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レクラス視点 11 父上と
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父上は農業技術を教える事に同意した。賠償金は今は払わせず、毎年の作物の歩合によって一割を提供することとした。
また、かんがい施設の技術も教える事とした。
バルグェン国王は、しきりに謝り、そして喜んでいた。
☆★☆★☆★☆★
「レクラスよ、お前にもマナクルの就任式を見せたかったのだがな。」
「俺は、いいですよ。それより、お話があります。」
「そうか。私もお前に話がある。こんなにゆっくり話すのは久し振りだな。今日は飲み明かそう。」
バルグェン国王との協議が終わり、それを調印して無事に終わらせた夜も更けた頃。俺は、父上と一緒にテントにいた。
「父上。俺、アルフェンス国へ行きたいです。フィリアが好きなんです。」
「なんと!?…そうか。親子揃って…」
「え?」
「あ、いや。サルビアもアルフェンス国の王族、亡くなった国王陛下の妹君だったからな。惹かれたのか。」
「はい。俺の場合は、孤児院にいたフィリアを好きになったわけですが。」
「そうか…。想う人とはずっと居られるわけではない。ある日突然居なくなる。だから一緒に居たいと思うのなら、仕方ないな。行きなさい。だが、第三騎士団長だろう?騎士団長には伝えたのか?」
「はい。昼に。」
ーーー伝えた時に、ものすごく驚かれ、引き止められたが最後には好きにしろと言われた。
騎士団長には、俺が13歳で騎士団へ入団した時からずっと、とてもお世話になっていた。
俺が、第二王子だと知っていてそれでも特別扱いせずに、訓練も皆と一緒にさせてくれたのはとても有り難かった。
当時の俺は、母上が毒殺されて犯人も見つからずやさぐれていて。そんな時に、がむしゃらに訓練をさせてくれて、嫌な事を考えずに済んでいたんだ。
『お前が決めた道だ。頑張れ。』と最後には送り出してくれて本当に感謝してもしきれない。
「私からもいいか?よくやく、サルビアを毒殺した犯人を捕まえる事が出来たよ。だが、済まないが公には出来ない。」
なんだって!?捕まえた!?
「本当ですか!!」
「ああ。でも、メフィスは、現国王陛下の母だからな。公にすれば国民は混乱し、陛下の資質まで問われるかもしれない。だから、表向きは、側妃は病気で療養という事になった。まぁ、病気と言う点では、嘘ではないがな。」
と父上は苦笑して言った。
元々、母上が亡くなった時も、毒殺だったのに【心の臓が止まった】と公に発表したのだ。国民が動揺しない為と、他国に侮られない為に。
「病気?どういう事ですか。」
だけど、病気と言うのはどういう事だろう。
「心の病な。それはもう、獣のようにずっと騙された、だの何だのと叫んでいるよ。地下牢で本当良かった。地上にまで聞こえるんじゃないかと思うほどだよ。悪かったな。サルビアが亡くなって…。私は淋しかった。子どものお前はもっとだっただろうに、気を配れなかった。」
父上…。
「いえ。父上も大変ですね…。」
「そうだな。今までは、贖罪の意味で好きにさせていたんだ。だが限界だな。マナクルは可愛く見えるんだが、なぜだかメフィスは悪魔にしか見えん。なぜあいつを一度でも抱いてしまったのか…私の最大の汚点だ。」
「父上。せっかく退位されたのに、ゆっくりされませんと。」
「ああ。そのうち、食事に元気が出る粉を混ぜたものがでるだろう。これはマナクルには言えんな。どう思っていようが母親だろうからな。」
「そうですね。目には目を、ですね。」
そうか。父上もやっと、解放されるのだろうな。
「宝石商の方は、大人しく調書に応じているからな。北の炭鉱で強制労働となるかな。」
北の炭鉱は、最近発掘された、鉱物が取れる場所。だが寒いし、重労働だしで人も集まらない。まぁ、だからこそ刑罰として行かせるにはちょうどいい。
「そうですか。片付いて本当に良かったです。」
「ああ。本当にな。では、飲もうぞ。」
「はい。そういえば、食事以外でこうやって飲むのは初めてですよね。」
