16 / 35
16. 王宮の内部
しおりを挟む
「大きいわ…!」
私達はとうとう王宮に辿り着いた。
その王宮は、さすが大国のだけあってとても規模が大きかった。
高い山の地形に沿って建てられている為、正門のある場所は麓であるが、階層が幾重にも両側に広がっていて、さながら砦のよう。
(これから、私はここで生涯過ごすのね…。)
自分の家であった、ヴァイロン国の王宮とは比べ物にならないほど縦にも横にも広い。迷子にならないように気をつけないといけないわね。
「ではこちらでしばらくお待ち下さい。」
騎士団の人達と別れ、私とロッテと護衛のキャスリンは、正面の門から入ったすぐ近くの一つの部屋へ通された。ここで少し待ち、国王様とお会いするのだとか。
私達は、紅茶の準備をしてもらったので、初めは遠慮したロッテも強引に誘って一緒に飲んだ。
キャスリンにも誘ったが、さすがに自分の仕える城であるからと遠慮された。
「すごい部屋ね。」
私は紅茶を飲みながら言った。
「そうですね。天井も高く、絵も描かれています。柱も装飾されていますし、ヴァイロン国とは違いますね。」
と、横に座っているロッテもそう言った。
私達の国は、天井に絵なんて描かれていないし、柱も切った形そのままを使っている。
対してマクスウェル大国は、天井や壁に風景の絵がそのまま描かれていた。
柱も、切った形を削ったり曲げたりして装飾されている。これは見ていても素晴らしいわね。
「はい、ここは応接室ですから。他国からの使者も来ますので一層丁寧に作られています。」
キャスリンが説明をしてくれた。
時間がありそうなので、大まかに王宮の内部の説明をしてもらって過ごす事にした。
「本棟一階は図書館、騎士団第一近衛分団詰め所、総務部、応接室があります。図書館は受付さえすれば誰でも利用出来ます。総務部は、言わば何でも屋ですね。困り事をそこに訴えに来る国民もいます。それを解決するかどうかは、国王の判断ですけれど。応接室は、国王に会いに来た人達の待合室です。この部屋以外にも十部屋ほどあります。足りなければ、二階にも小部屋があります。」
「回廊を右に行くと、使用人棟です。寝泊まり出来る棟がありますね。ロッテは、そちらではなく、アリーシャ様の部屋の小部屋で、寝泊まりする事になると思いますので、あちらに行く事はないと思います。けれど、ジャーヴィス様がどうされるのかは分かりかねますので、言われた事に従って下さい。」
「回廊を左に行くと、騎士団統括本部や、後宮があります。アリーシャ様はこちらも特に用事はないでしょう。それから…」
「え?私、後宮に入るのではないの?」
「あの後宮は、元後宮といいますか…前国王でいらしたミハイル様が作られた後宮です。ジャーヴィス様は、妃はおられませんので、アリーシャ様は本棟奥の、奥棟でのお住まいになると思われます。」
「そ、そうだったの!?私、知らなかったわ…。マクスウェル大国の国王様は、妃がたくさんおられると…」
だから、のほほんと後宮で暮らせばいいかと思っていたのに、まさか、ジャーヴィス様は妃がいらっしゃらないなんて…!
「妃様がたくさんいらしたのは、前国王のミハイル様です。ジャーヴィス様のお父様ですね。何人いらっしゃるのか…正確には私も分かりかねます。主に、ここ十年で増えた側妃様方です。基本的に、そこでお生まれになったお子様は王位継承権は無いと言われていますから、継承権争いはありませんからご安心下さい。」
いや、安心してって言われても…。どうしましょう!?
「私、正妃になるの?ちょっと、ロッテも知ってた?」
「も、申し訳ありません…!私も、国王様と言えば、側妃様がたくさんいらっしゃると…。もしかしたら、私共の国まで情報が届くのが遅いのかもしれません。」
「アリーシャ様…。ジャーヴィス様がどのように言われるかは分かりかねますが、恐らくは正妃になられるのかと。」
ええー!?私、たくさんいる側妃の一人かと思っていたのに、大丈夫かしら!?
