【完結】双子の国の行く末〜女王陛下になるべく育てられたはずの王女が見た景色〜

まりぃべる

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13. 新たなる国王陛下

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「一年、やってみるがよい。婚約をした状態で国王をやってみよ。婚儀は一年後に全てこなせていたら、だな。しかし、国民の生活に乱れが生じたら一年を待たず、返してもらうぞ。」




 そう、お父様に言ってもらえたの!

 卒業を目前にして、お父様とヴェロニカとの顔合わせをしてアントンが国王となる許可を得る事が出来た。議会で、私の意思を尊重させてくれる結果が出たとあって、嬉しかったけれど、ただ一つ解せなかったのは、宮廷で生活しないといけないという事だった。


 アントンも、『国王となる人があんなちっぽけな建物に住んでいるなんて可笑しいだろ?宮廷という大きな所で過ごすものだ。』なんて言っていたのよ。
私達の思い出の場所をちっぽけな建物だなんて…淋しくも思ったけれど、アントンがとても嬉しそうに『ヴァレリアのおかげだ!いい国王になるから!』と言ったから、仕方ないわね。憎めないわ。


 許可をもらうと、卒業する前から宮廷でアントンは部屋を用意してもらい、宮廷の建物について勉強したり書類の裁き方を教わっていた。私も、せっかくだからと馬車で一緒に通っていた。


 教会学校の卒業をすると。
オリアもカタンも、宮廷に部屋を宛がう事にしたからずっと一緒にいられるわね!

 宮廷は、いろいろと制約があるから嫌ではあったけれど、これからは皆と一緒に居られるから我慢するとしましょう。




「さぁ。オルフェイの為にまず、どうしようか。」

 今まではお父様が使っていた、国王陛下が使う私室に私達四人は集まっていた。
アントンが、モラリが煎れたお茶を飲みながら私、オリア、カタンに向けて言った。

「んー、王都に店を構えるの、あんな裏通りじゃなくて大通りにしたいよね。人通りが多いと、もっと他の人にも見てもらえるし。」

「お!確かに。カタン良いこと言うね!じゃあ、ちょっと大通りに店構えている人、もらおうか。」

「どいて?」

 まず、アントンはではなくて、って…それに、カタンが言った事に大きく頷いて、もらうなんて言ってるわ。何を言っているのかしら!?

「いいねー!貴族を相手にしているドレスや宝飾品の店とかにはさ、今までより多く税金ふんだくっちゃおうよ!」

「なるほど!オリア良い考えだ!そうしよう!」

「ちょ、ちょっと待って!それじゃあ王都に住んでいる人から不満が出るわよ。」

「ん?ヴァレリア、そんなん心配要らないさ!文句があるなら、王都から出て行ってもらえばいい。なんてったって、国王の命令は絶対なんだからな!」

「税金がっぽりか、立ち退くのが先か。どっちだろうね。」

「どっちに転んでも、私達には利益よねー!」

「…どういう事?私達って、税金は私的には使えないわよ。」

 この三人、私がマリアン先生から学んでいた時に一緒に聞いていたのかしら!?

「私的に使うわけでは無くても、税金で私達の生活が賄えるわけでしょう?一緒のようなものよ!お給金がもらえたら、こんな野暮ったいのじゃなくてもっとお洒落なワンピースを買うのよ!」

「や、まぁそうだけど…」

「オリアはワンピースが欲しいのか?僕はオルフェイの皆にもっと良い物を買ってあげたいな。」

「ま!何よ、カタンったら優等生な事言って!あんた余裕が出来たら帽子が欲しいって言ってたじゃない!」

「よく覚えてるね。そうだよ、だって今までは生活必需品しか持てなかったからね。これからはお洒落もし放題だよね。」

「なるほど…それいいな!オルフェイへ支給品を届けさせよう!」

「いいわね!賛成ー!!」

「よーし、じゃあ僕リスト作るよ。」

「もう家ごと建て替えましょうよ。今の家、少し強い風がきたら吹っ飛びそうだもの。」

「うーん、でもあの場所から引っ越したい奴もいるかもしれないしさ。」

「それならその時にまた新しく家を建てればいいじゃない。どうせ私達が国づくりしていくんでしょ?税金なんて足りなくなれば金持ち貴族から払ってもらえばいいのよ!」

「ハハハ!それもそうだな!」

 どうしよう…こんなにオルフェイしか優遇しないなんて思ってもみなかったわ。しかも、私の事なんて聞いてくれなくて三人で話が進んでいくし…。
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