けれど、タミルがいつもはしない足音をバタバタと立て、扉も閉めずに部屋を慌てて出て行ったあとに、私はロッテに声を掛けた。
「ロッテ、心配掛けたわね。私は大丈夫よ。」
「ウッウッ…アリーシャ様、ロッテに心配を掛けないで下さいませ。幼い頃より侍女をやらせて頂き、幾度もこのような事はありましたから慣れているとはいえ、もうお立場を考え下さいませ。私はあの馬鹿息子以外に子はおりませんから、僭越ながらアリーシャ様を私の子供のように思っております。悲しませないで下さいませ!」
と、涙を流しながら言われたから、何と答えたらいいか…下を向いて、ぼそりと言うに留めた。
「ロッテ、ごめんね。大好きよ。」
「大事ないか。」
開いた扉から、そう声が掛かったのでみると、ジャーヴィス様がそう言いながらこちらへ歩いて来た。
ロッテは慌てて席を立ち、後ろへ控えた。
ジャーヴィス様は、その空いたスツールに腰掛け、私の手を掴み、私の目を見て言った。
「全く…お前には本当に驚かされてばかりだ。こんなに心を揺れ動かすのはアリーシャ、お前しかいない。だから、あまり勝手な事をしてくれるな。」
そう言うと、少し立ち上がったジャーヴィス様はベッドに腰掛け、私を引き寄せて抱きしめた。
「も…申し訳ありませんでした…。」
いきなりの密着で、私はかなり緊張し、その言葉を告げるのがやっとだった。だって、やっと会えたと思ったら、こんなに接近するのだもの。
けれどジャーヴィス様に触れられ、ゆっくり慈しむように頭を撫でてくれているので目を瞑っていると、そのまま気持ち良くなってまた、意識を手放してしまった。
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