3 / 8
3. 久々に
しおりを挟む
あれからさらに一月経ちまして、今日もウェイン様が来られる日です。かれこれ五回目ですわね。
毎回いないのですからもういっそのこと、このお茶会は次回から無しにしてもらおうと言い出そうと決心致しました。来てもらっているのに申し訳ないからです。
「ウェイン=スタンフォード様がいらっしゃいました。」
「ありがとう。いつものように応接室?」
「それが、今日は気候が良いから、ガセボがいいと…。」
「そう。ありがとう。カフソン、いいわ。私から伝えてみる。」
大丈夫かしら…。私の思い出の中のウェイン様は優しいけれど、さすがに毎度断ると角が立つわよね…。
「ウェイン様、失礼します。あの、」
「やぁ、ティラ。勝手に場所を移してもらって済まないね。今日は、もしティラの時間があれば、久しぶりにティラと一緒にいたいのだけどどうかな?あ、お茶なんていらないから。」
どうやら、もうお姉様に会いに来たというのは止めて、私からお姉様の今を聞く感じかしら?
まぁ、こちらが言う前にそう言ってくださったのはありがたいですけれど。
「ウェイン様、そう言っていただけて、お気遣い感謝いたします。私とお茶をして下さるなんて嬉しいです。お姉様に会いに来て下さったのに申し訳ありません…。」
と、頭を下げた。
「ティラ…ありがとう。カーラの代わりに頭を下げてくれたんだね。相変わらず君は優しい。でも、もう良いよ。実はそれも含めて話したいんだけれどいいかな?あ、ここにしたのは、どこからも良く見えるだろう?やましいことは何もしないからね。」
「ありがとうございます。あの、もしよければ、料理長が焼いたアップルクッキーがあるのですけれど一緒に食べてもらえませんか?」
「え!?本当かい?懐かしいな。小さい頃は、ゼイクの作ったお菓子が大好きだったから。あ、ゼイクはもう居ない?」
「いいえ、まだ現役ですわ。名前、覚えていらしたのですね。彼が聞いたら、泣いて喜びますわ。」
よかった!昔見た笑顔が見られたわ!ウェイン様と遊んでいた幼い頃は良くお菓子を持ってピクニックをしたり、お茶会ごっこをしたりしてたのよね。
それにしても、うちの料理長の名前まで覚えていて下さった事に驚きだわ。
確か、ウェイン様がうちにいらした時、出迎えもせず私がゼイクにお菓子をもらいに行ってたのがばれた時に、名前を名乗っていたわよね。そんな昔の些細な事を覚えて下さっているなんて、ウェイン様は使用人にもお優しいものね。
毎回いないのですからもういっそのこと、このお茶会は次回から無しにしてもらおうと言い出そうと決心致しました。来てもらっているのに申し訳ないからです。
「ウェイン=スタンフォード様がいらっしゃいました。」
「ありがとう。いつものように応接室?」
「それが、今日は気候が良いから、ガセボがいいと…。」
「そう。ありがとう。カフソン、いいわ。私から伝えてみる。」
大丈夫かしら…。私の思い出の中のウェイン様は優しいけれど、さすがに毎度断ると角が立つわよね…。
「ウェイン様、失礼します。あの、」
「やぁ、ティラ。勝手に場所を移してもらって済まないね。今日は、もしティラの時間があれば、久しぶりにティラと一緒にいたいのだけどどうかな?あ、お茶なんていらないから。」
どうやら、もうお姉様に会いに来たというのは止めて、私からお姉様の今を聞く感じかしら?
まぁ、こちらが言う前にそう言ってくださったのはありがたいですけれど。
「ウェイン様、そう言っていただけて、お気遣い感謝いたします。私とお茶をして下さるなんて嬉しいです。お姉様に会いに来て下さったのに申し訳ありません…。」
と、頭を下げた。
「ティラ…ありがとう。カーラの代わりに頭を下げてくれたんだね。相変わらず君は優しい。でも、もう良いよ。実はそれも含めて話したいんだけれどいいかな?あ、ここにしたのは、どこからも良く見えるだろう?やましいことは何もしないからね。」
「ありがとうございます。あの、もしよければ、料理長が焼いたアップルクッキーがあるのですけれど一緒に食べてもらえませんか?」
「え!?本当かい?懐かしいな。小さい頃は、ゼイクの作ったお菓子が大好きだったから。あ、ゼイクはもう居ない?」
「いいえ、まだ現役ですわ。名前、覚えていらしたのですね。彼が聞いたら、泣いて喜びますわ。」
よかった!昔見た笑顔が見られたわ!ウェイン様と遊んでいた幼い頃は良くお菓子を持ってピクニックをしたり、お茶会ごっこをしたりしてたのよね。
それにしても、うちの料理長の名前まで覚えていて下さった事に驚きだわ。
確か、ウェイン様がうちにいらした時、出迎えもせず私がゼイクにお菓子をもらいに行ってたのがばれた時に、名前を名乗っていたわよね。そんな昔の些細な事を覚えて下さっているなんて、ウェイン様は使用人にもお優しいものね。
93
お気に入りに追加
1,745
あなたにおすすめの小説


おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です
あなはにす
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?

婚約者を交換しましょう!
しゃーりん
恋愛
公爵令息ランディの婚約者ローズはまだ14歳。
友人たちにローズの幼さを語って貶すところを聞いてしまった。
ならば婚約解消しましょう?
一緒に話を聞いていた姉と姉の婚約者、そして父の協力で婚約解消するお話です。

婚約者の初恋を応援するために婚約解消を受け入れました
よーこ
恋愛
侯爵令嬢のアレクシアは婚約者の王太子から婚約の解消を頼まれてしまう。
理由は初恋の相手である男爵令嬢と添い遂げたいから。
それを聞いたアレクシアは、王太子の恋を応援することに。
さて、王太子の初恋は実るのかどうなのか。

殿下に婚約破棄されたわたくしに、新しい婚約者を教育してほしい? 良いですよ、全く頑張りませんけれど
kieiku
恋愛
つまり月給制で、アンジュ様が嫌だと言ったらその日はそれで終了。そういうことですよね。楽な仕事だわぁ。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら

【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる