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6. ばかもの!
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それから急遽、お父様とお母様を呼び出すようにカフソンに頼んで手紙を送った。
ウェイン様は、『僕の言いたい事がしっかり言えなかった…。また来てもいいかな?』って言われたから、今度は二つ返事で、『はい!』と伝えたわ。だって元々憧れていた、幼い頃一緒に遊んだお兄様みたいな人。懐かしいし、これからは気兼ねなく話せるわね。
あ、アップルクッキーは持って帰ってもらったわ。今度は、オレンジクッキーを所望していったわね。
「ばかもの!!!お前は学院で何を学んできたんだ!!」
「お父様。結婚相手は無事に見つけましたわ。」
「そうだが、うちは侯爵家だ!相手は子爵家というし。それに物事には順番というものがあるだろうが!」
「お父様。あまり大きな声を出さないで下さいまし。お腹の子が、怯えてしまいます。可愛い私の赤ちゃん。おじいちゃんは怖くありませんからねぇ。」
お腹をさすって、お父様とお腹を交互に見ながらお姉様は言っております。
お父様は、叱っても応えないお姉様を見て、上に振り上げた拳をプルプルと震えさせながら『おじいちゃん…おじいちゃんだと…』と呟いているわ。きっとあの拳でテーブルを叩こうとしたのでしょうけれど、大きな音は赤ちゃんに良くないと必死で堪えているみたいですわ。
お父様とお母様があれからすぐに帰って来て、今は夜ご飯の時間です。
お父様が、『今までどこにいた?』と聞いたからお姉様が答えると、お父様は、顔を真っ赤にして怒りました。
私は初めてあんなお父様の大きな声を聞いて、身をすくめてしまいました。
お母様は何事も無いかのように食事を続けています。肝が座っているというかなんというか…。
私もハラハラしましたが、お父様も気を取り直して食事をし始めたので、私もそれに倣う事にしました。
食事が終わって一言、お母様が言いました。
「赤ちゃんがお腹にいるのね。私はおばあちゃんね。カーラ。あなたも母親にはるのだから、良いことと悪いことの区別位はつくわよね?悪いことをしたら、ちゃんと謝るのよ?」
「はいお母様。わかっているわ。…私も、勝手に家を出てごめんなさい。けれど、勝手に結婚相手を決めないで欲しかったわ。」
「そうね。もっとあなたの話をしっかり聞けば良かったわね。その時からその方と愛し合っていたのよね。引き裂くような事をしてごめんなさいね。」
「そういうわけでもないんだけど…じゃあこれでこの話はおしまいにしましょう?子供の名前、何がいいかしら?」
「カーラ!気持ちはわかったから、あとで執務室に来い。書類を書かないと。」
「いやよ。お父様、私のお腹を見て?結構階段の上り下りってきついのよ。お父様の執務室三階の一番奥の寒い部屋でしょう。ここでお願いしたいわ。」
お姉様、お父様のあしらい方が上手く見えるのは気のせいかしら…。
ウェイン様は、『僕の言いたい事がしっかり言えなかった…。また来てもいいかな?』って言われたから、今度は二つ返事で、『はい!』と伝えたわ。だって元々憧れていた、幼い頃一緒に遊んだお兄様みたいな人。懐かしいし、これからは気兼ねなく話せるわね。
あ、アップルクッキーは持って帰ってもらったわ。今度は、オレンジクッキーを所望していったわね。
「ばかもの!!!お前は学院で何を学んできたんだ!!」
「お父様。結婚相手は無事に見つけましたわ。」
「そうだが、うちは侯爵家だ!相手は子爵家というし。それに物事には順番というものがあるだろうが!」
「お父様。あまり大きな声を出さないで下さいまし。お腹の子が、怯えてしまいます。可愛い私の赤ちゃん。おじいちゃんは怖くありませんからねぇ。」
お腹をさすって、お父様とお腹を交互に見ながらお姉様は言っております。
お父様は、叱っても応えないお姉様を見て、上に振り上げた拳をプルプルと震えさせながら『おじいちゃん…おじいちゃんだと…』と呟いているわ。きっとあの拳でテーブルを叩こうとしたのでしょうけれど、大きな音は赤ちゃんに良くないと必死で堪えているみたいですわ。
お父様とお母様があれからすぐに帰って来て、今は夜ご飯の時間です。
お父様が、『今までどこにいた?』と聞いたからお姉様が答えると、お父様は、顔を真っ赤にして怒りました。
私は初めてあんなお父様の大きな声を聞いて、身をすくめてしまいました。
お母様は何事も無いかのように食事を続けています。肝が座っているというかなんというか…。
私もハラハラしましたが、お父様も気を取り直して食事をし始めたので、私もそれに倣う事にしました。
食事が終わって一言、お母様が言いました。
「赤ちゃんがお腹にいるのね。私はおばあちゃんね。カーラ。あなたも母親にはるのだから、良いことと悪いことの区別位はつくわよね?悪いことをしたら、ちゃんと謝るのよ?」
「はいお母様。わかっているわ。…私も、勝手に家を出てごめんなさい。けれど、勝手に結婚相手を決めないで欲しかったわ。」
「そうね。もっとあなたの話をしっかり聞けば良かったわね。その時からその方と愛し合っていたのよね。引き裂くような事をしてごめんなさいね。」
「そういうわけでもないんだけど…じゃあこれでこの話はおしまいにしましょう?子供の名前、何がいいかしら?」
「カーラ!気持ちはわかったから、あとで執務室に来い。書類を書かないと。」
「いやよ。お父様、私のお腹を見て?結構階段の上り下りってきついのよ。お父様の執務室三階の一番奥の寒い部屋でしょう。ここでお願いしたいわ。」
お姉様、お父様のあしらい方が上手く見えるのは気のせいかしら…。
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