【完結】フィリアの見聞録〜どんな時でも楽しまないとね!だって私にはペンダントがあるもの〜

まりぃべる

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国境にて

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その日は、そのログハウスに泊まらせてもらった。なんと私の部屋も作ってあった。
二階の一番奥。
木のベッドと小さなサイドテーブルが合って、衝立を挟んでテーブルと四人位が座れるベンチがある。質素だけどとても綺麗にしてあった。
いつ、私が来るかも分からなかっただろうに。



次の日の朝、ユリエルおじさまが私に言った。
「国境付近に、両国が待機されつつあります。どうされますか?」
どうします?と聞かれても…でも、私は、服の下にあるペンダントを確認して言った。

「それは、見に行くということ?皆はどうするの?」
「我々も、少なからず魔力を持つ者もいます。だから行きますよ。バルグェン国に勝たせたくありませんから。」
それは、魔法で戦争に加担するという事かしら?

「そう。じゃあ、私も行くわ。」





☆★☆★☆★☆

国境付近は、平原となっている。そこに、バルグェン国とラッセルブラウン国が国境を挟んで対峙している。睨み合いをしているという感じだ。何かの合図があれば、お互いにすぐ争えるよう、武器を持って立っていた。

私は、そのお互いが見える真ん中に歩いて向かった。

シーンと静かだったそこは、私とユリエルおじさま、そして数人が歩いて行くのでざわざわとしだした。そのうちに、『誰だ?おい下がれ!』だの聞こえてきたが、私は、中心部へ行く。怖いけれど、そこへ行かないと話が出来ないと思ったからだ。

そして、ユリエルおじさまは、私が動いた時『危ないから止めましょう』と言った。後ろからこっそり援護すればいいからと。
けれど、それでは私がやりたい事が出来ない。だから、『みんなは少し離れた所にいて。私だけで行くから。』と伝えた。すると、『滅相もない!私は行きますよ。ただ、私は魔力が無いので、彼らも一緒に行きましょう。』と6人を呼んでくれたのだ。
心強いのもあるが、逆に邪魔をされると嫌だなと思ったのは内緒。


ペンダントを握りしめ、進み、やっと辿り着いた。
そこは、バルグェン国王と思われる人と、騎士団長らしき人が国境を挟んで、距離を置いて対峙していた。
私の顔を見て、二人は
「なんだ?何をしに来た。」
「ここに遊びに来たわけではあるまい。日が真上に来たらここは戦場となります。早く去りなさい。」
と言ってきた。

「私は、アルフェンス国の王女、フィリアと申します。お話をしたくてここまで来ました。少し時間があるようなので、聞いて下さい。」
と伝えた。
「なに?」
「なんと…。」
と二人は驚いているけれど、放っておいて続きを話そうとした。すると、
「フィリア!!」
と、ラッセルブラウン国側の騎士団が並んでいた所から、声がしてレクラスが走ってきた。
私は、レクラスの方を一度見て頷いて、再び話し出した。

「バルグェン国王様、あなたはなぜ争うのですか?国が貧しいから、他国からいろいろな物が欲しいからですか?国が貧しくなくなれば、争う事はしなくてもいいですか?」
とバルグェン国王に聞いた。
ペンダントを握りしめ、戦争なんて止めましょう、と願いながら。すると、ペンダントが淡く光り始め、ラッセルブラウン国の騎士団全体と、バルグェン国の軍隊全体に光が広がった。

「あ?…ああ。そうだ。オレの国は土が痩せていて、作物が育たない。だから他の豊かな国にくれ、と言った。だが断られたから奪ったんだ。」
バルグェン国王様が答えた。

「では、痩せている土でも育つ作物を育てましょう?指南してもらって、自国を豊かにしていきましょう?そうすれば、戦争をしなくて済みますね?」
「奪う方が簡単じゃないか?」
「奪ってどうするんですか?その後を考えた事ありますか?来年は?再来年は?豊かな国というのは、初めから豊かではないのですよ。一生懸命育てても、天候によっては不作となりますよね?その為に備蓄とかもするのですよ。」
「えー面倒だ。」
「それを教えてもらいましょう?やり方が分からなければ聞けばいいのです。そうでしょう?でも、態度が悪ければ、教えてもらえませんよ。今までやって来た行為を思い出し、悔いて下さい。そして今までとは違う方法で、国を貧しさから脱しましょう?」
「オレに出来るかな…。」
「あなたがやろうと思わなければ出来ません。やろうと思えば、出来ますよ。」
「出来るか…そうか、出来るかな。」
「あなたは国王様ですよね?国を、国民を守る義務があります。まずは今までの事を反省しましょう。ラッセルブラウン国は、ステキな国です。あなたが真摯に教えを乞えば、きっと力になってくれると思いますよ。やれますね?」
そう言うと、バルグェン国王により一層淡い光が纏い、一瞬眩い程の光となってまた淡く戻った。

「そうだな。ラッセルブラウン国の者達よ、済まなかった。皆の者、悪かったな。戦争なんて、止めよう。」
そう、バルグェン国王が言ってくれた。すると、ペンダントが放っていた淡い光も収まった。
良かった!戦争を無くせたんだわ!!

「フィリア!!」
と、レクラスの声がしてすぐ私は、目の前が真っ暗になった。

「お止めください!」
と、ユリエルおじさまの声がして、視界が明るくなった。横を見ると、レクラスがいて、どうやら抱きしめてくれたようだった。途端に私は、頬が赤くなるのが分かった。なんでいきなり抱きしめてきたのかしら…。

「フィリア様…。」
「ユリエルおじさま、皆。ごめんなさい。私には、戦争させる事は無理だったわ。バルグェン国王を潰す事も無理だったの。でも、生きて罪を償うという事も必要だと思うの。」
そう言うと、ユリエルおじさまは涙を流し始めた。後ろの6人も腕を顔に当て泣いていた。

「アルフェンス国の人達よ、宝石が欲しいだけで滅亡させていい訳がなかった。本当に済まなかった。そして姫よ、ありがとう。」
そう、バルグェン国王が言った。

「ええ。でも今までの事をちゃんと、悔い改めないといけませんからね!」
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