私達はとうとう王宮に辿り着いた。
その王宮は、さすが大国のだけあってとても規模が大きかった。
高い山の地形に沿って建てられている為、正門のある場所は麓であるが、階層が幾重にも両側に広がっていて、さながら砦のよう。
(これから、私はここで生涯過ごすのね…。)
自分の家であった、ヴァイロン国の王宮とは比べ物にならないほど縦にも横にも広い。迷子にならないように気をつけないといけないわね。
「ではこちらでしばらくお待ち下さい。」
騎士団の人達と別れ、私とロッテと護衛のキャスリンは、正面の門から入ったすぐ近くの一つの部屋へ通された。ここで少し待ち、国王様とお会いするのだとか。
私達は、紅茶の準備をしてもらったので、初めは遠慮したロッテも強引に誘って一緒に飲んだ。
キャスリンにも誘ったが、さすがに自分の仕える城であるからと遠慮された。
「すごい部屋ね。」
私は紅茶を飲みながら言った。
「そうですね。天井も高く、絵も描かれています。柱も装飾されていますし、ヴァイロン国とは違いますね。」
と、横に座っているロッテもそう言った。
私達の国は、天井に絵なんて描かれていないし、柱も切った形そのままを使っている。
対してマクスウェル大国は、天井や壁に風景の絵がそのまま描かれていた。
柱も、切った形を削ったり曲げたりして装飾されている。これは見ていても素晴らしいわね。
「はい、ここは応接室ですから。他国からの使者も来ますので一層丁寧に作られています。」
キャスリンが説明をしてくれた。
時間がありそうなので、大まかに王宮の内部の説明をしてもらって過ごす事にした。
「本棟一階は図書館、騎士団第一近衛分団詰め所、総務部、応接室があります。図書館は受付さえすれば誰でも利用出来ます。総務部は、言わば何でも屋ですね。困り事をそこに訴えに来る国民もいます。それを解決するかどうかは、国王の判断ですけれど。応接室は、国王に会いに来た人達の待合室です。この部屋以外にも十部屋ほどあります。足りなければ、二階にも小部屋があります。」
「回廊を右に行くと、使用人棟です。寝泊まり出来る棟がありますね。ロッテは、そちらではなく、アリーシャ様の部屋の小部屋で、寝泊まりする事になると思いますので、あちらに行く事はないと思います。けれど、ジャーヴィス様がどうされるのかは分かりかねますので、言われた事に従って下さい。」
「回廊を左に行くと、騎士団統括本部や、後宮があります。アリーシャ様はこちらも特に用事はないでしょう。それから…」
「え?私、後宮に入るのではないの?」
「あの後宮は、元後宮といいますか…前国王でいらしたミハイル様が作られた後宮です。ジャーヴィス様は、妃はおられませんので、アリーシャ様は本棟奥の、奥棟でのお住まいになると思われます。」
「そ、そうだったの!?私、知らなかったわ…。マクスウェル大国の国王様は、妃がたくさんおられると…」
だから、のほほんと後宮で暮らせばいいかと思っていたのに、まさか、ジャーヴィス様は妃がいらっしゃらないなんて…!
「妃様がたくさんいらしたのは、前国王のミハイル様です。ジャーヴィス様のお父様ですね。何人いらっしゃるのか…正確には私も分かりかねます。主に、ここ十年で増えた側妃様方です。基本的に、そこでお生まれになったお子様は王位継承権は無いと言われていますから、継承権争いはありませんからご安心下さい。」
いや、安心してって言われても…。どうしましょう!?
「私、正妃になるの?ちょっと、ロッテも知ってた?」
「も、申し訳ありません…!私も、国王様と言えば、側妃様がたくさんいらっしゃると…。もしかしたら、私共の国まで情報が届くのが遅いのかもしれません。」
「アリーシャ様…。ジャーヴィス様がどのように言われるかは分かりかねますが、恐らくは正妃になられるのかと。」
ええー!?私、たくさんいる側妃の一人かと思っていたのに、大丈夫かしら!?
13
お気に入りに追加
1,947
あなたにおすすめの小説
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。
華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。
王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。
王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
泥を啜って咲く花の如く
ひづき
恋愛
王命にて妻を迎えることになった辺境伯、ライナス・ブライドラー。
強面の彼の元に嫁いできたのは釣書の人物ではなく、その異母姉のヨハンナだった。
どこか心の壊れているヨハンナ。
そんなヨハンナを利用しようとする者たちは次々にライナスの前に現れて自滅していく。
ライナスにできるのは、ほんの少しの復讐だけ。
※恋愛要素は薄い
※R15は保険(残酷な表現を含むため)
婚約者の浮気現場を目撃したら、魔力が暴走した結果……
四馬㋟
恋愛
保有する膨大な魔力を制御できず、他者を傷つけまいと孤立する公爵家令嬢のエメリン。ある時、婚約者が自分以外の女性と抱き合う光景を目撃してしまい、ショックのあまり魔力を暴走させてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる