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27. 只一人
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「アリーシャ、大丈夫か?俺は、以前にも言ったが、妃は只一人しか持たん。王妃はアリーシャ只一人。お前しか俺の心は揺れ動かない。他の誰も愛せないよ。だから、安心して欲しい。」
「ジャーヴィス…お姉様はね、とても素敵なの。だから、ジャーヴィスもお姉様にお会いしたら…」
「何を言っているんだ!俺は、アリーシャの行動や言動、悪いが逐一連絡を受けていたんだ!アリーシャは、常に人の為に動いていた。この国へ嫁いで来る事に始まり、毒入りかと思った飲み物を奪って口にしたのだってそうだろ?馬車でなく、馬に乗って駆けたのだってキャスリンから聞いた。キャスリンがいろいろと愚痴ったのだろ。だから強行した。」
「だって…私が嫁ぐ事で、大国と強固な繋がりが出来、和平の象徴となるのだと思ったからで…」
「それも全て、王妃に相応しい行動と言える。国を想い民を想った結果なのだろう?俺は、そんなアリーシャだからこそ傍にいて欲しいと思う。…俺は、母が亡くなってから一人だった。父が現実から目を背いたからだ。そんな心を癒やしてくれるのは、アリーシャ只一人だ。」
そう言って、またゆっくりと私を抱きしめてくれた。
「アリーシャ、君は姉をどうしたい?」
「えっと…助けてあげて欲しい。それから、相手のレナードも出来れば捜索して欲しいの。ロッテの子供なの。私がお姉様の元に駆けつける事は出来ないけれど、どうにか出来たら…でも、お咎め無しなんて事はよくないのでしょうから、何か…」
「そうだな…。心優しいアリーシャならそう言うと思った。では、ヴァイロン国王であるモーセ殿と相談して決めてもいいか。それから、相手のレナードか。男の事までとは思うが、そうかロッテの…。」
「はい。ジャーヴィス、お手を患わせてごめんなさい。お願いします。」
「何を言う。愛するアリーシャの為だ。」
そう言うと、私に顔を近付けて唇を重ねてきた。
結婚式は、それから一月後と決まった。
急ではあるが、私が輿入れをした事は周辺諸国も知っていた事。だから、そろそろだと思われていたらしい。
「ねぇ、ロッテ。どう?変じゃない?」
「いえ!何を言うのですか。アリーシャ様の魅力を最大限に引き立てておりますよ。このドレスは触り心地も滑らかで、刺繍も繊細で素敵です。とても一ヶ月で準備したとは思えません!」
「それはそうでしょうとも!アリーシャ様がヴァイロン国を出国なさってから、毎日ロバウト様の報告を受け、アリーシャ様を想像しながらデザインを注文しておりましたから!手直しするだけで良いように早い内からご準備されておりましたよ。お部屋だって、普段使いのドレスやワンピースまで、アリーシャ様に合うかと想像されておりましたよ。あれはもう、その時からアリーシャ様に恋い焦がれていたのでしょうね。」
「ふふふ、よかったですね、アリーシャ様。そろそろです、ジャーヴィス様が扉の外でお待ちですよ。さぁ、国民に共に挨拶をしてきて下さいませ。」
「アリーシャ、行こう。な、なんて綺麗なんだ…」
待ちきれずに扉を開けて入ってきたジャーヴィス様が、足を止めて固まってしまっている。
「ジャーヴィス様…」
「あ、ああ…とても綺麗だ!愛しているよ。こんな素敵なアリーシャと今日、結婚の儀式が出来る事を本当に幸せに思うよ。さぁ、行こう!」
私は、居なくなったお姉様の代わりに嫁いできたけれど、今は本当に本当に、幸せです!
☆★☆★
これで、終わりです。
ここまで読んで下さいましてありがとうございました。
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あと一つ、別視点があります。
「ジャーヴィス…お姉様はね、とても素敵なの。だから、ジャーヴィスもお姉様にお会いしたら…」
「何を言っているんだ!俺は、アリーシャの行動や言動、悪いが逐一連絡を受けていたんだ!アリーシャは、常に人の為に動いていた。この国へ嫁いで来る事に始まり、毒入りかと思った飲み物を奪って口にしたのだってそうだろ?馬車でなく、馬に乗って駆けたのだってキャスリンから聞いた。キャスリンがいろいろと愚痴ったのだろ。だから強行した。」
「だって…私が嫁ぐ事で、大国と強固な繋がりが出来、和平の象徴となるのだと思ったからで…」
「それも全て、王妃に相応しい行動と言える。国を想い民を想った結果なのだろう?俺は、そんなアリーシャだからこそ傍にいて欲しいと思う。…俺は、母が亡くなってから一人だった。父が現実から目を背いたからだ。そんな心を癒やしてくれるのは、アリーシャ只一人だ。」
そう言って、またゆっくりと私を抱きしめてくれた。
「アリーシャ、君は姉をどうしたい?」
「えっと…助けてあげて欲しい。それから、相手のレナードも出来れば捜索して欲しいの。ロッテの子供なの。私がお姉様の元に駆けつける事は出来ないけれど、どうにか出来たら…でも、お咎め無しなんて事はよくないのでしょうから、何か…」
「そうだな…。心優しいアリーシャならそう言うと思った。では、ヴァイロン国王であるモーセ殿と相談して決めてもいいか。それから、相手のレナードか。男の事までとは思うが、そうかロッテの…。」
「はい。ジャーヴィス、お手を患わせてごめんなさい。お願いします。」
「何を言う。愛するアリーシャの為だ。」
そう言うと、私に顔を近付けて唇を重ねてきた。
結婚式は、それから一月後と決まった。
急ではあるが、私が輿入れをした事は周辺諸国も知っていた事。だから、そろそろだと思われていたらしい。
「ねぇ、ロッテ。どう?変じゃない?」
「いえ!何を言うのですか。アリーシャ様の魅力を最大限に引き立てておりますよ。このドレスは触り心地も滑らかで、刺繍も繊細で素敵です。とても一ヶ月で準備したとは思えません!」
「それはそうでしょうとも!アリーシャ様がヴァイロン国を出国なさってから、毎日ロバウト様の報告を受け、アリーシャ様を想像しながらデザインを注文しておりましたから!手直しするだけで良いように早い内からご準備されておりましたよ。お部屋だって、普段使いのドレスやワンピースまで、アリーシャ様に合うかと想像されておりましたよ。あれはもう、その時からアリーシャ様に恋い焦がれていたのでしょうね。」
「ふふふ、よかったですね、アリーシャ様。そろそろです、ジャーヴィス様が扉の外でお待ちですよ。さぁ、国民に共に挨拶をしてきて下さいませ。」
「アリーシャ、行こう。な、なんて綺麗なんだ…」
待ちきれずに扉を開けて入ってきたジャーヴィス様が、足を止めて固まってしまっている。
「ジャーヴィス様…」
「あ、ああ…とても綺麗だ!愛しているよ。こんな素敵なアリーシャと今日、結婚の儀式が出来る事を本当に幸せに思うよ。さぁ、行こう!」
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