【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる

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2. 理由

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 ここヴァイロン国は、南東側が海に面している小さな国。
温暖な気候で、農産物が主だった特産物だ。

 それから、温暖な気候で海があるという事もあり、様々な国から観光客が訪れるようになった為、リゾート地としても観光業に力を入れていた。


 周りは、山に囲まれており、長いこと小国でありながら細々と国を存命させてきた。


 ーーーそれが、二年前。

 十年程前から、隣国のマクスウェル大国が武力でもって隣接する国々を押さえつけ、領土をさらに拡大し始めた。
元々大国であったのに、さらに大きくなり兵の数もどんどんと増えていってとうとう二年前にヴァイロン国にまで、使者が足を運んできた。

 戦を仕掛けられてはたまらないと、形ばかりの騎士団が奇襲をし、国境近くで身を挺して追い返そうとした。

 …が、結果はしかり。こちらは数十人の死者を出してしまった。


『そちらが手を出してきたから応戦したまでの事誠に残念である。我々に従えば、武力行使はしない。しかし抗えば、反抗出来なくなるまで戦争でもって押さえつけなければなるまい。国境付近には、兵士が何十万と待機している。どうすべきか、判断されよ。』



 国王であるお父様は、苦渋の決断で是とした。
奇襲をすれば必ず打ち負かしますと言った形ばかりの騎士団が、壊滅してしまった為、それ以上抗えば、今度は全国民の命が散ると判断したのだ。


 そこで、大国から指示されたのは、王族の輿入れ。
さながら人身供物だといえる。

 それは、近隣の国もそうだった。

 なので、お姉様が輿入れと言っても後宮のような場所に入れられるそうだ。

 妃が幾人もいるのだとか。

 とは言っても、大国であるため、裕福な生活は約束される。



『私の命一つで、国民の命を助けてくれるなら安いものだわ。』

 そう言ったお姉様。


 国の経済活動もそのまま父が、マクスウェル大国の属国となるが国王として取り仕切ればいいそうで、破格の条件だといえよう。


 大国へ嫁ぐ事が決まった二年前にお姉様が私に言った。

『いい?アリーシャ。あなたはこの国の王女よ。弟のケルバットが大きくなるまでは、お父様やお母様と一緒にあなたがヴァイロン国を守ってね。私は隣国から、この国を守るわ。身を犠牲にするわけじゃない。王族に生まれた責務よ。』

 昔から、お淑やかで聡明な、私にはちょっぴりわがままを言うお姉様であったけれど、素晴らしい自慢の姉だと思っていたけれどーーーー。




「はい、アリーシャ様。取り乱して申し訳ありません…。今朝、お部屋に起こしに行ったマーベラが、いつもならベッドに寝ていらっしゃるエドナ様の姿が見えないと。部屋のテーブルには、置き手紙があったそうです。『レナードと共に暮らします。アリーシャ、あとはよろしくね。』と…。」

 マーベラはお姉様の侍女。
お姉様は朝が弱く、早くから声を掛けないとなかなか起きてくれないので、大変だといつも言っていたわね。


 それにしても、そんな手紙で…私によろしく?お姉様…私が代わりに大国へ行けと言うのですか?

 そうするしかないわよね…。そうしなければ…条約を、約束を反故にしたと大国を怒らせてしまうわ!
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