「そうだったか?…レクラス、好きな人は大切にしろよ。」
また、かんがい施設の技術も教える事とした。
バルグェン国王は、しきりに謝り、そして喜んでいた。
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「レクラスよ、お前にもマナクルの就任式を見せたかったのだがな。」
「俺は、いいですよ。それより、お話があります。」
「そうか。私もお前に話がある。こんなにゆっくり話すのは久し振りだな。今日は飲み明かそう。」
バルグェン国王との協議が終わり、それを調印して無事に終わらせた夜も更けた頃。俺は、父上と一緒にテントにいた。
「父上。俺、アルフェンス国へ行きたいです。フィリアが好きなんです。」
「なんと!?…そうか。親子揃って…」
「え?」
「あ、いや。サルビアもアルフェンス国の王族、亡くなった国王陛下の妹君だったからな。惹かれたのか。」
「はい。俺の場合は、孤児院にいたフィリアを好きになったわけですが。」
「そうか…。想う人とはずっと居られるわけではない。ある日突然居なくなる。だから一緒に居たいと思うのなら、仕方ないな。行きなさい。だが、第三騎士団長だろう?騎士団長には伝えたのか?」
「はい。昼に。」
ーーー伝えた時に、ものすごく驚かれ、引き止められたが最後には好きにしろと言われた。
騎士団長には、俺が13歳で騎士団へ入団した時からずっと、とてもお世話になっていた。
俺が、第二王子だと知っていてそれでも特別扱いせずに、訓練も皆と一緒にさせてくれたのはとても有り難かった。
当時の俺は、母上が毒殺されて犯人も見つからずやさぐれていて。そんな時に、がむしゃらに訓練をさせてくれて、嫌な事を考えずに済んでいたんだ。
『お前が決めた道だ。頑張れ。』と最後には送り出してくれて本当に感謝してもしきれない。
「私からもいいか?よくやく、サルビアを毒殺した犯人を捕まえる事が出来たよ。だが、済まないが公には出来ない。」
なんだって!?捕まえた!?
「本当ですか!!」
「ああ。でも、メフィスは、現国王陛下の母だからな。公にすれば国民は混乱し、陛下の資質まで問われるかもしれない。だから、表向きは、側妃は病気で療養という事になった。まぁ、病気と言う点では、嘘ではないがな。」
と父上は苦笑して言った。
元々、母上が亡くなった時も、毒殺だったのに【心の臓が止まった】と公に発表したのだ。国民が動揺しない為と、他国に侮られない為に。
「病気?どういう事ですか。」
だけど、病気と言うのはどういう事だろう。
「心の病な。それはもう、獣のようにずっと騙された、だの何だのと叫んでいるよ。地下牢で本当良かった。地上にまで聞こえるんじゃないかと思うほどだよ。悪かったな。サルビアが亡くなって…。私は淋しかった。子どものお前はもっとだっただろうに、気を配れなかった。」
父上…。
「いえ。父上も大変ですね…。」
「そうだな。今までは、贖罪の意味で好きにさせていたんだ。だが限界だな。マナクルは可愛く見えるんだが、なぜだかメフィスは悪魔にしか見えん。なぜあいつを一度でも抱いてしまったのか…私の最大の汚点だ。」
「父上。せっかく退位されたのに、ゆっくりされませんと。」
「ああ。そのうち、食事に元気が出る粉を混ぜたものがでるだろう。これはマナクルには言えんな。どう思っていようが母親だろうからな。」
「そうですね。目には目を、ですね。」
そうか。父上もやっと、解放されるのだろうな。
「宝石商の方は、大人しく調書に応じているからな。北の炭鉱で強制労働となるかな。」
北の炭鉱は、最近発掘された、鉱物が取れる場所。だが寒いし、重労働だしで人も集まらない。まぁ、だからこそ刑罰として行かせるにはちょうどいい。
「そうですか。片付いて本当に良かったです。」
「ああ。本当にな。では、飲もうぞ。」
「はい。そういえば、食事以外でこうやって飲むのは初めてですよね。」
「そうだったか?…レクラス、好きな人は大切にしろよ。」
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